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2017/05/27

ドント・ブリーズ 感想~もう、そんなにしたいならアンタたちの好きにすればいいじゃない!お母さん知らないから!~【映画レビュー】

[映画感想]

◆ドント・ブリーズ 感想◆


評価/オススメ:★★☆☆☆

◆synopsis◆


親と決別し、街を出るため逃走資金が必要だったロッキーは、恋人のマネーと友人のアレックスと一緒に大金を隠し持つと噂される盲目の老人宅に強盗に入った。

だが彼は、目は見えないがどんな“音”も聞き逃さない超人的な聴覚をもつ老人であり、
元軍人。
彼は驚くべき能力を発揮し、強盗相手に壮絶な反撃を開始するのだった・・・

◆comment◆


ずいぶんと大風呂敷を広げましたなΣ(´∀`;)
20年に一本の恐怖の作品とか言えるほうが恐怖です。
全米がこれで震撼したのなら、モラルが崩壊しているってことになっちゃうじゃん。

6/1の『ローガン/LOGAN』公開を控えて、お休みだし繋ぎで何か借りておこうと手に取ってしまったのが運の尽き。
これなら素直にベン・アフレックの『夜に生きる』を観に行けばよかった。

主演はこの監督の前作であるリメイク版『死霊のはらわた』でも主演のジェーン・レビ。
脇を固めるのは『グースバンプス モンスターと秘密の書』に出演のディラン・ミネット(片思いベイビー)。
ジェーンの恋人役で、ある意味今作の見せ場を作ってくれたダニエル・ゾバット。
そして作中の恐怖の大王として登場するのは、『アバター』でほぼ生身での人類最強を演じたスティーブン・ラング。
ワタクシは今作の彼を盲目のビッグボス(byMGS)と呼ばせていだきます。そっくりだし。それにしか見えなかったし。
ビッグボスを知らない方は小島秀夫監督のメタルギアソリッドを検索ください。



フムン。どうしたもんか。。

映画会社も商売だから、物語を何とか売らないといけない。
あれやこれやと手を打つことを決して悪いと言っているのではございません。
ただし、誇大にやりすぎるとダメかもわからんねと個人的には思うのです。
タイトル、キャッチフレーズ、公開までにつかわれる言葉。
有名な映画評論家の方が過去のラジオでこの作品を絶賛していましたが、
どうしてなのか?と首をかしげてしまったのがホントのところ。

どっちの側に立てば良いのか迷ってしまうような設定に見る側を放り込むのは
ちょっといただけないかな。

この作品から何かを得ようとお思いの方、何か意味を見出そうとお思いの方、
他の映画をご覧になることをオススメしますΣ(´∀`;)

毎日ストレスに囲まれて、休みの日ぐらいビール片手に思いっきり映画にツッコみたい人は御覧ください。

村上春樹の「1973年のピンボール」の受け売りではないですが、この映画はおそらくあなたを何処にも連れて行きはしません。

たしはただ水樹奈々さんの吹替が聴きたかっただけだと言い訳をしています。

あらすじは予告編に譲ります。

物語は簡単に言いますと、追いかけっこです。

ただし、予告編や公式サイトへのツッコミ。
主人公たちを一方的に襲われる被害者のように描いていますが・・・・
待って、君らこの盲目のおじさんから大金盗もうとして、押し入った強盗だよね。。。。
しかも人の家に盗みに入るの今回が初めてじゃないし、手慣れてるよねΣ(´∀`;)
それなのに押し入った先に超人が出現したら、急に被害者みたいな顔して半ば泣きながら助けを求めようなんて、どんだけ都合いいんだよ!!!!!

オープニングカットは好きです。
ご覧になったかたはお解りだと思いますが、盲目のビッグボス(もはや定着)の執念を上映開始すぐに垣間見れるのは素敵。
というより、たしかに事前知識がないと、恐怖の予感バリバリです。

ある有名な映画評論家の方によりますと、元ネタ自体はオードリー・ヘップバーンの「暗くなるまで待って」というものらしいですが、もっと身近にするなら、「ホーム・アローン」meets「メタルギアソリッド」です。
ハードな方の「ホーム・アローン」もしくは自業自得のサーチ・アンド・デストロイ。
そうです。マコーレー・カルキンにあたるのがビッグボスなだけです。

こうまでヒドイこと言うのには理由があります。
オープニングカット後の導入シーンで彼らの人となりを紹介する場面があるのですが、

すでに泥棒。悪びれてない。
「やりましょ」
なんて、ショッピングするみたいに人の家のものを盗む盗む。
悪いことしている感じなど微塵もありません。
やってることはこそ泥程度の盗みなのでスタイリッシュさも何も醸し出していない。
悪いんだけど、ワルに徹しきれていない。
しかも盗みの手口は仲間の優男くんの父親が警備会社に勤めているのを良いことに、
システムを導入している家のセキュリティを解除しちゃうって確信犯。

少なくともジェーン・レビ演じる主人公は複雑な家庭の事情もあり家を出たがっていることは解りますが、その手段として「人の金、それも盲目で娘を事故で失くした男が賠償金として受け取った金」を元手にしようなんて、どこのGTAですかい???

こういうホラーとかスリラーって、ほぼ(笑)善良な主人公たちが不条理に巻き込まれることで観る側は感情移入できるのに、冒頭からの彼らの態度に気持ちが冷めていきました。。。。

とまれ、そういうことは全く無視して、老人宅に侵入する彼ら。

もう勝手にやってくれ・・・

予告編で既に壮大な「追いかけっこ」のヒントはネタバレしていますね。

スティーブン・ラング演じる今回の被害者が、盲目ながら驚異的な戦闘能力を持った超人なんです。もうチートです。ビッグボスです。

主人公3人組が彼に遭遇する。
そこからが一方的なビッグボスのターンです。

「スネーク、まずCQCの基本を思い出して・・・」

主人公の恋人役、ダニエル・ゾバットが奇しくもMGS(この場合3か)の名シーンさながらの再現で瞬殺。

これまではこのシーンをやるための前フリだったってことでいいね?

そうそう。
こういうのが観たかったんだよ。。。。
この作品の最大の見せ場はここですよ。

あ、気が付くと主人公ではなくて、ビッグボスを応援している。。。。
これが今作の最大の恐怖ですね。

だって、彼は泥棒と対峙しているだけでしょう。。。

100歩譲って、このビッグボスも狂気に取り憑かれた人ですよ。
劇中に明らかになりますが。

この映画はどこにも連れて行ってくれない、と冒頭で述べたところに戻るのですが、
狭い場所で繰り広げられる壮大な追いかけっこ、その「状況」だけを観るのがこの作品です。ドラマっぽい要素はありますが、それならば主人公たちのキャラ付けをもう少し「普通の人」に寄せるべきです。
強盗に入るという設定より、興味本位で妙な噂がある屋敷に忍び込む青年たちが襲われるというのなら、何倍も主人公たちに愛着が持てるのですが。。。

そもそも悪いの君たちじゃん。。。。。
開き直ってビッグボスを悪の権化の如くしちゃいかんよ。。。

無理矢理教訓をひねり出すなら、もう「触れてはいけないものもある」って平凡なものですか。
こういう主人公たちに共感はできませんでした。

あえて人にオススメは致しません。
この記事に関しては、どうして冷めちゃったのかを覚えておくための備忘録として書きました。
どうしたんだサム・ライミ。。。

とは言え、この作品。
続編の話が出ているようです。

ただただビッグボス観たさに、個人的には続編期待しちゃいます。

2017年映画鑑賞 89本目

◆overview◆


・原題:Don't Breathe 2016年公開
・上映時間:88分
・監督:フェデ・アルバレス
代表作:『死霊のはらわた』(2013)
・脚本:フェデ・アルバレス
※製作にはサム・ライミが参加してます。

<メイン・キャスト>
ジェーン・レビ
ディラン・ミネット
ダニエル・ゾバット
スティーブン・ラング

2017/05/22

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ  感想~とあるオッサンの、小さな恋とか大きな覚醒(胸熱)とか~【映画レビュー】

[映画感想]

◆皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ 感想◆


評価/オススメ:★★★★★


◆synopsis◆

テロの脅威に晒される現代のローマ郊外。
裏街道を歩く孤独なチンピラ エンツォはふとしたきっかけで超人的なパワーを得てしまう。
始めは私利私欲のためにその力を使っていたエンツォだったが、世話になっていた“オヤジ”を闇取引の最中に殺され、遺された娘アレッシアの面倒を見る羽目になったことから彼女を守るために正義に目覚めていくことになる。

アレッシアはアニメ「鋼鉄ジーグ」のDVDを片時も離さない熱狂的なファン。

怪力を得たエンツォを、アニメの主人公 司馬宙(シバヒロシ)と同一視して慕う。そんな二人の前に悪の組織のリーダー ジンガロが立ち塞がる…。

※公式HPより


◆comment◆


キャプテン・アメリカを観たときに、ワタクシが本当に個人的に感じていることですが、
ちょっと気恥ずかしさを覚えたのです。キャップ好きなんですけどね。

そしてアベンジャーズシリーズをあたかもメルヘン遊園地のように感じてしまうのは、
きっと自分が汚れているからだろう(笑)

キャップが達が貫く純粋な「何か」・・・それが引っかかるのだろうと。

逆にデットプールを観たときに、グイグイっと引き込まれた興奮。
ホントに皮肉屋で(アイアンマンとは違って生粋の)、ハチャメチャで、自信過剰で、好き勝手やっている「俺ちゃん」が、ものすごく自由で素敵だと


そのときによぉーく考えれば良かったんですが(汗

あぁ「俺ちゃん」って僕達が抱えてる、我慢してる、押し殺してる『枠』をぶっ壊してくれているから好きなんだし、身近に感じちゃうんだなぁと考えました。


ヒーローだって楽じゃない。彼らも彼らでいろいろとトラウマだったり、トラブルだったりを抱えていて、辛いんだろうなァと思えるけど、彼らはヒーローであることを既に受け入れているし、そんな自分の使命を明白なものとして抱いている。だから、悩みなんての乗り越えてみせるんだ!(キリッ)
心強い仲間もいるし、サポートしてくれるしっかりとした組織もあるし、ヒーローとしての社会的地位も(笑)あるのだし。。。。


じゃぁ、そうじゃないのにある日突然超人になったやつはどうするの?


MARVELヒーローよりも、DCのジャスティス・リーグのヒーローよりも、
そして何より原作よりも泥臭く、そしてどうしようもない「おっさん」による、いぶし銀の物語が始まります。


戸惑いました。はい。

全然華やかじゃないんだもの。。。

だけど、そりゃぁそうだよね。と、途中で気が付きました。

この物語は「beginning」なのだから。


5/20の公開で、ジェーン・ドゥの解剖を観た翌日に鑑賞。
しかし、感想をまとめるのに時間がかかってしまいました。

それが冒頭の戸惑い。飲み込むのにワタクシの感覚では時間が必要だったようで。
疲れてたのかしら(笑)

そして未だに完全に飲み込めていないです。

時間が経つにつれて、この作品が鑑賞した直後より好きになってきました。
骨太だなぁ。どうしてもっと早く日本公開されなかったのかしらぁと。
イタリアでは2015年公開です。

スクリーンにドーン!!と表示される日本語タイトルはオリジナルです。自動翻訳されたみたいだけど国内向けに付け足したものではございません。

ワタクシも日本人なので「おぉ」と、感じるものがありますなぁ。
洋画ばかり観ているくせにΣ(´∀`;)


原作というか、インスパイヤーされているのはご存知、永井豪原作の「鋼鉄ジーグ」

不覚にもイタリアで永井豪作品がある世代にものすごく愛されているということを、この作品を通して改めて勉強になりました。(もはやミームになっとる・・・)

今でこそ世界中で様々な日本のアニメが観られていますが、1970〜80年代に作られた無骨な「スーパーロボット」物がある種バイブルの様な位置にあるのは日本だけではないのですなぁ。

原作の「鋼鉄ジーグ」。
第一話がyoutubeの公式チャンネルで観られるのです。
実はこの映画、この第一話を観たあとに鑑賞すると、どれだけ監督がこの作品が好きだったのかが解ったり、解らなかったり。

だから全編通して感じられるのはMARVELでもDCでもなく、永井イズム、ジャパニズムでした。。。
めちゃくちゃ硬派で、いぶし銀。男臭くて、ぶっきらぼう(観客にも)。

むしろダンダダダダン、ダダンダン♪です。

なんの説明もなく、いきなり超人的な力を手に入れてしまった主人公。
・・・いったいどういう能力なのか、どうして手に入れてしまったのかなんて一切説明もなく、もちろん本人の同意もない不条理さ。
(鋼鉄ジーグの主人公も気がつけばサイボーグになっていて、体内に物語のキーアイテムを埋め込まれているという設定です)

この主人公、渋いけど、ただの悪いおっさんです。

ただし、根っからのワルということでもなく「なし崩しにワルになるしかなかったどこにでもいそうな中年男」です。

物語の大部分の舞台になるのは、実在するトル・ベッラ・モナカという地区。
ローマ郊外に位置するこの地区はイタリアの中でも屈指の「危ない地区」なんだそうです。

そりゃ、運河に放射性物質垂れ流してるわ!!!って、オイ。

という言葉は飲み込んで(;・∀・)

このあたりの設定がめちゃくちゃだとかを責めてはいけないのです。

だって、永井さんの作品の根底にあると個人的に思っている「カフカ的不条理」からすると、舞台設定とは既に定まっているものであるので、よく考えていたら物語に入っていけないからです。

そういう意味では冒頭から永井イズムを素直に感じることが、この監督が描きたい世界をより身近に捉えることができるのではないでしょうか。


とは言え、世界の危機に直面するだとか、とんでもない強敵に正義の闘志を燃やすだとかいうヒーロー映画の王道展開はありません。


この作品は、この記事のサブタイトルでもあります
「とあるオッサンの、小さな恋とか大きな覚醒(胸熱)とか」の物語なのです


鑑賞した直後、ちょっと物足りない、と思ってしまったワタクシの第一印象は「これは序章なのだ、プロローグなのだ」というところで落ち着いたのです。

とは言え、アメリカンヒーロー作品の持つ既定路線としての派手さや明るさをあえて持ち込まずに、主人公もヒロインもライバルにも等しく漂うどうしようもない「悲壮さ」はこの時代の混迷の象徴のように感じられます。

つまりこの作品の登場人物達のうち、どのような立場にも我々はなりうるということです。ファンタジーではなくて、もう少し身近な物語。最近こういう感覚多いなぁ。

だからこの作品を観たことがない人に、これってさぁものすごく不器用な「バットマン・ビギンズ」みたいだよと表現しても、捉えどころとしては不十分だろうなと。
だって、ブルース・ウェインは雲の上の人だもんな。

全くもって関連性がないのかもしれませんが、「ロッキー」の第一作目を観ている感じですかな。「ロッキー」が好きな方は、好意的に観てくれるかも。

超人的な力を手に入れてしまったとは言え、決して万能ではないオッサン。

それを憧れのヒーロー「鋼鉄ジーグ」だと信じてやまないヒロイン。

この作品の主人公は皮肉なことに「鋼鉄ジーク」ではないのです。

「鋼鉄ジーグ」に、ヒーローに、そんなものになれるわけではないと思い悩むひとりの等身大の男なのです。

自分自身を持て余してしまっているから、与えられた能力を自分のために使ってしまう。

だけど、それは誰もが同じなのではないでしょうか?

その結果、後悔しちゃうことって多いのではないでしょうか?

躊躇や戸惑いがあるから、時に小さくない失敗をして傷ついてしまう。

主人公エンツォの振る舞いって、「なんだこいつ?」と思えるんだけど、男なら誰でもやってしまいそうな事をしているんですよねぇ。

彼の日常生活なんて、いい歳をした独り身の男の最小公倍数的なものですわ(笑)


この物語のシュールさは、主人公が得た力によって巻き込まれる事態もさることながら、
「よく知らない他人の思惑」ってやつが多分に人の人生には影響するんだという恐ろしさも表現しているところにもあります。

この意味では感性や芸術性を重んじる立派なイタリア映画だと言えます。

ラストテロップが流れた時に感じた胸熱。

オッサンがオッサンでなくなったその姿に、知らないうちに拳を振り上げたい衝動にかられたはワタクシだけではないと思います。

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」

このタイトルって、ラストから逆算して付けたんだろうな。

この泥臭さから始まる新たなダーク・ヒーローの戦い。
考えただけで、年甲斐もなくワクワクしちゃう。


だけど・・・・

ジーグクラッシャーとか言ってるけど、それってただの鯖折りだろーが!!!
でも素敵!! (第一話を観た文月の感想。ただし、この作品の印象的なシーンでこのツッコミは活きてきます(笑))


2017年映画鑑賞 85本目


◆overview◆


・原題:Lo chiamavano Jeeg Robot 2015年公開
・上映時間:119分
・監督:ガブリエーレ・マイネッティ
代表作:「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」※長編デビューは今作!
・脚本:二コラ・グアッリャノーネ

異様に熱い公式HP

映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』公式サイト

永井豪原作のアニメ「鋼鉄ジーグ」にインスパイアされ誕生したド迫力エンタテイメント、イタリア発、ダークヒーロー×フィルム・ノワールの傑作!「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」全国順次公開中
小島秀夫監督もコメントされていました♫(ドツボだよなぁ、きっと)

<メイン・キャスト>
クラウディオ・サンタマリア『007 カジノ・ロワイヤル』(06年)
イレニア・パストレッリ
ルカ・マリネッリ
ステファノ・アンブロジ
マウリツィオ・テゼイ


2017/05/20

ジェーン・ドゥの解剖 感想~解剖ホラーってドヤ顔で名付けた奴、前に出なさい~【映画レビュー】


◆ジェーン・ドゥの解剖 感想◆


評価/オススメ:★★★★☆

◆synopsis◆


ある一家が惨殺された家の地下に埋められていた裸の美女“ジェーン・ドウ”の死体。
彼女の検死を行うことになった、検死官・トミーと息子のオースティンがメスを入れる度に、
その死体に隠された“戦慄の事実”が判明し、次々に怪奇現象が発生する。
外では嵐が吹き荒れる中、遺体安置所という閉ざされた空間で逃げ場のない恐怖がはじまろうとしていた……

◆comment◆


そうです。そうです。
こういうのがオールドスクールのホラー映画です。
というか、「怪談」ですな。


スプラッターホラーというより、日本の怪談話に近い薄ら寒さを感じるのではないかなぁと。

視覚的な恐怖ではなく、感覚的な恐怖。

本人の意思ではなくとも、触れてしまった事によって災いに見舞われてしまう。
 (『呪怨』的な絶望しかない状況)

 望まずとも向こうからやって来てしまう厄介事、その象徴的なもの、その極地がこの映画は投影されています。


 例えばそれは・・・・・


 明日から休暇で気分も完全に休みモードに入っていた仕事の帰り際、もう30秒でオフィスから出る直前、あるいは業務用の携帯の電源に指をかけたその瞬間に無情にも鳴り響く、着信を告げるベルのようだ。 

「うわっ!これは…」 

こういうタイミングで相手が告げるのは、
ものすごく高い確率で『ウンザリするほど悪い事態』

そうした状況をこの作品に重ねて観てください。

言ってみれば「仕事をしている僕たちの日常」に潜む、恐怖。
それがこの映画だ。



肉感的なとんでもないモンスターが襲ってきて、「キャー」と泣き叫ぶというよりは
耳元で何者かの吐く息を感じるけど、振り返ることはできない。

「怖いな怖いなぁ、なんだろうなぁ。。。。絶対後ろ見られないなぁ。。。」

こんなノリです。


だから、まだ作品を観ていない方への注意点を書かせて頂きます。
絶叫系の作品ではありません。
そうしたもの期待されてご覧になると、、、、、ちょっとです。
だけど、元来昔から語り継がれてきた類のいわゆる「怖い話」って、この作品が醸し出しているようなものが多くて、

叫びながら襲ってくる怪物<触れてはいけないもの。タブー。

のような図式で「聞く側」の想像力で恐怖が増幅していくものが多かった。

ゾンビやモンスターが身近になったのは、取りも直さず「商業的」に大量に映像化されたからだ。

もちろんワタクシもそういうの大好き。観ます。

でも「実体」を伴って襲い掛かってくるものが相手に感じる恐怖と、「実体が掴めない」ものに迫られる時に感じる恐怖とでは質が違ってきますよね。

この作品、宣伝やらではやたらと「解剖シーン」ばかりがリアルだとかで取り沙汰されているけど、それは物語を構成する一要素でしかありません。

舞台設定がそもそも遺体安置所で、主役のふたりが検視官をなりわいにしているのなら、そうした描写に力を入れることは(これだけ虚構と現実の境目を曖昧にするために発達した特殊技術をもつ)現代では外せないところ。
この描写が曖昧だったりすると途端に「なんじゃこれ」と叩かれることは目に見えています。

確かにあのシーンでは(というより、彼らの仕事ぶりを描いたシーンは予告編のカットだけではありませんが)「うわっ」と嫌悪感を抱くだろうし、見るに堪えないと思われる方がいらっしゃるのは当然です。
そこについては本当によくできていると。

ただし、物語の核心である「彼女の身に一体何が起こったのか?」ということを観ている私達が知るために
彼らが検視官として冷静に医学的に説明をしてくれることは導入としては大変説得力があります。

このあたりの説得力についてもっと砕いて言うと、体調を崩して自分で「何かとんでもない病気かもしれない」と深刻に思い悩んでいたものの、かかりつけの医者に「あぁ、念のため検査しますけど、単なる食あたりですね」と軽いノリで言われ一気にクールダウン。下手するとその瞬間から体調が回復していくなんていうところに通じます(⌒-⌒; )
どういうことであれ、専門家に断言されると妙に納得しちゃうものです。(世の中にはヤブという言葉もありますが)

そういう訳で、導入としては観ている側の主観ではなく、彼らによってこの物語の上で同じスタートラインにパンパンっと背中を叩かれながら並ばされる感じになりますな。

というのも、ここで観る側と足並みが揃わないと話が空中分解しちゃうからなのです。(観られた方はお解りだと思いますが)

その意味では「身元不明の変死体が遺体安置所に運ばれてくる」という設定には一本取られたなぁと。

その過程で明らかになる謎。解剖シーンがないと、この物語の謎にはたどり着けないのです。

みなさん、だから解剖シーンを見て感じる恐怖ではなく、解剖の結果彼女に何が起きたのかを解き明かす事で感じる恐怖がこの物語の主題ですよ!!!



激ヤバ解剖ホラーじゃなくて、
「解剖によって明らかになる事実がホラー」
なのです。



ここまで我慢して細部を目にされた方。おめでとうございます。
ここからが『謎解き編の開始=本番』です。

この作品、全体のトーンからすれば近年の多くのホラー映画の中では控えめな感じを受けました。

それでも無意識に背後を気にしちゃうような、妙〜な感覚に見舞われたのは、製作側の丁寧なシーンづくりの賜物だと考えます。

作品全体を通した色使いや「ん?んっ?」っと覗き込みたくなるようなカメラワーク(特に解剖シーン)、

もちろん、ある程度のお約束もございますです。はい。

決して派手ではなく、やり過ぎな演出も極力抑えていると、かえってちょっとこれヤバイんじゃないの?ってな感じで

「現実味」が増してくるものです。

一言で言うと、
「これって、あり得そう・・・・」と。

あんなことが起きるには、それなりの理由があるわけで。

ジェーン・ドゥ(名無しの女性)と呼ばれた彼女に何が起こったのか?っていうのも十分謎ですが、

どうしてあの日、あの場所で見つかったのか?
と、オープニングまで記憶を巻き戻して考える必要が!?

コンパクトな上映時間のお陰で、まぁまぁクドさのない落とし所でエンディングを迎えます。
これが120分作品だと、ちょっと食傷気味だったかも。

いつもの「オイ!!!」というツッコミがあまり出てこない作品でしたが。。。。。

ダディがちゃんと約束したでしょーが!!

とだけ言わせてください。
まぁ、話の通じる相手だったら、このような事態にならなかったんだろうけど(;・∀・)
ジェーン・ドゥの妖しい美しさも、真相にある意味を添えることになります。

2017年映画鑑賞 83本目

◆overview◆


・原題:The Autopsy of Jane Doe 2017年5月20日日本公開
・上映時間:86分
・監督:アンドレ・ウーヴレダル
  代表作:「トロール・ハンター」

・脚本:イアン・ゴールドバーグ
          リチャード・ナイン

<メイン・キャスト>
ブライアン・コックス「ボーン・スプレマシー」
エミール・ハーシュ 「ローン・サバイバー」
オフィリア・ラヴィボンド「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」
オルウェン・ケリー



2017/05/14

メッセージ/Arrival 感想 ~世界は『言葉』でつくられている~【映画レビュー】

[映画感想]


◆メッセージ/Arrival 感想◆


評価/オススメ:★★★★☆

◆synopsis◆


突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。
謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズは、
“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。
その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。

◆comment◆


解った、だとか、解らないだとか大きく評価が割れる作品がある。
キャストもVFXもカメラワークも飛び越えて、物語の世界に「浸った」側が
得られるある種の充足感が「観てよかったぁ」って気持ちを引き出す呼び水になる。
その充足感得やすい作品と難しい作品がこの世界には存在する。

もちろん創り手側としては、そうした充足感をより多くの人に得て欲しいと常日頃考えている。それが仕事だし、それが対価の原資になるからだ。

ただ、それは商業としての物語のあり方を考えた場合。
面白い話。ワクワクさせる設定。紡がれる『言葉』の根底には「どうやって楽しんで(あるいは怖がって/考えて)もらえるか?」という「意図」があります。
だから「意図」をより多くの人に伝えるための、受け入れられるための『言葉』には明快さが不可欠だ。

ただし、明快だから受け入れられる、良い、と言う訳でもない。

『言葉』を用いる『意思疎通』の最大の難しさとは『解釈』という送り手/受け手双方のフィルターが内在するからだ。

『解釈』 この作品の重要なワードです。

ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督はこういうことを狙って物語を作れる稀有な人物だ。

「複製された男」なんて人を選ぶし、難解で中二病的だし、根暗なトンデモ映画だ。
「プリズナーズ」、「複製された男」、「ボーダーライン」どの作品もワタクシは大好きだけど、描かれているのは「こちら側と向こう側」という線引が如何に曖昧で、移ろい易いものなのかだと思う。

つまり、描いているのは『人間』だということだ。

『言葉』つまり『言語』というものが一種類しかない世界だとしたら、物語が掴まえることができるものはひどく狭くて味気ないものだと思う。

故に面白いと思う方も、その逆の方も多い作品になると思います。
(「グレート・ウォール」や「無限の○人」などとは別の意味で)
これは制作側の意図(もっと言うと原作者の)であって、『解釈』が分かれるほど『狙い通り』になったということですよ。はい。

言葉繋がりで、ひとつだけ個人的に変えてほしいのはこの作品の邦題。
『メッセージ』で本当に良かったのかなぁと。。。

原題のArrivalじゃないと、誤解を与えると思う。
予告編の作りも、公式HPも『メッセージ』に主題を置かれているけど、
この映画の本質は『言葉』であり『時間』であり、このふたつがひとりひとりに
舞い降りた時に用いられる『LIFE』だ。

話を戻します・・・
実はちょっと前に試写会に幸運にも行けて、そこで観ておりました。
今週5/19(土)からようやく公開ということで、劇場に行かれる方もいるかと思い更新です。

この作品は『インデペンデンス・デイ』(1996年)や『インターステラー』(2014年)に並んでコメントされているのを散見しました。
文月としては、真っ先に思い浮かんだアーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』やロバート・ゼメキスの『コンタクト』(1997年)寄りの物語だと考えます。

ファーストコンタクトというカタチを取った『意思疎通』の再定義を狙った思考実験。

これがこの映画です。

だから『インデペンデンス・デイ』みたいなド派手なアクションも熱い人間ドラマも、

『インターステラー』のような地球の危機や壮大な宇宙探索も、ありません。

そういうものを期待されてスクリーンの前に座った方はごめんなさい、きっと『面白くない』と思われるでしょう。

突如地球に舞い降りた12の『物体』が世界の主要な場所に陣取っていく様はなるほど『インデペンデンス・デイ』を彷彿とさせますね。

2017年の混沌とした世界なら、物体が現れた時点で即全面攻撃となっていたのかも知れませんな。

しかし、この物語では非常事態宣言は各地で出されますが、まずはきちんと『意思疎通』を図ろうとするのです。

黒塗りの種子然とした巨大飛行物体は地球のものであるのか?

そうでないなら、相手は誰なのか?

どういう目的を持っているのか?

どうやってこちらにやって来たのか?

劇中のあるシーンで印象的な言葉がありました。

「これはアボリジニと同じだ」

アボリジニと、固有名詞を出していますが、これは取りも直さず大航海時代(それ以前からも当然有りましたが)より欧州がアフリカ、アジア、アメリカ大陸に対して行った植民地政策の事を引き合いに出しています。

まぁ、人類の技術で察知できない方法で世界に同時に出現した『物体』とそれを動かしている『生命体』は、その存在を持って我々より数段優れた文明を持っていることは明らかです。

よって話を戻すと、『誰で』『どうして』『何のために』やって来たのかという事を正確に把握しなければなりません。

人間同士ですら『来られた側には無い技術』を提供する代償として『多大な利益』を引き出そうと画策してきた訳ですからね。

未知なる相手を前に『悪意の解釈』を持って対峙する訳です。

物語はこの未知なる存在とどのように『意思疎通』をしていくのか?

そして、ある重要なキーワードをどう『解釈』するのか?

その『解釈』を世界はどのように『共有』していくのか?

を巡って主軸が展開していきます。

その未知なる存在との交流、そこで交わされる『言葉』、彼らを巡る人間たちの『解釈』の違いを通して主人公の言語学者は『自分自身』についてある気付きを得ます。
彼らが残したメッセージというより、彼らによって気がついた○○。

だから原題は『Arrival』なんだ。と落ちるわけですね。。。。
(Arrivalを辞書で引くか、google先生に聞いてみてください)

世界には7,000以上の言語があると言われていて
(この辺は専門家ではないので、断定はしません。
引用 http://www.ethnologue.com/ (SIL International))
表記されるだけである言葉について7,000前後の『訳語』が存在するということになります。しかし『訳語』はあくまで『訳語』であって、それがニュアンスまで完全に一致しているかは不明瞭です。そもそも『そうした言葉がない』ということもありえます。

人は思考を表現するツールとして『言葉』を用いているのであって、そうした意味では『言葉』というものも実に曖昧だということになります。

曖昧な思考→例えば「あなたが好き」というのは言葉での表記ですが、込められた感情の強弱、表裏、度合いまでは完全に表せません。せいぜい絵文字を用いたり、文字の大きさを変えたりと、装飾することでなんとかニュアンスを「表現」できるくらいです。

言葉 /言語 の曖昧さ。
伊藤計劃の虐殺器官ではないですが、これがこの物語の根底です。
それでも解り合いたいから意思疎通をする。
それでも100%のコミュニケーションなんてない。
この「言葉」というツールの恐ろしさと素晴らしさ。

未知の存在、そして巡る言葉の解釈で、国同士が、組織が、個人が激しく揺れ動きます。

で、結局世界はどうなんの?

ここまで散々『言葉』と書いてきてなんですが、『時間』というのもこの作品の重要なファクターです。
この作品の壮大なトリックとは、
原作『あなたの人生の物語』ってタイトルに集約されていきます。
作者の関心や原作からすると、言葉そのもの、時間の概念の方がウェイトが高い印象。
この『時間』って概念。これもこの作品にやられたぁと思わせる深いキーワードです。
あぁ、これ以上書けない。

『よく良く解らない誰か』とどう向き合うのか?
『よく解らない自分』とどう向き合うのか?
そこに付け加えられるのが『母性』だということになると・・・
昔流行った「セカイ系」にも似た所にも通じた所にも行ってしまうやんけ・・・
ま、原作が発表されたのが1998年だからなぁ、とその時期の『言葉』に浸っているワタクシなんかはそういった『解釈』に毒されてしまっていますがΣ(´∀`;)

サイエンス・フィクションというより、スペキュレイティブ・フィクションとしてのSF作品。
言葉ひとつで個人も世間も国家さえも変えられてしまう現代。
この時代、この世界情勢だからこそ、観た時に考えさせられるものが多い。
未知の存在とは、膨らみすぎたゆえに見えなくなっている世界そのもののように感じられる。
非常に有意義な映画体験でした。
文月としては、是非とも『Arrival』して欲しい一本です。


2017年映画鑑賞 41本目

◆Overview◆


・原題:Arrival 2016年公開
・上映時間:116分
・監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ   
代表作:『ボーダーライン』(2015年)
    『プリズナーズ』(2013年)
          『複製された男』(2013年)
    『ブレードランナー2049』(2017年)
・脚本:エリック・ハイセラー

<メイン・キャスト>
エイミー・アダムス
ジェレミー・レナー
フォレスト・ウィテカー
マイケル・スタールバーグ
マーク・オブライエン


2017/05/10

キャリー(2013年) 感想~やっぱり乙女は、怒らせちゃダメ~【映画レビュー】

[映画感想]


◆キャリー 感想◆


評価/オススメ:★★★★☆

(原題:Carrie)2013年公開
上映時間:99分

・監督:キンバリー・ピアース   
 代表作:『ストップ・ロス/戦火の逃亡者』(2008年)
・脚本:ロバート・アギーレ=サカサ
    ローレンス・D・コーエン

★出演者★

クロエ・グレース・モレッツ
ジュリアン・ムーア
ジュディ・グリア
ポーシャ・ダブルデイ



◆summary◆


あの頃はできなかったこと。
今ならできること。
そして、私達なら「こう描く」
映画/ドラマ製作はただでさえギャンブルなのに、より高いリスクを取る手法がある。
リブート、リメイク。
2000年以降とりわけ10年代に入ってからこのワードが頻出していますよね。
新解釈で大成功するもの、そして散っていくもの。
触ってはいけないものが世の中にはある一方で(例えば村上春樹作品の映像化が中世中国の科挙並の難易度だということとか)広く受け入れられる作品もある。
作品とは製作された時代の色を反映するものだから、断続的に過去になっていく「今」を基準にして新解釈しても、オリジナルを覆い隠すことは難しい。
同じ題材を扱っていても出発点が違うのだから「別物」として捉えればいいのだろうな。

本作は知る人ぞ知る1976年公開の「キャリー」のリメイク。
原作はスティーブン・キング。
伊藤計劃の「虐殺器官」のプロローグでもほんの少し言及されている
豚の血を頭からかけられた少女のポスターは有名です。

あの名作を、どうしてこのタイミングでリブートさせたのかを製作陣に問う前に、
というより、ワタクシはあの娘見たさの為だけに(笑)「2013年版キャリー」を
観て、受け入れてしまいました。

少女が大人になる、その瞬間の妖しさを。


◆comment◆


2013年の公開当時観たいなぁと思っいつつも、
ワタクシは「キャプテン・フィリップス」(トム・ハンクス)を劇場で鑑賞していました。そして気にも留めずに月日は流れて2017年に。

ただし「機会があったら観たい」という気持ちが「何が何でも観なくては!!!」と
燃え上がってしまったのは、一重にある女の子と出会ってしまったからでした。

その名をクロエ・グレース・モレッツ嬢、いやもとい、
「ヒットガール」という。

やり過ぎ痛快アクションムービー「キック・アス」(2010年)、「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」(2013年)を昨年末に立て続けに見る機会があって・・・・ゴホン。
というより「キック・アス」を観て(ある休日の13:00過ぎ)、鑑賞後に即「キック・アス2」をレンタルしにTSUTAYAに駆け込んだ(その日の16:00過ぎ)のですがΣ(´∀`;)

ちなみに、キック・アスとキック・アス/ジャスティス・フォーエバーの予告編↓↓


実に様々な方が言及されているように(!!!)、ワタクシも彼女の可憐さにやられたひとりであります。

コスチューム云々の前に、クロエ・グレース・モレッツというひとりの女優の持つ
独特の雰囲気、魅力があって初めて成立する現象ですな。

という訳で、歴史的名作のリメイクだからキャリーを観た、ということは「タテマエ」で
その実、クロエ・グレース・モレッツ見たさにキャリーを観たのが本音です。

ともあれ!!!「キャリー」も「キック・アス」特に2作目のジャスティス・フォーエバーも、少女が大人になるその瞬間の切なさ、危うさ、そして妖しさが作品の根底にあるのだろうと解釈しました。

特にキャリーのカメラワークなんかは、露骨じゃぁないですかΣ(´∀`;)
惚れてまうわ。みたいな。
目の置き所に困る、みたいな。

キャリーって作品はどういうわけか不思議な力を持ってしまった少女が、
普通の少女として淡く切ない時期を過ごしたいという当たり前の思いを無残に踏みにじられてしまうとっても悲しい話なのです。
ワタクシは例えばアンデルセンの「みにくいアヒルの子」やベタなところではペローの「シンデレラ」なんかを想起しちゃうところがあります。
本当は美しいのに殻に閉じこもってしまい、そして周りからいじめられてしまう様には
あ、あのヒットガールがいじめられとるぅうううう!!!
と、拳が固くなっていく。
早く華麗な回し蹴りであいつらをすっ飛ばして!!!
だけど、キャリーはいじめっ子達を前に切なげな表情を浮かべて沈黙するばかり。

母からは罪深いと言われ、自分で自分を持て余し、ある時点までは下を向いていることを当たり前だとしてしまう。
自然とそう思わせてしまうクロエと、何よりもう一人の主役であるジュリアン・ムーアの表情、言い回しには脱帽です。

アンデルセンやペローの童話には救いがあります。
可哀想な少女は誰よりも輝いて行くのです。
キャリーも同じです。
学校一の美男子に(男から見ても、カッコイイわ彼)プロムに誘われ、胸をときめかせるキャリーに感情移入できる人は本当に多いと思います。
キャリーが「普通の女の子の幸せ」を「思い出」を得られるように見守りたい。
シーン毎にそんな気持ちが強くなっていく。
しかしスティーブン・キングというシェフが物語(特に初期の作品)を料理すると
「全く救いがなくなる」のです。

この物語は何よりも替えがたい青春時代というものを汚す権利など肉親である母親にも、もちろん心無いいじめっ子達にも誰にもないと、痛烈に訴えているのだろうなと個人的には考えました。
そしてキャリーが得た不思議な力は「純なるもの」たる若者の心そのものであって、そうであるが故に自身すらも害してしまうものだ、ということも。
それを汚すということはどのようなものであるかを、血まみれのキャリーの姿そのものをもって表現しているのだと。

ホラーというよりも、ヒューマンドラマとして、このキャリーは観るべき作品です。

自分というものを受け入れ、そして違和感を軌道修正しながら生きていく最初の段階を迎えることの難しさと素晴らしさ。
出発点も向かうゴールも同じ方向なのに、作品の色でこんなにも着地点が違ってきちゃうのだよなぁ。
期せずしてキック・アスとキャリーは同じヒロインによる同じ年代の抱える光と影を見事に対比した作品でありました。

あ!いじめっ子役が異様に(笑)板についてるポーシャ・ダブルデイ。
今作品では性悪ガングロギャル(古っ!!)の彼女は、
ワタクシが大好きなドラマ、ミスターロボットでヒロインを演じています。
キャリーでは同しようもない不良娘(マッドマックスにでも出てきそうな)でしたが、ミスターロボットでは可憐なヒロインを演じてます。
観た順番が逆であるため、ミスターロボットで彼女を知ったワタクシとしては本作での悪キャラ振りに驚きました。。。。

みんな、役者だなぁ。

2017年映画鑑賞 71本目

2017/05/06

ブレア・ウィッチ 感想~ちょっ、おまっ!え!?ロケラン持って来い!!~【映画レビュー】

[映画感想]

◆ブレア・ウィッチ 感想◆

評価/オススメ:★★★★★

(原題:Blair Witch)2016年公開
上映時間:90分


・監督:アダム・ウィンガード
   代表作:「サプライズ」(2011年)
     「ザ・ゲスト」(2014年)
・脚本:サイモン・バレット


★出演者★

ヴァロリー・カリー(「ザ・フォロイング」2013年~)
ジェームズ・アレン・マキューン(「オーバードライブ」2013年/「ウォーキング・デッド/シーズン2」2011年)
ウェス・ロビンソン(「ディテクディヴ」(2006年)) 他

◆summary◆

寝かせれば寝かせるだけ味わい深くなるものがある。
ワイン、ウィスキー、古酒、女房に理論爆弾に陰謀ってオイっ。
寝ている時間が20年、30年ともなるともはやそれは世代を飛び越えて
伝えられる過去からの贈り物(Gift)だ。

つい先日起きた大きな出来事でも、数年後には「あの時の出来事」になり、
四半世紀も経てばアーカイブされた「記録上の出来事」になり、
その中のほんの一握りが幸運にも「歴史上の出来事」としてアイコンになる。

伝えられる方法はいくつもあり、どんなものでもデジタルアーカイブできる現代ではなくむしろ過去の方がその種類も手法も豊富に思える。

それ故、カタチも変わりやすい。

よく解らないものは忌み嫌われ、疎まれ、囲い込まれて、追いやられる。
まるで森の中にでも隠してしまうように。

解らないから怪しく感じるし、それが長じて助長されるのは恐怖だ。

その原始的な感覚が事実を覆い隠してしまって、感情的なものばかりを未来へ置いていく。禁忌とは何世代もの間に多くの人達の中を駆け抜けた「思念」でもあるのだ。

触ってはいけないものって、この世の中には確かにあると思う。

ただし触ってはいけないものの中には「解明できるもの」と「そうでないもの」がある。
質が悪いことに禁忌とは人間の心を引きつけてやまない甘美さを含んでいる。

『怖いもの見たさ』という好奇心を。

◆comment◆


テイスティですっ

理解するのに2回観ました

いやぁ、爆発的に亜種を産み出したエポックメイキングなこの映画。
1999年の前作から、17年の時を経て「ちゃんとした続編」が公開です。

心霊モノの原則と言いますか、こういう物語の教訓は改めて言うまでもないですが
「死者に限らず得体の知れないものとは興味本位で関わってはいけない」
というものだと思います。

根底は夜道は危ないから明るくて人通りの多い所を行きなさい、ってものと同じ。
自分の身を守るための例え話という側面が強かったのでしょう。

それは取りも直さず関わってしまう人が後を絶えないからで、まさに絶えないからこそ、こうした物語が成立するのですよねぇ。

スプラッターホラーではなく、顔を覆っても指の隙間から見ちゃうような恐怖。
それが程が良い(笑)というか、好奇心をくすぐるのはこのラインの恐怖なんだと思います。故に感じる怖さもちょうどいい。
それに99年の当時も、現代も「誰かが代わりに探ってくれたものを見る」っていうのは観る側からすると想像力を膨らませることができる貴重なソース(情報源)ですね。

ブレア・ウィッチ・プロジェクトって、まさにプロジェクトであって情報途絶下の人間はどうなっていくのか?という「視覚的に感じる恐怖」と、観客が散りばめられた副次情報を自分で調べて「補完していくことでより感じる恐怖」のふたつを意図して創られた一大エンタテイメントだと考えています。
(ま、このやり方はクローバーフィールドでより深まったけど)

今作はどうかというと、、、謎をあんまし深く事前に情報拡散していないところが良かった。

※注意※本作は是非、前作をご覧になってからお楽しみください。
一見さんお断りな頑固親父のラーメン屋的雰囲気があり、好きです♫

物語はあの惨劇から時が経った現代。
前作の主人公ヘザーの弟ジェームズがyoutubeで偶然見かけたある動画が見つけたところから始まります。
キテるよ、うん、この動画の雰囲気、よろしい。
前作の最大の謎であるあの「ファッキン・ダンジョンハウスin the hell」じゃないっすか。
今作は「ブレアウィッチ」を探しに行くのではなく、「失踪した姉ヘザー」を探すためにパーティが組まれます。
もちろん当時よりも進化した装備がデーンと出て来る様には、さぞかし前作よりも素晴らしい旅になること請負なし!と期待に胸が膨らみます。
ドローン、アクションカメラ(一人一台)、GPS、無線、コンパクトデジカメ。
ジェームズの友人2名とカメラマンの女性。そしてあと2人が加わる大所帯。
あぁ、じゃあ今回は楽勝だって空気がプンプンです。

でも、ちょっと待て・・・・

冒頭で流れたテロップを思い出せ。

そして、後は察せよ。

そうか、そうか。

この世ならざるものが、フェイクであるかも?って不安を煽ったり、
現代装備がどこまで事態に対処できるのかってのもキーポイントだったりと芸が細かい。

これはブレアウィッチなんだと観る側に(森に踏み入った彼らに)視覚的に教えてくれるのはありがたい(冷静に考えると、現実だったら粗相するぐらい怖い)

それに「見えすぎない」ところも画面から目を離せなくするのに効果的。
今作は堰を切ったように異常事態の強襲作戦が始まる分、途中だらけ気味だった(でも状況理解のためには必要だった)前作に比べると「寄せてきてる」感はありました。

踏み入っては行けない場所って、あるんだよ。
知らないほうが良いこともあるんだよ。

でも、もはや魔女伝説じゃなくなってますやん。。。

暗い森って、どうしてこんなにも人の恐怖を掻き立てるのか。

夜中カーテンを閉め切り照明を落とした部屋の中で、是非ヘッドフォンを着けてお楽しみください。

この映画はこれでいいのだけど、アレ出しちゃいけないんじゃないかなぁと少しだけ残念なものをワタクシは観ました(汗)

特にラスト3分―
え!?アンタ誰!??
白パ○×△!?!??!?!?!?
アンタRECから来たの!?!?!録画してるだけに!?!?
って、ロケラン撃つんだー!!!!!!
え、3時間クリアしてない!?!?!
「本当にごめん」じゃねぇよ!?!?!
あ、あべし!!!
(inspired by いろんな名作)

あぁ、謎は謎のままが一番良いのだ

発端となったyoutubeの動画も無駄になっていない。
ワタクシもちゃんと拾いましたよ。

鑑賞後にはきっとgoogle先生が活躍するでしょう。

禁忌に触れた彼ら6人が一体どんな体験をするのかを是非見届けてもらいたいです。

あれだな、
次回作は第75レンジャー連隊(フォースリーコン)でもこの森に投入するべきですな。もしくはジェイソン・ボーンを呼んで来なさい!今すぐに!キャプテン・アメリカでもいい!

2017年映画鑑賞 77本目

2017/05/05

荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて 感想~これ、やりたかったんだろうなぁ~【映画レビュー】

[映画感想]


◆荒野はつらいよ~アリゾナより愛をこめて~ 感想◆

評価/オススメ:★★★★★
(下ネタがダメな人は★ひとつ)

(原題:A Million Ways to Die in the West)2014年公開
上映時間:116分

・監督:セス・マクファーレン
代表作:「ted」「ted2」
・脚本:セス・マクファーレン
    アレック・サルキン
          ウェルズリー・ワイルド

★出演者★
セス・マクファーレン
シャーリーズ・セロン
アマンダ・セイフライド
ジョヴァンニ・リビシ
ニール・パトリック・ハリス
サラ・シルバーマン
リーアム・ニーソン

◆summary◆


監督/脚本はご存知セス・マクファーレン。
ワタクシ、個人的には彼のノリってすごく好きです。
もちろん、tedも大好き。
セス・マクファーレンが演じるtedが好きです。
tedに関して言えば、吹替と本人の声にギャップ有りすぎだと思いますΣ(´∀`;)

この作品ってそんなノリの延長線上で「単にやりたかっただけだろ!!」ってな映画です。
ただし、tedに比べればドギツさが若~~~干、緩和されて、男だけならケラケラと自然に笑ってしまうような仕上がりになっています。
このぐらいならカップルでも観られるかも。保証はしません。

この映画を観て、う~むぅと考え込むような人はあまりいないと思いますよ。
そういう意味では「誰も傷つかない無害な映画」とも言えます。

尊敬する作家の故伊藤計劃氏も言っているように、日本にとってすごく近くて遠いファンタジーとしての異世界が「明治/大正/昭和(計劃氏は昭和と言及)」であるように、アメリカにとってのそれは「西部開拓時代」ですね。
これがでは幕末ではないところ、アメリカ独立戦争時代ではないところが妙とも言えます。なぜならそれ以前の時代とはすでに「歴史」だから。

皮肉なことに、マカロニ・ウエスタンの傑作はアメリカ人以外の手によって、アメリカ以外で撮影されたりもしている。
そもそもマカロニ・ウエスタンという言葉(正しくはスパゲッティ・ウエスタン)それ自体が「非アメリカ製」だと物語っています。(イタリア製西部劇)

という訳で、西部劇ってもうファンタジーの要素を振りかけられたパスタなんです。
そこでは何を描いてもファンタジーになる。
社会風刺でも、夢と希望の物語でも、教訓話でも、いろいろな題材を大げさに使える舞台になっているのです。

もちろん、パロディも。

◆comment◆


公開から3年経って、ようやく鑑賞です。
見逃し映画多いなぁ。
これ、確か何かの映画を劇場で見た時に予告編が流れて、絶対観たいと思っていたんです・・・あっという間にレンタル旧作。

注意!恋人と観ると真面目な彼女なら引くかも(笑)
特に付き合い始めのカップルは、確かに部屋でくつろぎたいからといってコメディを選択するのはありだけど、この監督の作品はやめておけ!
(tedもね。tedの見た目に騙されるな!ワタクシも開始数分で後悔し、エンディングまで冷や汗モノでした)
もちろん家族で食卓で観るには不向き。
学生の諸君なら100%お母さんから
「何なの!?この変な○○○ばっかり言ってる映画!!!」って言われるぞ(キリッ)
PTAの敵、下ネタ全開のアメリカンコメディです。

ワタクシなんかはアメリカンコメディというと、エディーマーフィーが自動的に頭に
浮かぶ世代なんですが、、、(もちろん、吹替は下條アトムさん)
ここのところのアメリカの映画やドラマで見聞きする下ネタって、かなり過激ですよねぇ。エディー・マーフィーのマシンガントークでも、モロな言葉はそんなに言ってなかったような記憶が。。。
あ、あの頃観てたのはほとんど吹替じゃん!
下條さんもそこまで言わないじゃん!
こ、これが若さか・・・というより、こ、これが時代か!?って感じですねぇ。

セス・マクファーレン演じる主人公は「生まれる時代」を間違えたような典型的なダメ男の羊飼い・・・
西部開拓時代を生き抜くには優しすぎるし、腕力よりもしょーもない口撃の方が得意だ。
もちろん、銃の腕前もからっきしダメ。
セス監督、いい顔してるなぁ。
冒頭のシーンで観たときなんて、主人公ではなく脇役かと思ったもんだ。

物語が始まって数分で(というより予告編でも)、タイムスリップでもしたのかなぁと疑ってしまうほど。。
コメディ番組の司会ばりに喋る喋る。
話題もこの時代からすると浮き過ぎだってばよ!って位に。
未来人の空気プンプンと。
とは言え、彼は期待を裏切ってあくまでも西部開拓時代の人でした。

他の方のレビューも何も一切読まずにガチンコでこの映画を観たワタクシとしては、観る側のスタンスを整理するのに10分くらいはかかりました。

でも、ドクがいるんだもん!!!!予告編で映ってるんだもん!!

おいおい。
あぁ、そうか、この作品はこういう感じか。
カメオ出演者を探せってか!!!!

ともあれ、ワタクシ達を物語の中に連れて行ってくれるのは、この芸人・・・・じゃなかった羊飼い。

その彼がある夜にバーで始まったケンカの際に偶然助けた美女との出会いが、口から先に産まれたような男の運命を大きく変えていくのです。

といっても、主人公のド庶民振りからするとゆるーーーーーく成長していくのですがね。
それがヒーローなんかじゃないワタクシにはグッと共感できるところでもありました。

スーパーヒーローな主人公に憧れるよりも、ダメな彼に共に寄り添いながらこの物語を進んでみませんか?

それにしても、この出演陣の豪華さはなんだ!!!


シャーリーズ・セロン
「イーオン・フラックス」(2005年)
「プロメテウス」(2012年)
「マッドマックス怒りのデス・ロード」(2015年)→言うまでもなく(笑)
など

リーアム・ニーソン(怒れるお父さん)
「シンドラーのリスト」(1993年)
「スターウォーズ ファントム・メナス」(1999年)→クワイ=ガン・ジン!!
「キングダム・オブ・ヘブン」(2005年)→これも何度も観てます♫
「ダークナイトトリロジー」(2005年~)
「96時間」(2008年~)など

アマンダ・セイフライド
「マンマ・ミーア」(2008年)
「レ・ミゼラブル」(2012年)
「ted2」(2015年)
「パパの遺した物語」(2015年)→あぁ、ポテトチップス。号泣しました。

ジョヴァンニ・リビシ
「プライベート・ライアン」→ご存知!!ウェイド伍長
「ted」「ted2」(2012年・2015年)
「ハード・ラッシュ」(2012年)
そしてAmazonオリジナル「スニーキーピート」(2017年)!!

ニール・パトリック・ハリス
「天才少年ドギー・ハウザー」(1989年)→あぁ、懐かしい
「スターシップ・トゥルーパーズ」(1997年)
「glee」(2010年)
「ゴーン・ガール」(2014年)

サラ・シルバーマン
「スクール・オブ・ロック」(2003年)→最高!!
「レント」(2005年)
「シュガー・ラッシュ」(2012年)

冴えない男でもいい。頼りなくても良い。心なんだよ。そうすれば幸せは突然やってくるんだよ。
なんて、村上春樹かい!!とそこまでは言いませんが、セス監督とシャーリーズ・セロンのロマンスには夢がありますなぁ。。。。

夢を捨てちゃいけませんな。幸せは近くになるんですな。
ま、シャーリーズ・セロンは絶対に身近にはいませんがΣ(´∀`;)

カップルの愛の形、という解釈でこの映画を観るならもっと楽しめるのだろうな。
主要人物たちが織りなす都合5組の恋愛模様。
どれも無駄になっていない。活かされているし、素直に笑える。

あぁぁ、というわけで、夢を捨てないワタクシも酒場でケンカ起きないかなぁなんて、近所に唯一あるバーにちょっと寄ってみながらシャーリーズ・セロンを想う日々です。


「でもワタクシ毎日バーなんて通えないわ!!!こちとら独身貴族卒業した途端に小遣い制だわ!!!ジントニック最高だけど1杯700円なんておいそれと出せんわ!」


予告編にも出てきたドク(ブラウン博士)だけではなく、あんな人やこんな映画のこれ絶対にやりたかっただけだろ!!ってオマージュがいろいろな所に見受けられて、目にも優しいですよ♫(ヒロイン以外でも)

確かにお下品だし、中には酷評しているようなレビューも見えますが、これはお酒を飲みながらたくさん笑って疲れを取る、次の日がお休みの夜なんかにオススメしたいそんな1本です。

2017年映画鑑賞 75本目

2017/05/04

アンフレンデッド 感想 ~え?これはコメディってことでいいね?~【映画レビュー】

◆アンフレンデッド 感想◆


評価/オススメ:★★★★☆
(怖くても思わず笑ってしまう人は★5つ/純粋なホラーを求める人は★2つか!?)

(原題:Unfriended)
2015年公開
上映時間:83分

・監督:レヴァン・ガブリアーゼ
 代表作:エターナル(2011年)
・脚本:ネルソン・グリーブス
・製作:ジェイソン・ブラム(パラノーマル・アクティビティ)

★出演者★


シェリー・ヘニッヒ
モーゼス・ジェイコブ・ストーム
レニー・オルステッド
ウィル・ペルツ
ジェイコブ・ワイソッキ

◆summary◆


「スクリーン」を通して物語を観る限り、僕たちは「造られたフィクション」だと映画やドラマを観てしまいます。
ドキュメンタリーですら「誰かが撮影したもの」だと。

創り手としては観客をどうやって物語に没入させるかが問われてきますが、そういう意味ではPOV方式とは優れていると個人的には考えています。

この映画の面白さはPOVの「視点」が全く動かないところにあります。

僕達が「当たり前」のように観ている風景を通した「恐怖」って、現実とフィクションの境目を壊してくれる可能性を秘めています。

・・・・ただ、内容が伴うことが条件だけど。

◆comment◆


本当は、副題を『距離の喪失が招いた恐怖』とかなんとかにして「超怖かったです・・・」なんてコメントをしたかったのですが、、、、
(だってパラノーマル・アクティビティの製作陣と聞けば・・・)

個人的にはひどく楽しんでしまいました(汗)

取り扱っているテーマ自体は笑えないのですけどね。

ディス/コネクトを紹介した際のコメントでも書きましたが↓↓
~SNSを誰もが使い、手軽になってしまったからこそ、この映画の出来事を単に文章にしてしまうと「ありふれた」ものだなぁ「自業自得」だなぁ、と感じてしまう。
よく考えると、それって怖いです・・・・~

一昔前なら、仲間内の悪ふざけだと言い訳ができた事も「つぶやく」だけで「アップする」だけでそれがひとりの人間を、組織を、立ち直れないほどに壊してしまう。

不特定多数と無意識に「繋がっている」ということの利便性と恐怖。
よく知らない誰かのことを好き勝手にコメントできる。
言うのも、言われるのもタダだしね。
送り手と受け手のバランスなんてものはない。
飽和してしまう。

物語のあらすじ。
動画サイトにいじめられている様子をアップされ、それを苦に自殺をした女子高生ローラ・バーンズ。
その女子高生と一緒につるんでいた友達グループが、彼女が死んで1年後のある日の夜に、Skypeのグループ通話を始めます。
会話中、会話に参加しているグループに「知らないヤツ」が混じっていることに気が付きます。
「おい?こいつ誰?」
「知らない?誰の知り合い?」
「おーい、あんた誰?」
「通話切断できないぞ・・・」
その知らないヤツはおもむろにチャットを送ってきます。
「死んだ女子高生ローラ・バーンズ」を名乗って。

・・・・と、こう書くと「Scream」(1996年~)やそれこそ「パラノーマル・アクティビティ」バリのホラー展開を期待してしまうのですが。。。。

オイ!!と、なんどもツッコミながら観てしまいました。

この映画って、ある人物の視点、それもPC画面だけを通してほぼ全編が進んでいきます。
多くの皆さんが開いているPC画面の様に、複数タブが開かれたChrome、多くのフォルダ画面、立ち上がったskypeやMessageアプリが無造作に並んでいて、ストーリーはその中で展開していきます。

つまり、観ている側の僕たちはPC画面に映し出される断片情報だけを繋ぎ合わせながら、登場人物たちの関係性、事件の真相、巻き起こる出来事の謎に迫っていくことになります。

この設定自体はとても面白かったし、日常的にPCやスマホを使っている僕達としては物語をより身近に感じられるので「おぉ」と入り込みやすい。
あ、イントロからこの映画は「PC画面」なんだ、という仕掛けもあったり。なかったり。

話を戻しますが、ぼかしているけど、彼らのグループって結構エグい。
ありふれた光景なんだろうけど。

まぁ、彼らにはホラー映画特有の「悪者に報いを」みたいな展開が繰り広げられるのですが、
それもエグいんだけどあり得ないだろ!!!どうやってんだ!!!と、途中から恐怖そっちのけでツッコミ連発。。。。

これはコメディかい?と。

彼らはひとり、またひとり、と衝撃(笑撃)の最後を迎えるわけです。
PC画面上にそれも途切れ途切れで出てくるんですが、

必ずフィニッシュブロー⇒ノックアウトという2場面展開で果てますΣ(´∀`;)

ワタクシがホラーを観ているモードから、つっこみコメディモードに切り替わったのは、最初の犠牲者が最期を迎えた瞬間からでした・・・

ここからは、
①彼らが自殺した彼女に何をしたのか?
②仲良しグループと思われた彼らが、実際どうであるのか?
③誰が、どのように、果てるのか?

の3つを追うようになります。個人的には決して怖くはなかったです、はい。

どんな果て方じゃい、とΣ(´∀`;)

そういう意味では「新感覚ホラー」という触れ込みも間違いではないですね。
「果て方ホラー」

えぇ!?アナタいつ秘孔突かれたの!?
ちょっ!君どこに突入してるの!?
あぁぁあ、なんてもので○○ージョブしてんの!?
どーして、そんなもんで眼精疲労取ろうとしてんの!?
え!おまえも目が疲れてんのかい!!被ってるし!

・・・と、ツッコミ疲れました。。。

どうして彼らが恨まれるのかという謎はあっさり解けてくるのだけど、彼らは何に襲われたのかがよくわからない。

いや、結局アレなんですけどね。アレ。(ネタバレの為自主規制)

ツッコミ連発の展開は
知る人ぞ知る名(迷?)作「REC/レック」(2008年~)や





これもわたしは割りと嫌いじゃない「デビル・インサイド」(2012年)





といった作品を彷彿とさせるけど、個人的にはこの2作品(RECはシリーズ)の方が面白いながらも恐怖を感じたのです。


この映画って、設定も表現手法も面白いのに、この展開ではカップルがリビングでイチャイチャしながら「こわーい」とか言うくらいの作品になってしまうなぁ。。。。
ちょうど投稿日がGWだということもあり。

評価は真っ二つになるでしょうけど、個人的には面白いよ♫とオススメしたい映画
(特に罵り合っている言葉がHOTな字幕版)です。

2017年映画鑑賞 73本目

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第7並行世界のユートピア

物語の海に溺れる中で、フレーズ、イメージを繋ぎ合わせて生まれた短いストーリー達を文月陽介が書き留めます。 特定のジャンル、モチーフにこだわらずに、ひとつひとつの物語を紡いでいます。 ※筆者の気まぐれにより不定期更新です。

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