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2017/07/30

V/H/S 三部作 感想 ~あぅ、ごめん ごめんよぅ、ごめんよぅ、ごめん~【映画 レビュー】



はじめに。


ご機嫌いかがですか?デスキャンサー文月です。

またやって来てしまいました。
(注意:まだ本編ではありません)


というのも、2017/7/28公開 トム・クルーズ主演最新作
『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』を鑑賞したからです。

・予告編



◆ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 感想◆


評価/オススメ:★


いつもならば、あらすじや作品情報をご紹介するのですが・・・・・・・



個人的には、鑑賞後にこんな感じになってしまいました。

こんなワタクシのブログですが、感想を書いて欲しいと本当にありがたいお声を頂いて
冗談ではなく感涙にむせんでしまったのですが・・・・・・

がっかりだよ!!!

もっと言うと、

「絶望した!!!」




何がダークユニバースですか・・・・・
ジャック・リーチャーシリーズといい、最近のトム・クルーズ作品は
トムの知名度だけでシリーズ化して儲けようという魂胆なのですかね・・・・

決してトム・クルーズのせいではないのです。
(なんせ、トップガンは文月の永遠のバイブルですから)

これって、日本でもイケメンタレントでドラマ作れば内容はともあれ視聴率稼げるんじゃねー的なノリと全く同じかと。
(だからワタクシは日本のドラマはほとんど観ないのですけど)

おっ、と食指が動きそうになる面白い設定やキャラクター。
それが本作ではほとんど活かされることなく、呪われた王女様とトムの個人的な対決みたいな流れに・・・

他所でやってくれ、

もしくは「だったら仲間とか登場させなくていいじゃん」と。

じゃあ、なんですか、スタンドアロンでも何でもござれジェイソン・ボーンと対決させとけばいいじゃん。

むしろ、『ジェイソン・ボーン/呪われた砂漠の王女』とでもすればいいじゃんと・・・・

リメイク元の「ミイラ再生」(1932年)は当時としては傑作だったでしょうし、ボリス・カーロフの圧倒的な存在感は言わずもがな。

でも今作、そんな人のかけらも出ていません。

ストーリーも、仕掛けも、どこかのゲームや映画で観たことがあるものと目の肥えた方ならピンとくるはずです。

つまり、面白そうなネタをかき集めたキメラみたいな映画です。

いや、使えるアイデアはどんどん用いても構わないんですよ。
それはわたしたちの普段の仕事でも同じです。
でもなぁ、なんだろうな、この中途半端感。。。。

ということで、

販促品や公式サイト、ポスターなんかに「トム・クルーズ史上最高作品」とか書いたコピーライターか、もしくは配給会社の担当者の方へ告げます↓↓↓





トム・クルーズに失礼です。


そんな希望を打ち砕かれたワタクシ文月は、最近未鑑賞の旧作のPOV、モキュメンタリー映画をたくさん観ています。ザ・マミーの帰りにレンタルショップで借りた作品を今回ご紹介しようと思います。

これからご紹介するものは
あ、ホラー映画です。そして新作でもありません。ご注意ください。
旧作で、結構叩かれているもの(≒賛否両論)ですが、個人的にはツボでした。

だって、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』より何倍も面白かったんだもん!!!!
(あ、でも吹替では森川智之さん、中村悠一さん、沢城みゆきさん、山路和弘さんと豪華で素敵な方々が当ててらっしゃるみたいです!!それは観たい!!ワタクシ、字幕でしたから。逆に言えば、それだけですが(汗))

立て続けに全部観てしまいました・・・・


という訳で、本編。


配給会社の方、

あぅ、ごめん ごめんよぅ、ごめんよぅ、ごめん


※出典:カルト的名作「ムカデ人間」より。
こういうのを史上最高とか言うんだよ・・・


◆V/H/S  三部作 感想◆


・V/H/S シンドローム
評価/オススメ:★★★☆☆

・V/H/S ネクストレベル
評価/オススメ:★★★★★

・V/H/S ファイナル・インパクト
評価/オススメ:★★☆☆☆

総合評価/オススメ:★★★★☆
V/H/S ネクストレベルが牽引

◆synopsis◆


・V/H/S シンドローム



・V/H/S ネクストレベル


・V/H/S ファイナル・インパクト


◆comment◆

粗いけど、面白い!!!!!!
この映画を3本一緒にご紹介できる理由は、
大枠の物語、設定は完全に無視して構わないからです。

いわゆるファウンド・フッテージ形式の映画で、
もっと解りやすく言いますと、

ジャンルもモチーフもバラバラのオムニバス形式の短編が詰まった作品なのです。

1話完結型。
そして、観る側にほとんど解説や説明なんてなしに、ぶっ込んできます!!!!

素敵です。

作品全体の解説としては、日本でもおなじみ呪いのビデオ系であり、
大枠の物語の主人公たちはひょんなことから、山のようなVHSビデオを発見。

主人公たちは訳の分からない恐怖映像の数々に戦慄していく、
あるいは観ているワタクシたちは衝撃≒笑撃の展開にワラワラしていく。

手ブレはヒドイし、よく目を凝らさないと見えないし、意味が解らない、なんて
声がレビューでも上がっています。

でも、これって、製作陣がある狙いのもとに演出しているだけです。

それは取りも直さず「素人が偶然(あるいは意図的に)撮った」というものです。

この映画って、各話(という言い方をしますが(笑))
それぞれ別の監督が撮影しています。
それもその筋では気鋭の方だったり。
彼らも低予算の中で、実験的に創りたい作品をテストしているようなものでして。

それだから、当たりハズレ、好き嫌い、そんなものは気にしないで、
自由過ぎるくらい自由に作っています

とにかく、観て欲しい。
そして各話を楽しんで欲しい。
観ること、それが一番です!!!

ただし、全部を解説すると日が暮れてしまう・・・・
そんなこともあり、今回は各話を極力余計な言葉を排してご紹介、
個人評価を列挙したいと思います。

※補足
作中では流れで各話が流れていきます。
よって、これから記事にする各話のタイトルは公式サイトに準拠ていますが、
劇中明確に紹介されることはありません。
原則テープが切り替わる時、それが次話への切り替りを意味しています。


<V/H/S シンドローム>



記念すべき1作目。
R指定されています。グロいからではなく、エッチィからです(笑)

総評:荒削りだけど、面白い話はありました。
ただし、最終話でミエミエの特殊効果使っちゃったのはだめ。
あれなきゃ、良かったのになぁ。


●各話紹介

『TAPE56』
導入です。今回の主役たちのご紹介と、あの館への道のり。
ちょっと長いかなぁ。


『AMATEUR NIGHT』
・評価/オススメ:★★★★★
・下心丸出しの若者たちが夜の酒場でお持ち帰りしたのは・・・・・・
ちょっと展開がダルいのですが、悪魔の純愛(笑)心に撃ち抜かれることでしょう


『SECOND HONEYMOON』
・評価/オススメ:★★★☆☆
・録画されたビデオは新婚旅行に出かけたふたりのラブラブ旅行記となるはずでした。
でもちょっと治安の悪い街に泊まった夜に、ドアをノックする音がして・・・・
つーか、お前らなんで結婚したの!?
まさに外道!!!


『TUESDAY THE 17TH』
・評価/オススメ:★★★☆☆
・4人の若者たちが遊びに行ったとある湖畔。
その湖畔に面した森では過去に凄惨な事件があったそうな・・・・
こ、光学迷彩!?!?!?!?
つーか、このゲームどこで売ってるの?


『THE SICK THING THAT HAPPENED TO EMILY WHEN SHE WAS YOUNGER』
・評価/オススメ:★★★☆☆
・遠距離恋愛中のカップル。ビデオチャットの会話をよく聞くと、彼女は最近変な物音に悩まされているらしい。そして腕には謎のコブが・・・・
つーか、どうやったらそういうものを気づかれずに身体に入れられんの????


『10/31/98』
・評価/オススメ:★★☆☆☆
・ハロウィンパーティーに行った先で繰り広げられていたのは、別のパーティだった。
変な正義感が仇となったパーリーピーポーフィーバー。
だから、引き返すなって!!!!


<V/H/S ネクストレベル>



前作の反省(笑)踏まえた続編。

総評:この三部作の中でネクストレベルが
一番洗練されており、面白く、エグい。
これからこの作品を観られる方は、ネクストレベルを最初に観たほうがいいですな。


●各話紹介

『TAPE 49』
おなじみの導入です。
今回の主役は探偵の二人組。
助手のお姉さんが異常に可愛いのです。


『PHASE 1 CLINICAL TRIALS』
・評価/オススメ:★★☆☆☆
・最近、ネットの記事で義眼にカメラを埋め込んだ人の話題を見ました。

眼球を失った男 小型カメラを瞳にし サイボーグめざす カナダ

ネタとしてはそれです。カメラを目に埋め込んだことで、「わたしにも敵が見える!」となった男のお話。
何このあり得ない言い寄られ方(汗)


『A RIDE IN THE PARK』
・評価/オススメ:★★★★★
・ゾンビです。あとは察せよ!!!!という作品。


『SAFE HAVEN』
・評価/オススメ:★★★★★★★★★★!!!!
・個人的には本作の中で一番イカれている作品。
あるカルト教団の施設に取材に出かけたクルーたちは、狂気に満ちた状況に陥ることになる。
ホラー版の「サクラメント 死の楽園」と言えば察しがつく方もいらっしゃる。
ま、クルーたちもゲス(笑)だったしな!
リアル北斗の拳が一瞬観られるのも魅力。
あ、あべし!!



ぱぱぁ。

もう一度言う、

ぱぱぁ。


『SLUMBER PARTY ALIEN ABDUCTION』
・評価/オススメ:★☆☆☆☆
・笑撃の問題作。ぱぱぁにやられた後のお口直し程度の作品。
ドッキリクルーみたいな動きじゃなくて、「彼ら」ももっと普通に動くと思うよ。
さっさと逃げろって!!


<V/H/S ファイナル・インパクト>



調子に乗って製作したとしか思えない作品。

総評:ネットで大部分の方がレビューされているように、
別に観なくても良い作品。
(この作品だけ、ネットの配信もないようだし(汗))

ただここまで観てしまったワタクシとしては、最後まで付き合うという
劇中の主人公たちと同じ気持ちになっているのでした・・・・


●各話紹介

『Vicious Circles』
おなじみの導入。今回の主人公にはまったく同情の余地はありません。
ただし、彼女どうやって誘拐されたの?!?!!?


『Dante The Great』
・評価/オススメ:★☆☆☆☆
・いきなりこれかい・・・・とちょっと萎える方もいるかもしれない。
ある売れっ子マジシャンの秘密。
このドクター・ストレンジもどきがっ(笑)


『Parallel Monsters』
・評価/オススメ:★★★★☆
これだけは面白い(笑)平行世界への扉を開けてしまったある男の発明。
そこにはなんと「あちら側」の自分が立っていた・・・・
驚きのまま、好奇心からお互いの世界を見て回ることにしたのだが・・・・

おっきしちゃったぞ!が洒落にならない展開に笑撃の最後。
うーん、美味しかった。

どこの世界でも、奥様を怒らせてはいけません。


『Bonestorm』
・評価/オススメ:★★★☆☆
・スケボーでクールなビデオを撮影したかっただけの若者たち。
メキシコのとある場所で撮影を試みたのだが、妙な格好をした女に声をかけられて・・・・
後半はただのアクションゲームです。
ある意味クールな撮影できたじゃん(笑)
でも、あの女やあの連中の出で立ちに少し期待したワタクシが馬鹿だった!!


いかがだったでしょうか?もしも最近の大作に少々食傷気味だというそこのアナタ。
旧作探訪の度に出かけられるのも一興かと思います。

あぁ、まだ観ていない映画たくさんあるなぁ。





またお会いしましょう。


2017年映画鑑賞 136~138本目



◆overview◆

・原題:V/H/S
2013年公開
・上映時間:116分

・監督:   
アダム・ウィンガード
デヴィッド・ブルックナー
タイ・ウェスト
グレン・マクエイド
ジョー・スワンバーグ
レイディオ・サイレンス


・原題:V/H/S 2
2013年公開
・上映時間:96分

・監督:   
サイモン・バレット,
アダム・ウィンガード,
エドゥアルド・サンチェス
グレッグ・ヘイル,
ギャレス・エヴァンス,
ジェイソン・アイズナー


・原題:V/H/S: VIRAL
2014年公開
・上映時間:82分

・監督:   
マルセル・サーミエント
グレッグ・ビショップ
ナチョ・ビガロンド
ジャスティン・ベンソン
アーロン・ムーアヘッド

2017/07/15

パワーレンジャー 感想 ~ワンチャンス、ありますよね?~【映画レビュー】



◆パワーレンジャー 感想◆

評価/オススメ:★★★★☆
(いい話ではあるんです!!!!)

◆synopsis◆


遡ること時は紀元前。
古代の地球で世界の運命を決する、大きな闘いが終焉を迎えていた。
ある5人の戦士たちによって守られた地球。
そこにはやがて新しい命が芽生え、物語は現代に帰ってくる。

小さな町・エンジェル・グローブに、普通に暮らす若者たちがいた。
ジェイソン、キンバリー、ビリー、トリニー、ザック。ありふれた日々を過ごす彼ら5人は、
偶然にも同じ時間・同じ場所で不思議なコインを手にし、超人的なパワーを与えられる。

自分たちの力に困惑する彼らの前に現れたのは、
かつて世界を守っていた5人の戦士=“パワーレンジャー”の一人・ゾードンと、機械生命体・アルファ5。
古代の地球で封印された悪の戦士=リタ・レパルサが蘇り、
再び世界を滅ぼそうとしていること、そして彼ら5人はその脅威に立ち向かうべくコインに選ばれた、
新たな“パワーレンジャー”であることが明かされる。

しかし、自らの運命を受け入れられない彼らは、まだその秘めたる力を解放できずにいた。
地球に残された時間はあとわずか。果たして彼ら普通の高校生に、
この世界を救うことができるのか?
世界が、そして仲間たちが危機にさらされた時、ついに“その力”が目覚める。

※公式HPより

◆comment◆

ずいぶんと気前の良い第一話・・・・
またもや『始まりの物語』・・・・

吹き替えに杉田さんが参加している、ただそれだけの理由で字幕版の後で吹き替え版を観てしまった。(水樹さん、三上さん、沢城さんももちろん)

ご存じの方が大半だと思いますが、日本発のヒーロー戦隊をアメリカで
リメイクしているのが本作の下地となるMighty Morphin Power Rangersです。

ゴジラにしろ本作にしろ、ハリウッドリメイクというのはある種のギャンブル。
(ドラ○ンボールの事言うなよ!!ゼッタイだ!聖闘○星矢のことまだ触れるなよ!!)
俳優さんも、吹替え陣も豪華、宣伝も派手・・・・嫌な予感だ。
と個人的にはハラハラしていたのですが・・・・

もの凄くコテコテの爽やか青春ドラマでした。

とは言え、本作は個人的には非常に困りものです・・・
何が困るかというと、特に真新しい発想のストーリーでも、設定でもないのです。。。
あ、これLIFEの回でも書きましたね・・・

こういう一見派手だけど、実はスタンダードな作品を人にオススメするのって難しいかもと
何も難しく考えず、ストーリー単体とした場合には間違いなく「いい話ねぇ」と思われることは多いでしょうけど、好みが激しく別れそうな気がしないでもない。

本作にド派手なアクションを求めた方には、本当に終盤までオアズケをされるでしょうし、若者の爽やかなラブストーリーとも言えない。それっぽぉい、甘酸っぱさは感じますけど(笑)

まったくもって偶然に、ある日突然超人的な能力を手に入れてしまい、それに戸惑いながらもそういう運命と向き合う・・・ヒーローものそのまんまのお話です。
けっこう無理矢理使命を押し付けられた感を受けましたけどね(汗)

等身大の自分と向き合うという一番多感な時期を迎えている彼らが主人公だからこそ、爽やかさが絵面から失われない仕上がりになっています。

そういう意味で「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」とものの見事にトーンが対照的ですよ!!!

MARVELやDCヒーローとは一線を画しているところは取りも直さず「日本のヒーロー」が元になっているからで、そこが過度にアメリカナイズされていないところは、ワタシ達も安心して観ていられますし、それなりに熱い想いを抱いてしまうのです。

本作では「普通の少年少女たちがヒーローになるまで」のドラマが重厚すぎるくらい重厚に展開していきます。

ドラマパート8:戦闘2ぐらいの配分です。

不思議なことに飽きませんでした。
むしろ、ドラマパートだけ連続ドラマとして放送して欲しい。

あぁ、いいなぁ、、、なんて思ってしまったり(笑)

パワーレンジャーとして平和を守るための戦いは、本当にクライマックスでしか描かれない。
プロセスを大切にした丁寧な物語。

あぁ、なんとかお伝えできる表現を書けたのかも知れないです♫

それでも「あのテーマ曲」が流れた瞬間には興奮しましたよ!!!
オアズケをされていた事も相まっていたんでしょうけど。

オレたちの戦いは今始まったばかりだ!
君も後楽園遊園地で僕と握手(激しく古っ!!)

そんなぶん回し方でお話は纏められています。

これはゼッタイ、もうワンチャンス、ありますよね?
と言いたくなる。

というより、狙っているのでしょう。

王道は結局受け入れられやすいのですね。

結果、なんやかんやでワタクシも不思議な充実感を覚えたままで劇場を後にできました。

そういう訳で吹き替え版も完全に狙ってます!
細かいことを書くと良くないので控えますが、吹替版になった途端に「完全に日本のヒーロー戦隊」になっちゃう。いいですな。

個人的にはワタクシはイエローのベッキー・G嬢(CV:水樹さん)の爽やかなお色気にメッタメタにされてしまいました。
彼女の本業の方の曲買っちゃうんだから!!!!

そういう訳で、謎の高揚感を味わいたい方には是非ご覧いただきたいです。

そうそう。大人も子供も十分楽しめます♫

2017年映画鑑賞 122本目

◆overview◆


・原題:Power Rangers
・2017年公開
・上映時間:124分

・監督:ディーン・イズラライト
・脚本:ジョン・ゲイティンズ

・メイン・キャスト
デイカー・モンゴメリー
ナオミ・スコット
RJ・サイラー
ベッキー・G
ルディ・リン
エリザベス・バンクス
ブライアン・クランストン
ビル・ヘイダー
デビッド・デンマン



2017/07/07

ジョン・ウィック: チャプター2 感想 ~ジョン、仕事やめるってよ~【映画レビュー】

[映画感想]


◆ジョン・ウィック: チャプター2 感想◆


評価/オススメ:★★★★★★★★★★!!!!!
(もっとあげたい)

◆synopsis◆


伝説の殺し屋ジョン・ウィックによる壮絶な復讐劇から5日後
彼のもとにイタリアン・マフィアのサンティーノが姉殺しの依頼にやって来る。
しかし、平穏な隠居生活を望むジョンは彼の依頼を一蹴した。
サンティーノはジョンの思い出の詰まった家を無残にも破壊。
一命をとりとめたジョンはサンティーノへの復讐を決意。
生命の危険を感じたサンティーノはジョンに膨大な懸賞金をかける。
世界中の殺し屋の標的となったジョンのたったひとりの戦いが始まる。

※公式HPより
※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正

◆comment◆


皆様、2017年7月のエンタテイメント作品はジョン・ウィックで決まりです。
特にアクション好きの皆様は叫びながら海にでもダイブしたくなるぐらい、興奮すること間違いなしです!!!!



2017年7月7日本日から公開です。


予告編はドラマチックすぎる繋ぎ方が本編への導入としてはちょっと。
展開は激しくももっと静謐な感じです。
この予告編は予告編として好きなんだけど。。。。


あぁ、しかし劇場から出ても興奮で指の震えがとまらない。。。。
キーボードがうまく打てない。
誤字脱字は興奮状態で書いている人間だということで、ご勘弁を(涙)
あとで見直しますので(汗)
アドレナリン全開です。。。。


さて、これ嬉しい意味で困ったぞ。
説明しなくても、お好きな方には不要ですな。
監督、脚本、製作総指揮にお名前を連ねている方の経歴はこの方面の映画を作るのに何の違和感も感じません。公式サイトにも書かれていましたが、キアヌとは既にマトリックスリローデットやレボリューションズでも絡んでいて気心が知れた仲です。
デビット・リーチは『デッドプール』の続編の監督も務めます。

主演は(本シリーズで復活とか書かれて良かったね)キアヌ・リーブス。
宿敵を演じるのは「野良犬たちの掟」や近年だと「二つ星の料理人」でも好演のリッカルド・スカマルチョ(舌噛みますね)
殺しの世界の掟の王、コンチネンタルホテルの支配人にはイアン・マクシェーン。
コンチネンタルホテルの忠実なる案内人にランス・レディック
(個人的にはランス・レディックのお上品さに撃沈)
ジョンを付け狙うことになるキャラが見事に対照的なライバルにコモンとルビー・ローズ。
コモンは『スーサイド・スクワッド』でもいい味出ていましたが、本作ではジョンと互角に渡り合う名シーンを演じます。特に地下鉄のシーンは必見。
本作のクワイエット(笑)ルビー・ローズ。その辺の殺し屋顔負けの華麗な技でジョンを追跡します。言葉を発しない彼女のハンドガンもサイレント。
どうでもいいですが、ルビー・ローズさんの出で立ちは、どう見てもSNKの名作格闘ゲームであるKOFのキングです(余談)

そして忘れてはいけないモーフィアス、ローレンス・フィッシュバーン。
ジョンとはなにやら因縁がある仲。
殺し屋の世界も複雑だと教えてくれます。
本作でもバリバリ預言者です(笑)

さて、本題に・・・
この物語に関しては、複雑な伏線もトリックもどんでん返しもございません。
そういう余計なものはオッカムがカミソリできれーいに剃り上げてしまっています。
だから身構えずにスクリーンを見つめてください。

物語は前作の終了直後から始まります。
というか、オープニングのこの導入までが前作「ジョン・ウィック」だったんですね。
そういう訳で予備知識として入れておくのは「前作」だけで良いのです。
そのあたりは親切過ぎる。

映画好きの方には鑑識のような目をお持ちの方も多数いらっしゃいますので、ワンカットワンカットの意味や配置された家具、調度品、BGMに至るまで丸裸にするみたいにすることで無常の喜びを得る(もちろんわたしもそうですが)という楽しみ方もございますが、本作に関してはそうしたものは物語の装飾品でしかございません。

なぜか???
というのも、ストーリーはジョン・ウィックにとってそれほど重要ではないのです。
ジョンという伝説の殺し屋がいかに戦うのか?
いかに魅せるのか?
そうした状況をわたしたちは追うのです。
つまり『ジョン・ウィックという世界』それ自体が物言わぬ物語そのものなのです。
この感覚は戦闘がシステマティック過ぎているが故に、あたかも物語ではなくミュージックビデオでも観ているような錯覚すら呼び起こします。
1作目も本作もその太い柱だけは背骨としてしっかりと建っていて、一切ブレていません。

だから
本作は考えるのでも、感じるのでもなく、
ひたすら『観る≒魅る』映画なのです。

研ぎ澄まされた現代の演舞、所作。

一切の躊躇いなどない急所への攻撃。
撃つ、捌く、仕上げる、次の標的へ。
アクション映画にありがちな目まぐるしくアングルを変えるようなことはありません。
カメラワークはあくまでも静か。派手な戦闘BGMもございません。
本当のプロフェッショナルにとっては戦闘とは飾るものではなく、ルーティンワークなのです。(このあたりはゴルゴ13にも通じますね)
だから製作側がカメラをぶん回してしまうと、途端に安っぽくなる。
なるほどなぁと。
この作品の「生々しさ」ってこの演出によって昇華しているんだよなぁ。
この感覚を味わうとマトリックスとかもう見れないなぁ。
飾らないことが、かえってジョンの壮絶さを際立たせ、超人的な戦闘能力を私たちに示してくれます。

小気味良すぎる攻防の連続。気がつけば死屍累々。
連続しているくせに、ひとり捌く度に「おったどー」と聞こえんばかりの高揚感。
そして銃撃はあくまでセミオート、そしてメインアームはハンドガン
これで萌えないのは男の子ではありません。
これ、、、、TPSやFPSが個人的に好きだからだけど、ヒットマークとか獲得経験値と連続キルメダルがチラついてしまうのですよねΣ(´∀`;)
どこのプロゲーマーが操作してんだと。
あのぉ、手元カメラ見せてください。
エイムbot使ってませんか?
戦闘終了後のラウンドクリア感が満載なのもいけないですよ。。。

だから1作目についてもストーリーが単純だとか、入り込めないとかいうレビューもございましたが、それは製作側がどこに力点を置いてこの映画を作ったのかが違っていただけなのです。
本作では調度品は装飾でしかないと先程は書きましたが、この作品の叙情性を最大限に高めるために、用いられる全てのアイテム、全ての場所、全ての脇役の方は配置されています。

これほど明確な意図のもとで一貫して構築された世界観。
現代を描いているはずであるのに感じる強烈な異世界感。
(もしかしたら、ジョン・ウィックの世界ってマトリックスのひとつなんじゃないの?とかいう幻想を抱くわたしはどうかしている!!!!)

そういう意味で作品を追っていくと、体内の水分が全て口から出ちゃうくらい垂涎ものの
シーンしかありません。製作側のこだわりは執念と表現しても過言ではないぐらい恐ろしいものがあります。

ひとつひとつの乗り物も、衣服も、文房具も、調度品も、舞台も、もちろん武器も言葉ですら・・・・何度も見直して視覚的に「愛でる」あるいは質感や手触りすら感じたくなる。
そんな作品です。

ストーリーではなく、彼らの住む世界(ニューヨークなんだけど、私たちがイメージするニューヨークは一切出てこないしなぁ。見慣れたものですらファンタジーに感じるもんなぁ。出演者が持っているイメージが強すぎるのかも)に入り込むことができれば、
ジョン・ウィックという作品は観ている側にとって無常のものとなるでしょう。

この感覚は「キングスマン」では感じなかったなぁ。
あれも大好きなんだけど、あっちの方が『マトリクス』寄りに感じたものなぁ。
キングスマンは世界を作っているというより、アクションにドレスを被せたようなものだもんなぁ。

ワタクシは即テーラードスーツを作りたくなりました。。。
もちろん黒の。

Q「裏地はどうなさいますか?」
A「戦闘用で」
※世界でジョン・ウィックだけが似合う台詞ですな。。。。

ところで、ジョンの勝負服が黒であることは暴力の象徴で、もっぱら戦いは夜間であることもその後ろ暗さを表現していると考えたのはワタクシだけでしょうか。

また、これは小説でも言えることですが見せ場や美味しいところを観客、読み手に媚びるように説明していないところは本当に個人的に好きな構成です。
用語集なんかも公式サイトにないし。それも良し。
ディテールって創り手が『表現する』ものであって「実はこの話のこれって、こういうことなんですけど解りますか?」なんて過剰に教えてあげようとする姿勢は物語をメタボにしてしまう危険性があるものです。
そういう方のお話は、映画でも小説でも、ワタクシはパスかなぁ。

ルール、秩序、掟、というワード
社会を構成するためには必須ではあるけど、反面人を縛り付ける鎖としてこのワードは散りばめられていて、強烈なメッセージとしてあげられます。

現代のこの世の中で『自由であること』とはどういうことなのか?
どれほど有能であっても『システム』に組み込まれることでした人は生きていけないのか?

『システム』に組み込まれることで得られる安心感。みんな感じてますよね?
その恐ろしさ。。。。。

ジョン・ウィックも、そして新しい相棒として存在感があるワンちゃんも、自由に生きることの答えをこれから出さないといけません。
ここまで来ると、あのワンちゃんがジョンの元に来た経緯にもこの作品のメッセージが感じられる。。。なるほど。

ただ、終盤のシーンで「すべての目がお前を見ている」という重要な演出があるのですが、アメリカのそして今の世の中のあり方、個人の自由の危うさ≒国家による『自由の保障』と代償としての『管理』の有様が、痛烈な皮肉として表現されているのには脱帽です。

あぁ、そうか、結局ジョン・ウィックの世界とは今のアメリカ(まわりまわって日本も)なんだ、と。
そうした皮肉たっぷりに異世界として世界を作り上げたこの作品は、実はとんでもなく深いのだなぁ。

ラストシーン。
彼らの背中からは哀しさ(悲しさではない)とともに、本当の戦いを始めるという闘志を垣間見れます。
(でもこれアメリカとか、国家、社会のあり方を皮肉ってるんだろうなぁ。下手なディストピア映画よりズシンと来るなぁ)

この映画は四の五の言わずにご覧になることが最も楽しめます。
まずはご覧になった上で、この叙情的で官能的な世界に浸ってみてください。
きっとそこは新しい『マトリックス』の世界(笑)です。

2017年映画鑑賞 114本目

◆◇番外編◇◆


明日からできるサラリーマンがジョン・ウィックになるための5つの方法

①仕事は必死に習得すること。芸術になるまで自分の仕事を高め続けよう。
②そうして仕事はできても、無駄口は叩かず、自慢もするな。仕事は背中でするもの。
③言い訳ではなく、YESとNOは誰に対してもハッキリ言うこと。
④この3つができれば自然と「自分の流儀」を確立できるはず。確立させよう。
⑤「自分に相応しい格好」をしよう。キーワードは統一感。

Lifehackerあたりが書きそうなので(笑)今回は先手を打ってみました。

◆overview◆

・原題:John Wick: Chapter 2
・2017年公開
・上映時間:122分
・監督:チャド・スタエルスキ
代表作:『ジョン・ウィック』
・脚本:デレク・コルスタッド
・製作総指揮:デビット・リーチ

<メイン・キャスト>
キアヌ・リーブス
イアン・マクシェーン
ローレンス・フィッシュバーン
リッカルド・スカマルチョ  
ジョン・レグイザモ
フランコ・ネロ
ルビー・ローズ
コモン
ランス・レディック

2017/06/01

LOGAN/ローガン 感想~ああ、気になさらないでください。多少時間が たったパンでも湯気をあてると、けっこうおいしく食べれるものです。~【映画レビュー】

[映画感想]

◆LOGAN/ローガン 感想◆


評価/オススメ:★★★★★

◆synopsis◆


ミュータントの大半が死滅した2029年。
長年の激闘で疲弊してしまい、生きる目的も失ったローガンはアメリカとメキシコの国境付近で雇われリムジン運転手としてひっそりと働いていた。
X-menであったことを隠し、自分とも向き合うことを拒むローガン。

しかし期せずして起こしてしまった事件により、ある組織に存在を知られてしまう。

そしてローガンの前にガブリエラと名乗る女性が現れる。
彼女はローラという謎めいた少女をノースダコタまで連れて行ってほしいと頼んできた。
組織に追われているローラを図らずも保護することになったローガンは、チャールズを伴い3人で逃避行を繰り広げることになるのだった・・・

◆summary◆

本日2017/6/1公開です。
さすがに注目されていただけあって、公開前だというのに
結構な情報量で作品についての言及があった本作。
(お幸せな試写会組の方などもいらっしゃいますから)

ワタクシとしては未鑑賞の映画については可能な限り公式サイトや特集記事やスタッフなどのインタビュー記事だけを見て作品に臨むのが好きなので、毎度いろいろな方のレビューを見たい衝動を必死に抑えています。

本作については劇場に運ぶ直前に見た出演者のインタビュー記事が『LOGAN/ローガン』を理解するのにドンピシャにハマったのと、ワタクシが個人的に刷り込まれている
ある宿命的な(笑)ものの見方(偏見、偏愛)が鑑賞直後から頭を巡っております。

これからようやくいろいろな方のレビューを見させてもらいます。
おそらく読ませていただくほどに、ワタクシの宿命的(笑)な理解の偏りを感じることだと思います(後述)

本作を理解するのにワタクシはこの作品を参考に致しました。

クリント・イーストウッド監督主演『許されざる者』(1992年)です。

ヒュー・ジャックマンの本作のビジュアルが恐ろしいくらい『許されざる者』のクリント・イーストウッドとダブりました。

解説にネタバレに繋がるものがありますが、もうウィキペディアにすらストーリーの核心が書かれている状況で・・・・(2017/6/1現在)

ですのでワタクシとしては、詳細には触れない形で作品を通して見えてきたものを書かせてもらおうと思います。

◆comment◆


え?X-MENがロードムービー?
と、簡単に思ったワタクシは
このお話をキチンと解っていなかったのです。

すごくいいんですよ!!
繰り返します!!
すごくいいんですよ!!!
素敵な映画なんです!!!!
でも・・・・
さぁて困ったぞ・・・・というのが、劇場から外へ出たときの印象でした。
うんうん悩んでしまったんですよ、実は。
ストーリの奥に一体何があるのか??と。

前述しましたが『許されざる者』からヒントを得て、ワタクシなりにこのお話を消化できたのではないかと考えます。

『許されざる者』については、こちらの記事に掲載されていたヒュー・ジャックマンのコメントのお陰でたどり着くことができました。
http://screenrant.com/if-x-men-were-in-mcu-hugh-jackman-would-keep-playing-wolverine/(英文)
https://oriver.style/cinema/wolverine-professor-x-come-back/
(↑↑ORIVERcinemaより:記事を書かれたTakatoshi Inagaki様、本当にありがとうございました。)
※映画に出てきたのは違う話やんけと既に本編をご覧になってからこちらに来て頂いた方、すみません。
そちらについてはあとで書きますから。

長いので珍しく区切ります。

本作のあらすじなどは公式サイトや他の方のレビューに譲ります。

①はじめに

まずひとつ、映画をまだご覧になっていない方にご案内です。
これまでの「X-MEN」のノリで観てしまうとガッカリされますよ、きっと。
それにスーパーヒーロー万歳の「アベンジャーズ」とも、個人的には最高の「デッドプール」なんかとも同じ感覚ではこの作品は観られません。
DC作品になりますが「ダークナイト」とも「バットマンVSスーパーマン」ですら、この際違うと言ってしまいます。

ダークという形容詞では本作は捉えられません。

LOGAN/ローガン』は『かつてヒーローだった』ひとりの男による血生臭く、無骨で、不器用な生き様を描いた作品です。
そしてヒーローですら所詮は虚構に過ぎないと『本作』のウルヴァリンの姿を通して痛烈に表現しています。
それでも、それでも、紡がれるもの、受け継がれていくものを護ろうとする
『ひとつの時代の生き残りたち』の葛藤と決別がテーマです。

②『LOGAN/ローガン』を堪能するために

ヒュー・ジャックマンがインタビューで答えた『許されざる者』への言及。
お陰でなるほどと腑に落ちました。

『許されざる者』MovieWalker様の記事。
http://movie.walkerplus.com/mv10321/
ちなみに予告編(英語版です)


LOGAN/ローガン』の根源的な部分は、確かに『許されざる者』を通して紐解いていけそうです。

<『許されざる者』ストーリー>
 
 主人公のビルはかつて冷酷な無法者でした。しかし最後に人殺しをしたのは11年前であり、現在は幼い子どもと貧しい生活をしています。

 体力もないし、勘も衰えている、今では馬にも満足に乗れない(この辺は劇中何度も転ぶシーンが象徴しています)、そして全盛期には何の苦もなく扱えたであろう射撃の腕もかなり鈍くなっている(庭での射撃シーンはある意味胸が苦しくなります)

 「名を馳せた無法者」の力を借りようと、賞金首を追うためビルを誘いに来た若い甥っ子であるキッドから、過去について言及された際に感じる苦い思い。
 この辺、劇中にローガンが『ウルヴァリン』の過去について触れられたりコミックにされている自分の虚構を苦々しく感じているところと共通しています。

 それでもビルは「子供の将来のためお金が必要なため」モーガン・フリーマン演じるかつての相棒ネッド・ローガン(奇しくもローガン!!)とともに、娼婦をナイフで傷つけたふたりの賞金首を追うことにします。
 ビルとしてみれば、今の自分を知っているかつての相棒と組むことで、自分の弱点をカバーしたかったのでしょう。
 ただし相棒のネッド・ローガンも、今でも腕には自信があると言っていたものの、いざ賞金首を奇襲した際には抵抗を止めた人間にトドメをさすことを躊躇い、震えてしまいました。

 ビルもネッドも殺した相手に魘されるなど自分の無法者としての血、つまり過去によって深く傷ついているのでした。ただし後悔をしているというより、どうしようもないものだと受け入れて戦っているのです。
 その苦しむ様はものすごく哀しくし、愁しい。

 最初の賞金首を仕留めたのは粋がって殺しを自慢していた(5人殺したと言っていた)甥っ子ではなく、ビルでした。
 居た堪れなくなったネッドは途中でパーティを抜けることにします。
 しかし運悪く捕らわれてしまうネッド。
 彼はジーン・ハックマン演じる(ものすごく好演)保安官らによって激しい拷問を受けてしまいます。

 その間にビルと甥っ子は二人目の賞金首を殺害し、逃走することに成功します。
 じつは甥っ子にとってそれは『初めての殺人』でした。

 期せずしてネッドは同じ日に保安官達に撲殺され、遺体は無残にも酒場の入り口に晒されてしまいます。

 ビルが今の苦しみを内包したまま過去の血を取り戻し、単身保安官達と対峙するきっかけは「許されざる時」を共有した相棒の無残な死だったのです。
 
  保安官が手下とともに残りのふたりを追い詰めると息巻きながら酒を飲んでいるバーにたったひとりで現れたビル。
  静かだが屈強な男どもが凍りつく程の怒り。
 
 そこには時に抗うことを諦めてしまった老人の姿はありませんでした。
 恐れられた冷酷な無法者。容赦など持ち合わせていない「殺し合い」が当たり前に行われていた時代の自分。
 
 そのビルが臨む最後の、そして圧倒的な戦い。
 
 全てが終わった時、ビルの後ろ姿には『己は結局無法者であること』へのどうしようもない哀しみが溢れていたのです。

 保安官のいわば傍若無人な姿は「自分の過去」にも通じていたのでしょう。
 ビルが初めて彼らと出会った際一方的に殴られるのですが、それはビルが「自分の過去」によって傷を抉られていることを意味していることに他なりません。

『許されざる者』とは、かつての冷酷な自分たち(ビルとネッド)であり、粋がって「殺し」を背負ってしまった甥っ子であり、秩序を守ると言いながら街を支配する保安官であり、彼に従ってネッドを殺したり、無法をしていた手下、仲間であり、逆説的に賞金稼ぎに殺しを依頼した娼婦たちであり、黙って見ているしかない民衆であったり、つまりはその時代のモラルでした。(=制作当時のアメリカも暗喩しているのでしょう)


・・・さて、

③オールドマンローガンと『許されざる者』のビル

・ビルはかつては名を馳せた無法者だったが、妻のお陰で改心し今では子供のために生きようとしている(病気で亡くした妻の面影を追う)

・ローガンはミュータント最強の名で知られていたが、現在は老いの影響があり往時の能力が失われつつある。期せずして、自分の遺伝情報を持った”少女”と邂逅してしまう。

 ビルは必要に迫られて賞金首を追うことになりますが、ローガンは状況が飲み込めないままで、なし崩し的に脅威からの逃亡を図ります。
 ローガンが望んでいたのは戦いではなく「世間から離れて静かに安全に暮らせる場所」でしょう。
 ミュータントとしてではなく、X-MENとしてでもなく、ましてや『ウルヴァリン』でもなく、ひとりの「ローガン」として。
静かに普通の市民として暮らしたかったのは『許されざる者』のビルも同じでした。

 しかし、特異な存在であるからこそ世界はそうした者を放っておくことはしないものです。ローガンは『ウルヴァリン』としての自分と否が応でも向き合うことになります。
 それが”少女”である(ここではまだ”娘”ではない)ローズとの出会いであり、自身の過去の象徴として現れた『X-24』でした。(X-24が何であるかはここでは書きません)

 ある意味で親であり、敵であり、友人であったプロフェッサーXはローガンからしてみれば「自身によって」害されてしまったようなものです。

※このあたり、ローズを守ること、プロフェッサーXを守ること、『X-24』を含めて『ウルヴァリン』に追いすがる敵を倒すことはどこまでも「自分の宿命」とローガンを対峙させる構図になっていて、『許されざる者』のビルが過去の亡霊に苦しむ様と重なります。


④『許されざる者』が象徴するもの

『許されざる者』の舞台は1881年です。あの有名なOK牧場の決闘があった年。
ワイルドウェストと呼ばれた西部開拓時代の終焉にあたる年代です。

というのも1890年に入るとアメリカはフロンティアの消滅が唱えられ、またインディアン戦争は集結し、進歩主義時代の幕開けであり、ここから先は帝国主義~世界大戦の時代へと加速していきます。

アウトロー、カウボーイがもはや『記録上のもの』や『伝説』となってしまう寸前です。

本当に冷酷な無法者だったビルの重さと、ファッションとして無法者を演じていた甥のキッド。
『許されざる者』が描くもうひとつの重要な描写はこのふたりの対照的なスタンスです。

 甥っ子のキッドは、賞金を受け取った後で人殺しはもうたくさんだとカウボーイのアイデンティティであるリボルバー(武器)をためらいなくビルに向かって放るんです。
(ビルはこの後で保安官たちと対決するので、銃をよこせと迫ったんですが)
 
 武器を捨てるとは、取りも直さず無法者ではなくいわゆる「一般市民」になるということであり、次の時代にすんなり溶け込んでいくということです。
 誰かの生命を奪うという『殺し』の意味をある種中途半端に捉えていたが故に、実際に人を殺めておきながら目を背け、新たな時代に逃げ込んでしまう。
 彼らにとって武器は簡単に捨てられるものだったという悲しい事実
 というのも、彼ら若者が時を刻んでいく新時代はアメリカという国家がきちんと市民を護ってくれるように機能するからだ。

 自分で自分を護らなくても良くなるから、わざわざ腰からホルスターを下げる必要もないということ。

 皮肉なことに武器を手放した彼らの子供の世代が世界大戦を経験するのだけど。。。。

 一方で『許されざる者』の世代であるビルは、己の筋を通す手段として武器を捨てることはできなかったわけです。
 老いてもなお銃を手に戦うビルの姿が『西部開拓時代』に生きた漢そのものを象徴していたということですね。

 甥のキッドはビルの最後の戦いには同行しません。
 彼は賞金を受取ると、特に惜しむことなくビルと別れるのです。
 旧世代と新世代の呆気ないほどの決別。。。。
 これは監督であるクリント・イーストウッドからの痛烈なメッセージではないでしょうか?


⑤結局のところ『LOGAN/ローガン』とは?
 
ただ、『許されざる者』よりも壮絶なのは『LOGAN/ローガン』なのです。

 「ローガン」ではなく『ウルヴァリン』の遺伝子を受け継いでしまったのがローズ。
残念なことに彼女は『ウルヴァリン』のアイデンティティであるアダマンチウムの爪を捨てることはできないのです。
 それは取りも直さずミュータント最強である『ウルヴァリン』の遺伝子と強力な武器とともに『ミュータントとしての宿命』を背負ったまま新しい時代を生きていくことに他なりません。
 ここが『許されざる者』との最大の相違点ではないでしょうか? 
 
 ワタクシは本作の根源的な部分にはそういうものが流れていると考えました。

 ローガンもプロフェッサーXも『許されざる者』の最後の生き残りとして、辛い宿命を背負うことは目に見えている次世代の子供たちを敢えて護ろうとしたということになるのです。

 銃撃戦に最期までアダマンチウムの爪で立ち向かった『ウルヴァリン』
 どれほど不利だと解っていても、どれほど傷だらけになっても、どれほど無様であっても子供たちに迫る追跡者達の前に立ちはだかるローガンは、老いた『許されざる者』が全生命を賭して挑んだ過去と未来、双方への決別の姿です。
(まったく世界が違うのですが、長坂の戦いの張飛ですなΣ(´∀`;))
    悲しいことに、この時になりようやく「ローガン」は『ウルヴァリン』である自分を取り戻し、そして『父親』であることを受け入れたのです。

 次世代の子供たち、繰り返しますがとりわけローズについては生涯『ウルヴァリンの遺伝子情報を持つ生命体』としての呪縛は解けないことは確実なのに父は子を護ったのです。

 ミュータントの遺伝子、X-MENというイコン達のMEME、SENSEは受け継がれる。

どのようなものでも抗えないもの、老いと死
どのようなものでも抗えない関係、親と子(遺伝子)
どのような形であれ残っていくもの、GENE、MEME、SENSE

ここまで書いてしまうとバレますね。
冒頭で述べた宿命的な理解の偏りとはご存知『メタルギアソリッド』でしたΣ(´∀`;)

小島監督が打ち出した普遍的なテーマと、時代が移り変わるという寂しさと希望。
LOGAN/ローガン』にはそれがある。

『メタルギアソリッド』については小島秀夫監督好きのワタクシにはもはや刷り込まれているようなものですから(汗)これはこれで問題(笑)なんだけど。
『許されざる者』というヒントがなければ、メタルギアメインの記事になっていました。
この場合にはMGS4を引き合いに出しましたね。

だって、黙っていたけどオールドマンローガンって名前がどうしたってオールドスネークに聞こえるんだもの!!!(もちろんこちらのビジュアルもね)


●番外:劇中で用いられた『シェーン』
 もう数多く方が紹介されていますが、劇中に『シェーン』(1953年)が印象的に用いられています。台詞も引用されています。

 有名過ぎるこの映画も、一度銃を手に取るともう逃れられないというメッセージが背景にあって、それは言わずもがな『血の宿命』を暗喩しているのでしょう。

 また『シェーン』が製作された時代を象徴しているのはアメリカの光と影(戦後景気による経済の活性化、ハリウッドの黄金時代と冷戦初期の重大局面である朝鮮戦争というアンバランスさ)だと見ました。
 あえて本作に『シェーン』を用いているのであれば、そういう背景もあるのでは?
 つまり現代のアメリカへの暗喩です。と、まぁ穿った見方をしちゃいました。


で、結局オススメするの?
もちろんYESです。


2017年映画鑑賞 93本目

◆overview◆


・原題:Logan 2017年公開
・上映時間:137分
・監督:ジェームズ・マンゴールド
代表作:「コップランド」(1998年)、近年だと『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)
・脚本:マイケル・グリーン『エイリアン・コヴェナント』『ブレードランナー2049』
    スコット・フランク『マイノリティ・リポート』(2002年)

<メイン・キャスト>
ヒュー・ジャックマン
パトリック・スチュワート
ダフネ・キーン
スティーブン・マーチャント
ボイド・ホルブルック
リチャード・E・グラント



2017/04/16

グレートウォール 感想 ~気高く、美しく、禍々しい。其は長城、聳え立つ本物の『壁』~【映画レビュー】

[映画感想]
 

◆グレートウォール 感想◆

評価/オススメ:★★★☆☆
(ファンタジー、無双ゲーム好きなら満点か!!)


(原題:The Great Wall / 長城 
2016年公開(全米公開2017/日本公開2017年4月14日)
上映時間:109分

・監督:チャン・イーモウ   
・代表作:HERO 英雄 (2002年)/単騎、千里を走る。 千里走單騎 (2005年)
・脚本:カルロ・バーナード


★出演者★

マット・デイモン
景甜
ペドロ・パスカル
ウィレム・デフォー

◆summary◆


壁。

威容を誇る、壁。

内なる者には希望を、そうでないものには絶望を与えるためのもの。

この国は古来より忌むべき方位というものがあった。

それは西でも東でも南でもなく、北だ。

日本も同じですが、中国でも時代が揺り動く時にははっきりと「外圧」というものが姿を見せました。

そして、多くの場合には北から南へと、まるで巨大な神の手で押しつぶされているみたいに侵攻を受けてきました。

地図を広げてみればよく解りますが、北はがら空きなんですな。

だから遥か春秋戦国の時代から長城は作られるほど、北への備えとは大小の国家を超えた問題だったのだ。

そういう訳で『壁=長城』とは『強大』で『優麗』であり、敵からは忌み嫌われる必要があったのだ。軍事的にも、政治的にも。

その壁を巡る、ひとつの物語。

馬賊に追われた西洋の傭兵たちが、長城の前に立った時、世界は動き始める・・・・

◆comment◆


歴史アクションではなく、めちゃくちゃファンタジーです。はい。

それも進撃の○人でもなく、○双OROCHIでもなく、ドラ○ンクエストや○ァイナルファンタジーやその他有象無象でもなく、「全部ごった煮」なファンタジーです。もちろん○ールド・ウォーZでもございません。

とりあえず美味しそうな材料を全部入れちゃった鍋。そんな感じですか・・・・

え?これはどこかで観たことが・・・・、という言葉を飲み込めるかが、この映画をどのように受け止められるのかのキモです。

海外どころか日本でもレビューが割れているらしいですが(汗)
この映画は純粋なエンタテイメントとして楽しむことが一番ですね。

時代設定の宋代には長城防衛はほとんどされていなかったらしいこと、

実際の長城はこんなに強大ではないということ、
(意外と簡単に抜かれたこともある、とか何とか・・・。壁が弱いというより、攻撃してくる相手が強大であったということ)

これほど規律あふれる軍隊でもなかったらしいこと、
(と、いうよりお国柄いつの時代も、とか何とか・・・)

お国柄、外敵を「怪物」にデフォルメしたりするのが伝統なので、劇中描かれる怪物が「どこかの国」じゃないか、と勘ぐってしまうこと

世界を滅ぼすという怪物が、どうして中国にしか攻め込まないのか?という疑問。。。。

こういうことを、グッとこらえてポケットに押し込んでしまえ。
それが文月陽介的グレートウォールの楽しみ方です。

色彩の天才、チャン・イーモウ。

言うまでもなくHERO/英雄でも描かれた『幻想的』で『官能的』な色の世界を今回も惜しげもなく描いています。

これに関しては素直に、禍々しい敵から国を護るために戦う勇者たち、を、すごく華麗に描いているし、萌えました♡

万里の長城って、その存在自体が人間の想像力を掻き立てることができる『現存するファンタジー』なのだから、そこから派生するのはこういう世界なのだ。

そう、だから、純粋に
『いつも取り残される男』=マット・デイモン
が、

今作ではどうして残ったんじゃい!!!と、

いつツッコんだらいいかなぁ~、楽しみ♫ってな感じで観ていました。

ま、ジェイソン・ボーンがファンタジー世界にトリップしたら、こうなりますデス。
はい。

ただし、素直すぎる設定も、萌える出で立ちも、魅せる集団戦闘も、観る側の楽しさを考えるとこの映画は★★★★★です!3Dで観るには、こうした映画は本当に楽しい。

マット・デイモンも、きっとファンタジーしたかったんですよ。きっと。
超大作というには(キャストや投入された制作費は別)描かれるのはあまりにも狭い範囲の出来事だし、駄作というかというと、ひどくはない。

日本人にとっては、デジャ・ブを観ているような映画。とっつきやすいと言えば、そうですねぇ。それがどこか大振りすぎる当初のプロモーション内容と作品そのもののギャップという形で出ちゃうのだろうなぁ。

ただ、ワタクシはどこか、現代版スターシップ・トゥルーパーズの様な感覚に襲われました。
(あ、勘違いされてはいけないのですが、スターシップ・トゥルーパーズは原作もゴリゴリの反戦映画です)

壁繋がりで言うと、ギェレス・エドワーズ監督のモンスターズ/地球外生命体(2010年)のように、メキシコ国境に築かれた壁(あぁ、なんとか大統領みたい)を使って痛烈に某国を皮肉ったりして欲しかったですが・・・、そうではない。

壁はこれからも変わらず人々を護っていく、って感じのフェードアウトには、反戦というより別のメッセージがあるのでは?とも思えて、ちょっぴり切なくなりましたな。。。。。

ちなみにモンスターズ/地球外生命体(2010年)↓↓


しかし、今作はヒロイン9割、残りがストーリーやその他(汗)の構成。もっと言えば、ヒロイン爆死。。。
整いすぎて、現実感のない、仙女のような景甜さん演じるヒロインが
終始、男性陣のココロをそわそわさせるのでした(笑)
これはCGではありません。
いやぁ、甲冑に身を包んだ彼女の凛々しき姿は、是非スクリーンで御覧ください。

そりゃ、マット・デイモンも決死の覚悟するわ!!!!!!
傾城傾国の美女がエリート軍人とか萌えてまうわ!!!
華麗に戦うヒロイン最高だわ!!!
眼精疲労取れてまうわ!!


*景甜さん*
彼女のインスタグラムをご覧になりたい方は、こちら↓↓
https://www.instagram.com/jingtian_official/?hl=ja

あぁ、もう一回HERO/英雄観よう・・・・



2017年映画鑑賞 70本目

2017/03/07

【映画 感想】シング・ストリート 未来へのうた -他の誰でもない、「君」に 届けたい、切なすぎる心―

[映画感想]





シング・ストリート 未来へのうた 鑑賞

(原題:Sing Street)
2016年公開

オススメ:★★★★★!!!!!!!!!!!!!!!!!!

世間は「ラ・ラ・ランド」に盛り上がっていますが、地味に違う音楽映画の感想です(笑)

―僕たちはどうあっても進んでいく。
どうあってもベクトルは固定されていて、戻ることはできない。
それが当然、当たり前、そんなの普通じゃん。
もしかしたら、そう思うことすらしないで生きている。というより、
意識していたらやっていられないのかも。

だから、だからこそ、存在する。
誰もが経験するかけがえのないものとして、僕達の中に、刻まれていくもの。

「あの頃」

そう、あの頃。
ただわざわざ言うまでもなく、あの頃の連続体が今だ。
それでも、手繰り寄せる紐の長さが長いほど、価値は上がっていってしまうもの。。。。

あなたは今をどう感じていますか?

そして「あの頃」をどう感じていますか?


この映画が連れて行ってくれるのは、彼らの世界であると同時に、僕達大人の誰もが持っている「あの頃」なのです。(ま、予告編に書かれてしまっていますが・・・)


尊敬する作家の神林長平氏なんかは(というより、SFファンからすれば「文月、お前に言われることもないよ」とのツッコミを承知です)「僕達が目にする現実」とは「主観」「認識」というフィルターに覆われているから、見えているものは「リアル」ではない。
というようなことを書かれています。


そのとおり。僕達が描く今も、過去も、未来も、主観というフィルターを通して映っていて描く時の気持ちによって全く色が変わってしまうことも確かです。

だけど、それぞれのココロが通ってきた「物語」は間違いなくその人の、その人達のものであるし、他の誰にもその価値を下すことはできないのではないかな。

そう、そして僕達のようないい年齢になってしまった人にとってはいくらか抗議したくもなるけれど、今を生きる若い子(羨ましい)にとっては80年代、90年代とはもはや「ノスタルジック」さを感じる別世界になっているんだと思う。


一部の例外を除けば・・・あの頃は、何もなくて、だけどたくさん持っていた。
手をあげれば、仲間が増えて、勢いだけでも進んでいられた。
歌は今よりも遠いのに、ずっと近くにあった。
今でも同じだけど、あの頃の僕たちも「だって、歌いたいから、歌うんだ」という気持ちは強かった。


エネルギーをどんなところへも注げる特権―

つまづいても、転んでも、すぐに起き上がれる生命力―

希望を希望と素直に呼べるココロ―

全てのマイナスを、変えていける混じり気のない情熱―

例え貧しくても、苦しくても、悩んでいても、それでも夢は見られる―

夢は誰のものでもない―

それが10代という、この世で最も幸せな時代。



打算もなにもなくつるんでいた友達との、嫌な大人との、煩わしい両親との、気がついたら隣りにいる兄弟、姉妹との、そして、全てを投げ打っても想いを届けたいと「あの人」との・・・・

全ての関係がギュッと詰まった、本当に明るくて、切なくて、暖かい世界。

彼らの「あの頃」と僕達の「あの頃」が繋がった時に、胸の奥からまるで火山みたいにココロが解き放たれる・・・・
それも、とびっきり直接的で情熱的で不器用な、最高の歌とともに。
だから、こんなにも切なくなるのだろうと思う。


現在は物質的にも経済的にも文化的にも、少なくとも当時よりは恵まれている反面、何かと境界線が曖昧で、不安定に思える。

目の前の出来事がたとえ理不尽でも、グッとこらえて作り笑顔をしてしまう。
目先のことすら不確かなのに、自己顕示欲の現れ方が、あの頃と変わってしまっている。

情熱は持っているけど、ハチャメチャなベクトルではなくて、生活のためだとか、理想のためだとか、利益のためだとか、義務だとか、権利だとか・・・・
システムに組み込まれてしまった僕達はその枠の中でどうにかこうにかしてしまっているのではないだろうか。。。。。

ワタクシだってそうです。サラリーマンだし、社会の、組織の一員だし、税金払うし、生活費は持っていかれるし、背負ってしまったものを簡単には下ろせなくなってしまっている。
だけど、背負っているものは必要なものばかりなのだ。

それが肩に乗っているから、ということを言い訳にしてしまう事は決して悪いことではないのに、この物語の彼らの純粋さ、ひたむきさ、素直なエネルギーの発露を目の当たりにしてしまうと、どうして気恥ずかしさを感じてしまうのだろう・・・・・

それなのに、

突き進んで良いと、応援したくなる。

どの子も恵まれているとは言えない。
むしろ恵まれていない事が普通だ。

その中で、できる事で、やれる事で、自分を表現すれば良い。
なぜなら君らにはそれができるんだから!


おそらく多くの人が、あの頃とは別の道を歩いているのかもしれない。
それで成功している人も、満足できない人も、その途中の人も、多いのだと思う。

ある映画でも言っていたが「残念ながら、誰もが大統領になれるわけではない」


この映画をきっかけに、何か新しいことを始めようだとか、今からハチャメチャをしなさいだとか、そういうことではないのだろうな。

僕たちは最高に輝いているコインをいくつも手のひらに持っていて、それを時の巡りの度に手渡しながら過ごしているのかも知れない。
コインの輝きは決して消えることがないのだ。

そういう訳で「あの頃」は光り輝いているんだと思う。


映画の主人公は、単に憧れの娘の前で格好つけようとしただけだった。
それでも、物語は動き出す。
それでも、世界は変わっていく。
それでも、思いは熱く燃え上がる。
自分の力ではまだどうしようもない世代。
それでも、その時だからできることを、感じることを、表現できることは、将来どのようになったとしても糧になる。
それでいいんだ。それでいいんだ。

いい歳になってしまった現在だからこそ、彼らが劇中でハチャメチャすることを理解できるし、口では小うるさく言うかもしれないが、自分自身を重ねてしまうのだ。

どんなにお堅い人でも、真面目な人でも、「あの頃」は最大公約数としてみんな「同じ」じゃないか?

彼らが突き進む姿を観ながら、大切な忘れ物を拾いに行ってみるのもいいのではないだろうか?

まぶたの裏に映し出される、僕達の物語。
彼らの純粋過ぎる音楽に、その物語を浮かべて観てもらいたいと切に思うのでした。
夢を追いかけている青年だけではなく、大人が観るべき物語。

この映画に出会えて良かった。
似た感じの作品だとジャック・ブラックのスクール・オブ・ロックも大好きだけど、この映画は直接すぎて何倍もグッとくるのです。。。。

忘れてはならないもう一人の主人公がこの物語のスパイスになっています。
劇中大切な役割を担ったある人。
そのある人の姿に僕は最後の最後でやられました
この映画のラストテロップを観て、あ、この思いは正解だったと(笑)
・・・・あぁ、いい話。


2017年映画鑑賞 51本目







2017/02/26

【映画 感想】ローグ・ワン/スター・ウォーズストーリー  ―それでも、自分だってできることはある―

[映画感想]

ローグ・ワン/スター・ウォーズストーリー 鑑賞
原題:Rogue One: A Star Wars Story
2016年公開

オススメ:★★★★★!!!!!

今更感満載の更新です(汗)

―光の陰に隠れた、名も無き兵士の物語。

コジマプロダクションの小島監督も触れているが、この話にはSTARWARSの代名詞であるジェダイがひとりも出てきません。


つまり、超能力を持ったヒーローは出てこないということ。


え、スターウォーズじゃないじゃん!?という心配はご無用です。


これこそ、スターウォーズ。

サイドストーリーという枠を超え、立派なエピソード3.5です。
そして、勧善懲悪の見本とも言えたこの物語のあり方そのものを転換してくれるkeystoneになるのではないかな。

どのような主義のもとでも、どのような陣営に属していても、どのような組織の一員でも、光と陰がある。
そう、右手があって、左手があり、頭があって、脚があるのと同じように。

スポットライトを浴びる一握りの人。その陰にはいったいどのぐらいのものが隠されているのか?
決して、表に出ることもなく、賞賛すらされない、でも結果だけは求められている、そんな人がどれだけいるのか?


人の数だけ人生があり、人生とは物語足りえるのだ。


この映画は、そんな人たちの、ひたむきで、純粋な、生き様を描いている。


悪が憎いという単純な理由でもなく、成り行きだとか、選択すらできない状況だとか、意地だとか、信念だとか、言葉に出来ない動機で、自分の信じる戦いをする。

正規軍ですらない彼らが「Rogue」と名乗るしかない哀しさに、共感できる人も多いのではないだろうか。

つまり、これは僕達の物語でもあるのだ、すくなくともヒーローなんかじゃない僕にとっては。


こういう物語が出来上がり、世界中で公開されることに、こんな意味で感動してしまったのがワタクシの正直な感想だった。

そして個人的には、そこに「侍」の姿を観てしまいました。


もっと言うと、古い映画ですが「里見八犬伝」。
仁義礼智信忠。


これも古くから大切にされている「あるべき姿」です。
英雄もなにもない。フォースとともにあることだ。


フォースとは、超能力ではなく、自分の良心に従って進む信念のことなんだ。

そういえば、オーストラリアじゃ国勢調査で信仰を「ジェダイ」と書いてしまう人が多くて問題になっているというニュースがあったっけ。ある意味、すごい。

それにしてもベイダー卿の御身。圧倒的。さすが。



2017/02/21

【映画 感想】スーサイド・スクワッド  ―じゃあ、ヒーローは別の所で戦っているって事でいいね?―

[映画感想]
スーサイド・スクワッド 予告編




スーサイド・スクワッド  鑑賞

(原題: Suicide Squad)
2016年公開

オススメ:★★★★★ ドキドキ、ノリノリ、ワクワク♫

オモチャやアミューズメントのCMじゃぁ、ありません♫

デット・プール然り、ローグワン然り、マッドマックス然り、この映画然り、いわゆるアンチ・ヒーローが注目される昨今。

キレイなだけのヒーローが徐々に受けなくなってきているのかな?

いや、ヒーロー像が小市民であるこちらに歩み寄っているのかもしれない。
そう、アイドルが高嶺の花から、もっと身近になっているのと同じように。

成人君主よりも、ちょっと悪いほうが人間っぽく感じられることもありますよね。

だって、少なくともワタクシは、24/7真っさらとは言えませんから。
そういう小市民としては、完全無欠なヒーローを観ていると気恥ずかしい気持ちになることもしばしば。

ドキドキ、ノリノリ、ワクワク♫
ここで、冒頭に帰るわけですが。

この物語って、乙女のドキドキと、お父さん頑張る!って2つのテーマに集約されそうで、とっても面白かったんだけど、強烈キャラの破壊力に文月は完全にやられました。
特に、予告編でも破壊力抜群のハーレクイン。

どうしてなのかなぁ、とボーッと考えてみると、結局「やりたいように生きている」自分に素直なキャラ達がワタクシに激しく問いかけているからだと思いました。

「ねぇ、アンタ。何をそんなに固くなってるのん?」

ハーレクインが猫なで声でそうワタクシに問いかけているような、そんなデジャ・ブ。

好きに、飾りなく、自分の求めるところに素直になる。
彼らはただそれだけなんだ。でもそれが仕組みができあがっている現代社会においては「悪」というレッテルを貼られる因となってしまう。

あいつは悪者だと、指差して蔑みながら、どこかで羨望している。
見る側のその矛盾が、どうしようもないくらい彼らをより魅力的に見せてしまう。
こうした息苦しさを発散してくれる物語は清涼剤になるよね。。。。

ひとつツッコミがあるとしたら、「え?この映画の事件の時、主役のヒーローさんはどこで何をやっていたの?!これ本来あんたらの仕事じゃないの?」という、どうしようもないものだΣ(´∀`;)


【映画 感想】ビッグゲーム 大統領と少年ハンター   ―『あの時』に失ったものはを取り戻すのは難しい―

[映画感想]
ビッグゲーム 大統領と少年ハンター 鑑賞
(原題  Big Game)
2014年公開

オススメ:★★★☆☆

フィンランドの狩人の息子オスカリ。
13歳の誕生日を迎えると、本当の狩人の勇気を養うために、一晩山にこもって獲物を刈り取ってくることがしきたり。
獲物を取れなければ、一人前と認めてくれない。
でも、自分の実力不足を知っている。それを認めたくなくて強がっている。

アメリカ合衆国大統領 ウィリアム。
ハッタリと幸運だけで、大統領に上り詰めた男(ちょっと無理あるけど・・・)
度胸良く見せることだけが得意だが、内心は怖がりで、腕っ節も弱く、だらしない。

仲間に裏切られテロに巻き込まれたウィリアム大統領が、フィンランドの山奥に墜落した。
そして彼を最初に助けたのが、オスカリだった。
すぐ後ろには大統領を殺そうとテロリストが迫っている。
物語は始まる。

子供も大人もない。大人とは経験によって、良い意味でも悪い意味でも「世の中に慣れて」いるだけで、中身は変わらない。
僕だって13歳の頃から何が変わったのか問われると、「何かに歯向かわなくなった」程度しかない。

主人公ふたりは年齢の差こそあれ、似ている。
互いに何かを認めたくなくて強がっている。
設定に無理はあるけど、物語としては面白かった。
元気が出てくる映画。90分って上映時間も良い。テンポよく物語は進む。

危機を救ったのは、がむしゃらで、不器用だけど、純粋な少年が見せたほんの一握りの勇気だった。

純粋さという、若い子の持つ最大の武器であり、弱点。
忘れている大人(僕も含めて)は多いのかなぁ。。。
少年の勇気を冷めた目で見ちゃう時の僕って、きっと良くない状態にいると個人的に思う。そんなバロメーターとして、また観てしまいそう。

2016年映画鑑賞 113本目

【映画 感想】シュガー・ラッシュ  ―誰もがその時できる自分の役割を演じているだけだ―

[映画感想]



シュガー・ラッシュ 鑑賞

『シュガー・ラッシュ』(原題:Wreck-It Ralph)

2012年公開

オススメ度:★★★★☆

小島監督が3年前にコジステでコメントしていたが、ずっと観られなかった1本。

ピクサー/ディズニー映画らしく、夢と希望を与えてくれる作品だった。




1番驚いたのは「悪役」をやめて「ヒーロー」になりたいと言う主人公だ。

悪者は本当に悪者なのか?ヒーローとは、本当にヒーローなのか?



いいや、誰もがその時にできる自分の役割を「演じて」いるだけなんだ。




ヒーローも悪役も、本質的には「課せられた役割」をそれぞれの立場、状況で演じているだけなんだ。



大人こそ、この映画を観ると、この映画に出てくる誰かに自分を重ねられるはずだ。



そして毎日に中できっと忘れている何かを思い起こせると思う。




2016年映画鑑賞 103本目

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