2017/07/01

ディストピア パンドラの少女 感想 ~子供がまだ『喰って』る途中でしょうが!~【映画レビュー】

[映画感想]

◆ディストピア パンドラの少女 感想◆


評価/オススメ:★★★☆☆

◆synopsis◆


真菌の突然変異が起き、感染した人間は思考能力をなくし、生きた肉のみを食すハングリーズと化した近未来。
爆発的に蔓延したその奇病により、人類は絶望の危機に瀕し、残った少ない人々は安全な壁に囲まれた基地内での生活を余儀なくされていた。
そんな中、イングランドの田舎町にある基地ではウィルスと共生する、二番目の子供たちセカンド・チルドレンの研究が行われていた。
その子供たちは感染しているにもかかわらず、思考能力を維持し、見た目は人間の子供そのものだった。
彼らから、ワクチンを作り出そうと模索する中、子供たちの中に高い知能をもった奇跡の少女メラニーが現れる。
彼女は人類の希望となるのか―絶望となるのか。

※公式HPより

◆comment◆



すみません。
邦題変更してくださーーーい!!!
配給会社がトンチンカンなタイトルとかネタバレに直結する副題をそのまんまつけてどないすんねん(汗)

2017/7/1 日本では本日から公開です。
それにしてもディストピアって、誰がメインタイトルにしてしまったのか。
副題のパンドラの少女も、なんで加えてしまったのか・・・・
あぁ、これ原作の邦訳版のタイトルなのか・・・・。
そもそも原題を紐解くと、そういうことになるのかぁ。。。。
でも、入れなくていいよなぁ。。。。
だってこれからチケット買って(もしくはそれなりの手続きで利用料金払って)観るんですよ。

もっと言うとタイトル決定した人たちは『ディストピア』って、言葉ちゃんと理解しているのかなぁ・・・・。
もしくは製作陣にも確認したのかなぁ・・・
あえて邦訳版のタイトル省くとか配慮したほうがよかったのに。
そのままポンっとのせちゃったのだろうけど。


この作品はディストピアではなく、人類の終末を描いた物語です。はい。
もっともっと、言ってしまうとゾンビというコンテンツは出てきますが、ゾンビ作品には入れられません。
たぶんホラーとは違う方向性のお話ですよ、コレ。

もの凄くこじつけて、冒頭の導入がディストピアらしく(これでも屁理屈になるかぁ)映らないこともないですが、
それとも・・・・エンド??
だけどなぁ、何度思い返しても「ディストピア」とは結びつかないんだよなぁ。
ワタクシの理解力がないのかなぁ。。。。
誰にとってのディストピアなのかなんだよなぁ。
あの子らが言ってみれば管理されていたのはむしろ正当な理由だものなぁ。

こういうぶん回し感はむしろ『メッセージ』(本年日本公開 原題:Arrival)にも近いものを感じます。
(宇宙人との遭遇という出来事を通して、実は本題が別の所にあったという意味で)

このあたり、鑑賞後に肩透かしをくらう方も多いでしょうからご注意ください。

ワタクシも『ドーン・オブ・ザ・デッド』(04年)や『28日後』(02年)『28週後』(07年)の際に「これこれ!!」って感じた絶望感や終末感にトリップするつもりでしたが、事前に原作をきちんと読んでどんな話かを理解しておけばよかったと思いました。
まぁ、楽しみだと感じた映画ほど、あえて情報収集しないで臨むのが好きなので、仕方がないですな。自業自得です。

ブラピたちがゾンビ小説の衝撃的傑作「WORLD WAR Z」の原作をこねくり回した結果、全然違う話やんけ!としてしまった事例もあるので、いい意味でそちらを期待していたのですがね。文月は断然「WORLD WAR Z」原作派です。原作は読み返しすぎて擦り切れてるから今月読書用に新しいの買います。

ところで映画に限らず、物語のタイトルって本当に大切だと思います。。。。
タイトルや副題で物語のネタバレをしてしまうのはどうかなぁ。

このあたり、ワタクシも個人的につぶやいてきましたが、最近特にひどくないですか?
ちょっと騒動になったのは秋に公開予定の「ドリーム 私たちのアポロ計画」が記憶に新しいですね。
※参考記事(リンク貼ります) ITメディア様
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1706/09/news113.html

エヘン、あえてお話します。

原作をすでに読まれた方にとっては、答え合わせの作品として観ても良いかなぁという感じです。
そして原作に触れていない方は、原作をご覧になることをオススメします。
さらに加えると「パンドラ」っていったい何を意味しているのかご存じの方はもう・・・・ぶ、ぶべら!!!!

むしろ原作を読まれたほうが、驚きも、考えさせられるものも多いのではないでしょうか?
このあたり、トンチンカンなメインタイトルと副題を決められた方たちが、
公式HPの情報開示の仕方も含めて自ら結末をバラしているようなものなので、致し方ないです。

※どうでもいいですが、セカンド・チルドレンとか「アスカ」ではありませんので
ご注意を。(おそらく原題ではチルドレンズだろうな)

それではこの物語って何も魅力はないの?
いいえ、メッセージは確かにあります。

この物語を象徴する言葉は「淘汰」であり「選択」というワードです。
描かれる崩壊した世界はそのままモラルや善悪が混沌としてしまった今を象徴していいて、それでもその混沌の中から生まれた「選択(決断)」の是非がキーポイントになります。

結局のところ、人類に火をもたらしたプロメテウスに激怒したゼウスが人類に厄災をもたらすために女性をつくり「すべての贈り物」(容姿、能力、魅力など、そしてピトス)を与えられた彼女が何をしてしまったのか?
という神話を下地に、「生き残る」という当たり前の生存本能を持った「次世代の子ら」がどんな「選択」をしたのか?
わたしたちは何を彼らから得ようとし、彼らは何をもたらしたのか?

今年度わたくしが個人的に見てきた映画は結末は違えど概ね同じようなベクトルを向いているのかなぁと感じます。
「パッセンジャー」然り、「メッセージ」然り、「ローガン/LOGAN」然り、そして本作。

「淘汰」と「選択」という言葉を軸にこの作品を観ることができるのであれば、一見地味だけど実は魅力的な物語であると受け止めることもできるのではないでしょうか?

ラストに至るまでのイベントは逃避行を続ける小さなグループ内での出来事というカタチを取りながら、下地になる神話のエッセンスが濃厚に見え隠れします。
もちろん、人類の命運を担うほどの研究をしているという設定の割に脆弱過ぎる環境に彼らがいることや、
最大のキーポイントである「この物語のパンドラの箱」が、確かに幻想的ではあるけれど「あんなものなの?」とツッコミどころもたくさんあります。

あれが何なのか解っているなら、世界はなんで放置してんの??
絶対解明されてるだろーが!!!なんか手を打てるでしょ!!!

と、絶対に思うだろうし。

セカンド・チルドレンを隔離して研究しているのは解るけど、人類が滅亡するかしないかの切迫した状況で、彼らを「人間的に育てる」→研究に「人道性」が介入し→結果、研究が瓦解してしまう・・・・
というのは有り得そうだけど、現実味が薄いのでは?と思います。
そこまで逼迫した状況ならむしろ問答無用でしょうな。

しかしながら、徹底してギリシア神話を下地にしている本作。
この象徴的な説話(日本語副題のあれです)の通り、重要な選択(決断)を迫られる3人の主要人物が結末からすると『全員女性』でしかもそれぞれ『若年・成年・熟年』と世代が見事に別れているのには唸りました。

ゾンビホラーだと思って観てしまうとこの物語の本当のところを観るのは難しいです。
文月も「なんだよこれ??全然怖くないし」と呆然とした口です。
この物語はホラーではありません。
そしてディストピアでもありません。
時代も世代も大きな流れの中でどうしようもなく移り変わっていく、どんなにあがいても淘汰されていく、どれぞれの世代がそれぞれ最善と思われる選択を迫られ、その結果もたらされるものをどう受け止めるのか?
そんな思考実験をした物語なのです。

人類に繁栄をもたらした『火』が象徴するのは『力』です。
その『火』がパンドラに渡った時・・・
この物語の最大の皮肉はそこです。
ラストシーンに希望を見いだせる人がいたとしたら、それはおそらく「次世代の人」なのでしょう。
少なくともワタクシには希望は見いだせませんでした。
ディストピアではなく、彼らは桃源郷を作ってしまったのだと。
むしろそういうタイトルにしたら唸ったのだけど。


2017年映画鑑賞 104本目

◆overview◆


(原題:The Girl with All the Gifts)2016年公開(日本公開2017/7/1)
上映時間:111分
・監督:コーム・マッカーシー
代表作:SHERLOCK Season3 三の兆候など
・脚本/原案:マイク・ケアリー

<メイン・キャスト>
セニア・ナヌマ
ジェマ・ア—タートン『アンコール!!』(2013)
グレン・クローズ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)
パディ・コンシダイン『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2015)


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