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2017/12/02

映画_サラリーマン・バトル・ロワイヤル 感想(評価/★:1) ネタバレあり ~あの...部尉殿...こいつら全員、死んでしまいました。ならばよし!~【映画レビュー】

サラリーマン・バトル・ロワイヤル

◆サラリーマン・バトル・ロワイヤル / The Belko Experiment 鑑賞◆


評価/オススメ:★

文月的採点(13/50点) 


映画_サラリーマン・バトル・ロワイヤル 評価
この作品ジャンルは?:スリラー

オススメしたい人は?:特にいません

印象を一言で?:何のための実験かなんて解らないとか、どういうこと?

グロテスクですか?:残虐描写あり

◆synopsis◆


生存率1/80
オフィスが戦場と化す衝撃のサバイバル・アクション!

コロンビアのボゴタにあるベルコ・インダストリーズに出社した80名の従業員。

いつも通りの業務が始まった矢先、突如会社のビル内にアナウンスが流れる。

「8時間後に皆ほぼ死ぬ。30分以内に同僚2人を殺せば生き残る確率があがる」と。

安全のために避難しようとした社員たちだったが、その直後ビルの全ての窓は頑丈なシャッターで閉められ、状況を把握しようとする彼らにタイムリミットの30分がまもなく迫っていた……。

※公式HPより


◆comment◆


2017.12.2よりレンタル開始の作品です。

みなさん、ご機嫌いかがですか?

デスキャンサー文月です。

久しぶりに地雷を踏んでしまいました。。。。。。。

デスキャンサー


これは、、、、ひどいDEATH。


監督がマーベル作品にも関わっている、プロダクションは『パラノーマル・アクティビティ』や『スプリット』も手がけている、出演陣にも気を配り、つまり、結構豪華なフレームのもとでこの映画は製作されているのです。

しかしながらなんでしょう。

この怒りと虚脱感は・・・・・

まるで、景品は豪華なのに、アームのネジがものすごくゆるいクレーンゲームDEATH。

ぶべら


先日、見逃していたザ・レイド(2011)を初鑑賞して結構個人的にはツボだったのですが、
コメントを頂戴する中で「ストーリー性に乏しい」というお声も散見しました。

ザ・レイド 映画


ザ・レイド(もっと言うと「ジョン・ウィック」なんかも)は壮大なストーリーを描く作品ではなくて、極端な話VFXなんか使わないで『リアルなアクションそのもの』を表現するという単純明快な設計思想のもとで製作されているので、繰り広げられる肉弾戦そのものが「ストーリー」なのです。

説明など最低限で、打つ、突く、蹴る、払う、掴む、締める、投げる過程そのもので語っている。

ものすごく味が良いのに恐ろしい無骨で無口な頑固親父が店主であるために、とっつきにくいと思われているラーメン屋みたいな作品なのです。

だって、どういう状況なのかって冒頭の導入部分の説明で十分だったはずです。
それだけの話なの?そうです。その潔さ。

だったら、わざわざ映画という体裁をとらないで、MVや教材か、はたまたゲームかなにかでやればいいじゃないかというツッコミが入りますが、それは映画化する決裁をされた方にしてくださいまし。

ただし、こういう作品ほど火が付けばカルト的人気を誇るんです。

ザ・レイドに関して言えば「ゲームでしかできないようなアクション」を「いやいや、現実にやれるからゲームに取り入れられるんだバカモノ」と相手に本当に入れちゃうような打撃をモロに描いている点、非常に好きですわ。

ストーリー性という意味では、似たようなシュチュエーションの『ジャッジ・ドレッド』(2012)の方が遥かに作り込まれています。
が、こちらはエンタテインメント作品として製作されているので当然です。

ジャッジ・ドレッド 映画


さて、サラリーマン・バトル・ロワイヤルの前段でなぜザ・レイドやジャッジ・ドレッドなどを話題にしたかといいますと、この作品も「閉鎖空間」が舞台だからです。

もう、この記事の冒頭でデスキャンサー文月が姿を見せていますので、ネタバレ云々という理性(笑)は吹き飛んでおります。

10分持たなかったDEATH。。。。。

ザ・レイドにストーリー性がないとお感じの方。

ストーリー性がない、意味がわからない、というのはこの作品のことを言うのですよ。


ツッコミ要素がいくつかありますが、、、、『ラスト/ナイト』以来の事態で、ダメージが大きすぎました。。。

ガッツがたりない!

→過去の紹介記事

@タイトル


サラリーマン・バトル・ロワイヤル→本家バトルロワイヤルに寄せたイメージを持たせたかったのでしょうが、センスのかけらもないネーミングと言っていいでしょう。

内容観てネーミングしたのか疑わしい。バトルロワイヤルなどほぼしていないのです。

海原雄山


これ、The Belko Experiment のままでいいでしょ。。。。

むしろこっちの方が邦題の1億倍は潔い。


@舞台設定・展開

ものすごく雑に何作かを組み合わせた内容です。

登場人物はいわゆるフツーの会社員たちです。

コロンビアというただでさえ結構物騒なお国の、さらに人里離れた場所に1棟だけドーンと建てられた近代的なビルに勤めています(人材紹介会社らしいですが、そんなもの結局どうでもよくなります)

それが、とある日のフツーの勤務時間中になんの前触れもなく閉鎖されます
(窓を含めた出入口が全面封鎖されるのですが、それが使徒が現れた『第3新東京市』的な表現をしたかったらしく、飲み物を吹き出しそうになりました。安すぎて。)

そして謎の全館放送が。


「8時間後に皆ほぼ死ぬ。30分以内に同僚2人を殺せば生き残る確率があがる」


は?

これって、


「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」


のパクリでしょ?

バトルロワイヤル 今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます。


・・・当然のことながら唖然とする一同。

「そんなことあるわけないやん」

という死亡フラグの後に、これまたバトルロワイヤルの展開丸パクリの『運営側による見せしめ処刑』

バーン!!!バーン!!!バーン!!!

誘拐事件が多発するコロンビアというお国柄を理由に、社員が入社の際にもれなく体内に(後頭部の付け根)埋め込んだという位置情報発信用インプラントが実は爆弾でしたという何とも安いオチ。

本家バトルロワイヤルのギミックのほうが何倍もゾクゾクしますね。

すると人の良さそうで頼れるリーダーだった現場の最高役職者らが「こいつは誰か殺さなきゃやばい」ってんで態度を豹変。

そいつも、そいつに付き従う連中の多くは実は特殊部隊出身OBでしたとかいうご都合主義丸出しの裏設定。
(オリバー・ストーン『プラトーン』のオニール軍曹も演じていて、ここだけは個人的にwow!)

揉めるとも揉めないとも言えない、生ぬるい非難の応酬の後に彼らは決裂。

しかも最初の殺人は、揉めている彼らとは全く無縁の場所で始まるという件は激しくツッコミポイント。

そんなこんなであっけなく武器保管庫の鍵を入手した極悪特殊部隊OBと対立し、平和的に逃げようとする相思相愛なんだかどうなんだかどうでもいい主人公カップルが率いる「いわゆるフツーの人」グループの、まぁ、戦いなのかなんなのか。

こういう展開だと主人公のジョン・ギャラガー・Jr(『10 クローバーフィールド・レーン』のお兄ちゃん)も実は強かったりするかと思いきや、そんなでもない。
むしろ特殊部隊連中になびかずに彼と共闘することを選んだグット・ファット・ナイスガイの警備員の兄ちゃんの方が好きだったのに・・・・

特殊部隊の連中は過酷な特殊訓練を受けた猛者であるはずなのに、ビルから脱出する方法をマスター・キートン先生並の手腕で考えればいいのだけれど、そんなことより「運営側の意向」を満たすことだけ考える(結局良心の呵責から、主人公らに寝返る奴もいない)

と、いうことは、いよいよこれからレクイエムでも流しながら壮絶な戦いが始まるのかな?

いやいや、それもまだ始まらない。

武器なんてオフィスビルに転がっているものなぞたかが知れているので、保安庫を抑えた特殊部隊に抵抗なぞできるわけもなく、あっけなく虜囚になっていくフツーの人たち。

生き残るという事に特化して、理性の殻を破り去ったサイコも出てこない。

つまり、登場人物の方々が残念ながら立っていない。

異常度なら
「悪の教典」「バトルロワイヤル」>>>>本作

特殊部隊もハスミンにかすりもしないほどの中途半端なヒールぶり。

みんなで脱出するよりも運営側の意向を満たせば(つまり、なんの恨みもない同僚を手にかければ)帰れるということで、特殊部隊による一方的な選別と処分が始まります。

殺し合いに発展する意味、過程、焦燥感、葛藤、虚無感、何もない。

どこにも連れていかない。

そう、予告編も壮絶バトルを予感させる作りをしていましたが、それはラスト直前に申し訳程度にあった小競り合いを編集で誇張しているだけです。

バトル、アクションで言うとザ・レイドと比べることすら失礼に値するレベル。

キャラクターがお亡くなりになる悲しさよりも、「え?なんで?」という気持ちのほうが勝ること間違い無し。

なんやかんやで決着がついたものの、真相解明の説明に納得できるわけもなく。

メタフィクションだかなんだか良くわかりませんが、ここに来て「黒幕」とやらが
「この一連の出来事に特に意味なんて無いよ」的な絶対零度の発言をするのです。

ごめんよぉ

あぅ、ごめん ごめんよぅ、ごめんよぅ、ごめん


ま、そういう奴らはお約束の最後が待っているのですが・・・・・・

つーか、さぁ!!!

あのラスト直前の「ケジメ」の付け方ってもろ「イングロリアス・バスターズ」だよね!!!劇場の場面のやつ!!!

そしてラストカットも何かの映画にひじょーーーーによく似ていたんだけど、気のせい???
(あれよアレ!ホラー好きなら観たことあるかも!!タイトルはあえて言いませんが)


「あの...部尉殿...こいつら全員、死んでしまいました」

ならばよし


まぁ、こういうことがあるからいろいろな映画を観るのって楽しいのですがね。。。

2017.12月の怒涛の映画ラッシュの前にちょっとしたお口直しということで。
(お口直しに全くなっていない)


2017年映画鑑賞 214本目

post from #pixelbook

◆overview◆


・原題:The Belko Experiment
2016年公開
・上映時間:88分
・監督:グレッグ・マクリーン
代表作:『マンイーター』『ミック・テイラー 史上最強の追跡者』
・脚本:ジェームズ・ガン   

・メイン・キャスト
アドリア・アルホナ
ショーン・ガン
マイケル・ルーカー
トニー・ゴールドウィン
ジョン・C・マッギンレー
ジョン・ギャラガー・Jr

 

2017/11/11

映画_ザ・サークル 感想(評価/★:3)~いいね!のためには、生きてない。そこじゃないだろ!~【映画レビュー】

映画『ザ・サークル』本予告 11月10日(金)公開

\エマ・ワトソン×トムハンクス/ 11月10日全国ロードショー ...


ザ・サークル / The Circle ポスター



 ◆ザ・サークル / The Circle 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★

文月的採点(37/50点) 
この作品ジャンルは?:スリラー

オススメしたい人は?:SNSを利用するすべてのネットユーザー

印象を一言で?:当たり前のツールとなっているからこそ、違和感を感じない怖さ。

グロテスクですか?:そうした描写はありません。


◆synopsis◆


世界NO.1のシェアを誇る超巨大SNS企業<サークル>
創始者であり、カリスマ経営者のベイリーが掲げる理想は

全人類がすべてを隠す事なくオープンにする完全な社会、だ。

大きな輪を意味する<サークル>では、誰もがいつでもつながりあい、互いの体験をシェアしあい、最高に刺激的な毎日を送ることができる。

憧れの最先端企業<サークル>に採用され、日々奮闘する新人のメイはある事件をきっかけにベイリーの目に留まり、画期的な新サービスの実験モデルに抜擢される。

それは至る所に設置された小型カメラにより、「自らの24時間をすべて公開する」というもので、彼女は瞬く間に1,000万人以上のフォロワーを獲得し、一躍アイドル的な存在となる。

ベイリーの理想「全人類の透明化」を実現するために、更なる公開実験が始まる。

熱狂とともに始められたその実験は無数の「善意」という仮面を被った「監視・追跡」サービスだった・・・・

果たして、個人のプライバシーは電子の海に投影することはできるのだろうか?

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正


◆comment◆


2017/11/10から公開です。

今回の予告編は結構素敵。
上手に編集されていて、本作の魅力を過不足なく表現しています。

でも本作を観て、恐怖や違和感を感じなかった方もいるのではないでしょうか?

それはまさしく「ニュータイプ」であって、

わたしのように「怖い」と思う方が

「時代が変わったというのか?エマちゃんみたいなのが24時間見られてケロッとしているとはな!?」

とランバ・ラル大尉とともに後退するしかなくなるのですな。

・・・

人は独りでは生きていけない、だから家族と繋がる。

その家族も彼らだけでは生きていくのは難しい、だから地域が生まれる。

その小さなコミュニティだけでは立ち行かない、だから村ができ、村が集まり街となり、国となる。

はるか昔、世界は平らだった。

水平線の向こうには崖があって、すべてのものが底に落ちてしまうと信じられていた。

しかし地球平面説が常識とされていた時代でも、世界の概念は丸いものだった。

世界を表すのにもっとも役に立ったのは、見上げた空に浮かんだ太陽と月だったのかも知れないのではないかと個人的には思います。

時は進んで現代においても、もちろん、世界は丸い。

あたかもそれはすべての事象の象徴であるかのように。

ザ・サークル。

それは人と、世界と、その双方を表しているシンボルなのです。

そしてわたしたちは物理的なサークルの上で暮らしているだけでなく、0と1から成り立つ電子のサークルの中でも暮らしているのが現実です。
そしてそれをもはや手放すことはできませんね。

この作品が取り扱っているのは、熱狂であり、世界と接続するという曖昧な動機による安心、孤独感、自己満足を「ただ描いている」のです。

この作品自体が何かわたしたちに教訓を垂れているのではないのです。

今の現実をただただ描いているだけ。

それがかえって、恐ろしい怨霊や怪物、怪奇現象とは別の意味での恐怖を掻き立てるのです。

題材自体が新しいという訳ではないですね。

群集心理やある種の熱狂の中で正常な判断を失うという展開がこの作品の基軸になるのですが、それ自体は近年の作品だとパッと思いつくものだと

「THE WAVE」
映画 THE WAVE ポスター


「クーデター」

映画 クーデター ポスター


「23分間の奇跡」

書籍 23分間の奇跡


「蝿の王」

映画 蝿の王



なんかで既に描かれているものです。

個人的には、世にも奇妙な物語版の23分間の奇跡は未だにトラウマものです。

ただし、これは「ある特殊な状況」の中で繰り広げられる狂気なのです。

本作が新しいという点は「もうすでにわたしたちが疑問も持たないで受け入れている状況」の狂気を描いている点ですな。

ザ・サークルはGoogle、アップル、フェイスブック、ツイッターをはじめとしたwebサービスをいってみればひとつに統合させたようなサービス。

ひとつの企業が、個人のすべての生活を掌握している状況であり、それを利便性の名のもとにすんなり受け入れている、ものすごく活用している、わたしたちを描いています。

作中描かれるのは、「よく見慣れた」ジョブズスタイルのプレゼンテーションだし、典型的なIT企業のオフィス、端末、洗練されたデザイン、サービスです。

それらを違和感なく見ていられること=すでにこの作品の描く狂気に自分も参加していることに他ならないのです。

それはたった一言、たった一枚の写真をポストしただけですべてを失うリスクのもう一つ先にあるもの。

全く知らない誰かによって、自分の意思とは関係なく=ネットのプライバシーポリシーや個人設定など嘘みたいに簡単に突き破られ、自分がシェアされ、世界中から見られる≒追われる、というリスクが見えてきます。

まぁ、ソーシャルネットワークとはそこに参加しているだけで既に、
「プライバシーが半分死んでいる」ことに他なりません。

シュレディンガーの猫にも似た状態ですね。


・・・ただし、残念ながら、オチはそれほどすごくないのです。

結局自分のことは秘密にしたいという、陳腐なものに。

しかし「自分のプライバシーなんだし当たり前だろう」と思ったあなた。
少しお待ちを。
あなたがメールやチャットも含めて、誰とも繋がっていないというのなら、それは正しいのです。

結局世界と繋がるとは、リツイートも、ファボも、ブクマも、見えない多数に自分の評価を丸投げしているという側面もあるのです。

丸投げしたくせに、その価値に依存して一喜一憂する。

わたしは例えば作家気取りの方が、SNSやいわゆる創作サイトなどで自分は◯◯万字の物語書いて、どのくらいの人にブックマークされただとか、解説してもらっただとか、自分が作り出した物語そのものにすら失礼なことを指標にしている書き込みを見かけますが、正直なところウンザリすることが多いです。

それでは10万字書いたら不朽の名作なのか?
10時間の映画が、永久に残る傑作なのか?
単純にそう感じるからです。

そういう台詞は、ヘンリー・ダーガーの『非現実の王国で』と同じことをしてから言うべきですな。

非現実の王国で - Wikipedia

『 非現実の王国で』(ひげんじつのおうこくで、 In The Realms of the Unreal)、正式には『 非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』(ひげんじつのおうこくとしてしられるちにおける ヴィヴィアン・ガールズのものがたり こどもどれいのはんらんにきいんするグランデコ・アンジェリニアンせんそうのあらしのものがたり、 The Story of the Vivian Girls, in What is Known as the Realms of the Unreal, of the Glandeco-Angelinnian War Storm, Caused by the Child Slave Rebellion)は、 ヘンリー・ダーガーによる 物語である。 アウトサイダー・アートの代表例とされる作品で、「世界一長い 長編小説 」とされることもある。


わたしは物を書く端くれとして、戒めも込めてこの大型本を大切に書斎に飾っています。
これですら、全体の数百分の一しか解らないのですが・・・

脱線しました(汗)

しかしながらテクノロジーによって、自分の生活を切り売りしているのが現代のSNSのどうしようもない側面ですな。

いいね!のために生きている、というのは、映画そのものを象徴するコピーではなくて、
この映画が描いている現代のわたしたちの側面にこそ用いられるものですな。

あ、ジョン・ボヤーガは本作ではダークサイドには落ちません!
ご安心を(笑)!

エマ・ワトソンがどんどん世界に身を投げ出していくプロセスには、彼女の嬉々とした表情も含めて、本当にホラーを感じました。

2017年映画鑑賞 201本目

post from #pixelbook

◆overview◆


・原題:The Circle 2017年公開
・上映時間:110分

・監督:ジェームズ・ポンソルト
代表作:『人生はローリングストーン』
・脚本:ジェームズ・ポンソルト   デイブ・エガーズ
     

・メイン・キャスト
エマ・ワトソン
トム・ハンクス
ジョン・ボヤーガ
カレン・ギラン
エラー・コルトレーン


2017/10/27

映画_ゲット・アウト / Get Out 感想(評価/★:4) ~あなた、もしかして『ブルギさん』じゃないですか?~【映画レビュー】

『ゲット・アウト』予告編

全米初登場NO.1大ヒット!米映画レビューサイト99%大絶賛! 映画『ゲット・アウト』10月27日(金)TOHOシネマズ シャンテ他、全国ロードショー! ...

映画 ゲット・アウト Get Out ジェイソン・ブラム




◆ゲット・アウト/Get Out 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★
(本年屈指のイカレ具合です!!!!)

文月的採点(46/50点) 

この作品ジャンルは?:スリラー

オススメしたい人は?:単純にクルッテル人達を観たい人

印象を一言で?:実はものすごく社会派の映画です。そして発想は武器人間(笑)

グロテスクですか?:やろうとしていることはとてもグロテスク。


◆synopsis◆


何かが、おかしい。

ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末に白人の彼女ローズの実家へ招待された。

若干の不安とは裏腹に過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚えたのだった。

その夜、庭を猛スピードで走り去る管理人と窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめる家政婦を目撃し、動揺するクリス。

翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに多くの友人が集まるが、何故か白人ばかりで気が滅入ってしまう。

そんななか、どこか古風な黒人の若者を発見し、思わず携帯で撮影すると、
フラッシュが焚かれた瞬間、彼の態度は豹変し「出ていけ!」と襲い掛かってくる。

“何かがおかしい”と感じたクリスは、ローズと一緒に実家から出ようするが・・・。

※公式HPより


◆comment◆


さて、そんなこんなで観てきましたよ「ゲット・アウト」

本年のはじめに海外に住む文月の映画友達から
「文月サン、これホントに○ッキンクレイジーだよ」
と連絡をもらった作品。
文月は公開を心待ちにしていたのです!!!

人種差別主義者(レイシスト)に真っ向から中指をおっ立てる、トンデモなくファンキーな映画が公開されました。

これはもしかしたら、カルト的名作として長らく語り継がれるのではないかと。
後述する文月のある気付き(汗)もありますが、それをまったく知らない方であれば、
斬新な映画であると思われる方も多いのではないでしょうか。


誰かを嫌う、憎む。
そうした感情というのは人間誰しも持っているもの。

わたしには嫌いな人間はいない、なんて言う人をわたしは一切に信じないし、
それは嘘だ。

最小単位のコミュニティである家族ですら感情の行き違いを抱えていることはザラで、
人間同士はおろか、動物同士のコミュニティですら、派閥はある。

コミュニティの集合体である組織、社会同士だって「身内とその他」を明確に分けているし、
その規模が大きくなればそれだけ難しい言葉で「もっともらしい名分」が装飾される。

日本は単一民族国家だから差別などは無縁だとか、昔学校の先生が言っていたけど、それは間違いだ。

人種が違うからではなく、個々人の価値観、背景が違うから。

こういう問題って、民族だとか、人種だとかは本質的には関係なくて、人間同士の軋轢に寄るところが大きいと個人的には考えてます。

かく言うわたしも、海外赴任をしている際には「◯◯人はこれだからダメだ」と感じたことも、口に出したこともありますし、外国人からも「クソ日本人、日本に帰れ」と面と向かって罵倒されたことがあります。

いろいろ理不尽なことばかりが多いですが、決して手など出さず、
銀河英雄伝説のダスティ・アッテンボローのように

「それがどうした?」

と銀河最強の言葉で乗り切るのが一番です。

100%互いに不満がないなんてことはあり得ない。
社会で生きていくということは、国でも、組織でも関係なく、相手との距離感をどれだけ上手に制御できるかがポイントだ。

そんな訳で、いろんなことをひっくるめても、この人と一緒だとなんか楽しい。
そんな人になりたいものです。


たが、しかし・・・・

しかし、ですよ。

わたしは
「この展開、かなり前に、どこかで・・・」
と鑑賞後に首を捻っていました。

記憶を頼りに、グーグル先生にお力を借りましたら、出てきました!

物語の展開としては日本人にとってみればアレです。

知る人ぞ知る星新一原作『ブルギさん』
※映像作品としては、世にも奇妙な物語 268話/主演:田原俊彦

ドラマ 世にも奇妙な物語

でも、これで通じてしまった人もがっかりしないでください。

この作品は『ブルギさん』になる理由が星さんとは違いますし(笑)
もっとダイナミックに展開します。


ですので、敢えてわたしは
ハリウッド版『ブルギさん』
と命名しました。


憎い、とは転じて、嫉妬や羨望が隠れているケースもある。

この作品では「白人至上主義」かと思われるアメリカの、それも南部で
とある奇妙なコミュニティが、偏見を『偏愛』に転換している様が描かれます。

この『偏愛』度合いが、本作品を本年度最上級にイカれた映画に仕立てているのです。
(このセンス、脚本/監督の力量は素晴らしいです)

まさかの日本人登場(チョイ役ですがね)もあるのですが、それがよりこの映画の「人種」というテーマを際立たせています。

人種を乗り越えた融和ではなく、侵食されていくのではないか、という恐怖が。

そしてそこに絡んでくるのが不老不死の願望。
と、まぁ、このジャンル好きにはたまらないカルト要素ですなぁ。

異常な世界を極彩色に染め上げた感じはフィクションであることを強調すると同時に、
これを社会に出すには、ここまで作り上げないといけなかったのかと、唖然とさせられます。


「ゲット・アウト/Get out」

というこの映画のタイトル。

穿った見方をすると、これすら制作陣による一流のブラックユーモアであって、
イッちゃってるコミュニティからすれば主人公『ら』はWelcome全開の「Get in」なのです。
(大切なのは『ら』であること)

これから作品をご覧になられる方は

「誰が、どうして『出て行け』」と言ったのか?

に注目して観てください。

この作品のコピーである『何かがおかしい?』とは、
『ゲット・アウト=出て行け』の謎を解くことであり、
それが104分の旅を満喫するキーワードであると教えてくれています。

エンドロールを迎える頃には、このタイトルが意味深であることがお解りになると思います。


それから見逃せないのが、この映画では「めちゃくちゃカートゥーン」というか、ベタというか、ステレオタイプのマッド・サイエンティストが登場します。

イカれている度合いからすると、
『武器人間』(2013)のヴィクター・フランケンシュタイン博士

映画 武器人間 ヴィクター・フランケンシュタイン


『ムカデ人間』(2010)のヨーゼフ・ハイター博士

映画 ムカデ人間 ヨーゼフ・ハイター


には及びませんが、典型的な危ないヤツが登場しますぞ。

主人公が導かれるその「研究施設」の造形が50〜60年代を象徴したようなもので、個人的に胸を貫かれましたわ。

なんだろうなぁ、『007』の初期の頃、Qなんかが小言を言いながらひょっこりと姿を現しそうな。(こっちはイギリスですが)

アメリカの当時の造形とかも日本の「昭和」と同じように、すでに「異世界」感を醸し出すものになってしまったんですねぇ。

そして、イカレた連中の『解決策』とやらが武器人間に通じたのは笑えました。


ちなみに・・・・
人種差別とはものすごく根が深い問題です。
舞台となる南部では実際にこのような状況だったのです。
(舞台が南部ってなぜ?=スウィートティを飲んでましたからね!!!これも劇中での皮肉のひとつ。貴重品であった砂糖をふんだんに使ったアイスティーは、上流階級であり、白人社会の象徴のひとつです。)

日本の教科書では語られない 人種差別のおそろしい真実

たった60年前のこと。アメリカ人は凄惨な歴史の再来を恐れている。

そして、日本人もその対象でしたという記事を見つけました。

旅先ではご用心、人種差別がきつかったディープサウス (アトランタ) - 旅行のクチコミサイト フォートラベル

アトランタでのHolisunさんの旅行記です。


さらに本日ロケットニュースさんを閲覧中に、まさしく本作の根深い問題の本質を突いた記事も発見。

黒人男性が白人至上主義者をハグしながら「なんで僕を嫌いなのか?」と聞き続けたら衝撃的な回答が返ってきた

肌の色、生まれた場所、性別、外見、身分、職業......人間はさまざまなことで、正当な理由もなく他者を差別する。「◯◯だから、しょうがない」「これは差別ではない」などの舌先三寸な言い訳も聞かれるが、これからお伝えするような場面でも全く同じことが言えるのだろうか? ある 黒人男性が、白人至上主義者にハグをしながら「なんで僕のことが嫌いなのか?」と質問し続けた ...


あ!スウィートティについてのコラムもご紹介します。
(実はわたしコーヒーも紅茶も大好きです)

アイスティーの起源を追って|世界のお茶専門店 ルピシア 〜紅茶・緑茶・烏龍茶・ハーブ〜

アイスティーの歴史を遡ると、アメリカ南部の冷たく甘いお茶の文化にたどり着きました。



監督を務めた著名コメディアンのジョーダン・ピール氏。
今度はなんと本作の5倍ものバジェットで新たな映画製作をするそうです。

ブラックユーモアのかけ具合は、どことなく北野武監督にも似ていると感じました。

これは、ぜひ劇場に足を運んで頂きたい作品です。
極彩色で装飾されたフィクションに大いに笑い、その裏に隠された問題について考えてみるのも、ほんの少し世界のためになるかも知れません。

もう1作のイカれた映画
『a cure for wellness』
も公開されないか、切に願ってます。

これも本当におすすめです!

本作も十分キテレツですが、イカレ具合とぶっ飛び度はこちらに軍配。

・文月の過去の紹介記事

A cure for wellness 感想 ~つーか!おっさん!演技にかこつけて、どこ触ってんだ!羨ま・・・ぶ、ぶべら!!!~【映画レビュー】

ニューヨークの巨大金融系企業に勤める若手社員のロックハートは、アルプスにある療養施設ウェルネスセンターに行ったまま連絡の途絶えたCEOを呼び戻すために現地に派遣されることなった。 行き着いた先は人里離れた閉鎖的な山間の小さな町。 ウェルネスセンターも名前とは裏腹に、中世の古城を改築した土地に設けられていた。 デジタルとは程遠い世界に呆気にとられるロックハート。 ...


2017年映画鑑賞 175本目

◆overview◆


・原題:Get Out 2017年公開
・上映時間:104分

・監督:ジョーダン・ピール
代表作:『コウノトリ大作戦!』
・脚本:ジョーダン・ピール
     
・メイン・キャスト

ダニエル・カルーヤ
アリソン・ウィリアムズ
ブラッドリー・ウィットフォード
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
キャサリン・キーナー
スティーブン・ルート
ベッティ・ガブリエル
マーカス・ヘンダーソン
キース・スタンフィールド

2017/10/07

映画_アウトレイジ最終章 感想(評価/★:4)~群れを離れた狼の悲哀~【映画レビュー】

映画『アウトレイジ 最終章』本予告【HD】2017年10月7日公開

全員悪人 全員暴走 《関東【山王会】 vs関西【花菱会】》の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。そんな折、取引のため韓国滞在中の【花菱会】幹部・花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。これをきっかけに、《国際的フィクサー【張グループ】 vs巨大暴力団組織【花菱会】》一触即発の状態に。激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。時を同じくして、その【花菱会】では卑劣な内紛が勃発していた......。 『アウトレイジ 最終章』2017年10月7日(土)全国ロードショー 公式サイト:http://outrage-movie.jp/ ビートたけし 西田敏行 大森南朋 ピエール瀧 松重 豊 大杉 漣 塩見三省 白竜 名高達男 光石 研 原田泰造 池内博之 津田寛治 金田時男 中村育二 岸部一徳 監督・脚本・編集:北野 武 音楽:鈴木慶一 配給:ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野 ©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会

映画 アウトレイジ最終章 北野武

◆アウトレイジ最終章 鑑賞◆

評価/オススメ:★★★★

文月的採点(41/50点) 
この作品ジャンルは?:クライムサスペンス

オススメしたい人は?:全ての働くサラリーマン

印象を一言で?:今作は『ドラマ』・・・だとっ。


グロテスクですか?:今回は北野バイオレンスが極めて控えめです(注意:過去2作比)
それでもやることはやっています(笑)


過去の作品は観るべき?:
「アウトレイジ」、「アウトレイジ・ビヨンド」あっての、アウトレイジ最終章です。是非まだご覧になっていない方は地上波などで描写がカットされていない完全版を鑑賞してから足を運ばれると良いでしょう。


◆synopsis◆


山王会と花菱会の巨大抗争後、大友は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長の下にいた。

そんな折、取引のために韓国に来た花菱会幹部の花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。

これを発端として国際的フィクサー・張グループと巨大暴力団組織・花菱会が一触即発の状態となってしまう。

発端となった事件に激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。

時を同じくして、その花菱会では内紛が勃発していた・・・

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正


◆comment◆



本日、2017/10/7より公開です。

文月はアウトレイジ、アウトレイジ・ビヨンドともに年に数回は観直すほどにこのシリーズが好きなのですが・・・・

・・・・うむむ!?

本作は『怒号の応酬』も『北野バイオレンス』もとても控えめ。

複雑に交錯したドロドロの人間関係の中で誰がいつ殺害されてしまうのか?
そういう方面でとてもハラハラしてしまう、シリアスな『ドラマ』になっていました。

また、伝説的な台詞と極端なまでの暴力描写で世間を騒がせたアウトレイジ。



「頭なら若いもんの責任とっててめえが指詰めろ」


「やぁってやっから、道具持って来いコノヤロ!」


「すぃらねえよん……だああああああああ!!!!!!!!」


「ウチの若いのよくも『取って』くれたなコノヤロー」


「わわわわ若い衆が勝手にやったことだからよ!?」


「指出せオラーーーーー!バズン!!!」


「舌出せ!出せって言ってんだろ!」


「おい『道具』出せ!」


「テメェらが会いたいから言うて、すぐ会えるほどウチの会長安ないで?」


「オイ、舟木。テメェも同じようにしてやるからよ、見とけコノヤロ!ぎゅいーーん!」


「見た!見た!思い出した!見たんだ待ってくれよ!見た!」


「おい、元の親分の所行こうぜ・・・。あ?『大友さん』だろコノヤロー!」ドゴッ!


「良かったなじゃねぇよ、おぉ!?てめぇどこ座ってんだよ!」


「You know you're dealing with the YAKUZA, right?」


「野球しよっか?」

これらの台詞で、シーンが連動されたア・ナ・タ。
フリークですねぇ。

アウトレイジ、アウトレイジ・ビヨンドは言ってみれば『バイオレンス』を娯楽にしてしまった北野監督独特のブラック・ユーモアたっぷりの作品でした。

わたしがこの作品をものすごく好きなのは、

「組織、社会、コミュニティ」

という、利害や力関係が発生する場所で生きなければいけない人の悲哀が凝縮されているからです。

つまり、アウトレイジという作品は『ヤクザ』というアイコンに収められた『社会風刺』なのです。

どこか自分とは関係ない場所の話ではないのですぞ。

キャッチコピーの「全員悪人」というのは実はすごく深くて、
「観ているあなたは果たして善人ですか?」と問いかけられているのです。

黙々と上からの、そして組織から受けている義理を通す人。

自分の出世や責任逃れのために、誰かを利用する人。

笑顔で接しておきながら、実は裏で別のやつと繋がっている人。

上の指示という言葉を大義名分にしてなんでもやる人。

虎視眈々と相手を蹴落とすことを狙っている人、狙われている人。

そして犬ころの様に誰かを慕い、信じてついてくる人。

このアウトレイジ3部作に登場する人物はもの凄くコミカルにデフォルメされた悪人達です。

そして、自分を、自分のまわりをよーーーーく、目を凝らして、冷静に見つめてください。

多かれ少なかれ、登場人物のキャラクターや、立ち振舞い、考え方、価値観が重なって見えませんか?

いやいや、そんなやつはいないよ。

そう言える人が果たして何人いることやら。

これは皮肉でもなんでもなく『生きていくって、そういうもの』なのだとわたしたちにノックしている北野武監督からのメッセージなのです。

彼らの放つ怒号、応酬、暴力が観ている側をどこかスッキリさせるのは、取りも直さず

普段自分が抑えてできないことを代わりにやってくれているからですわ。きっと。


――そんな訳で、最終章と銘を打たれた本作ではどれだけ「スッキリ」できるのか(オイオイ(汗))を期待してスクリーンに向かったのですが・・・・


本作は暴力ではなく
「群れを離れた一匹の狼(=大友)の悲哀」
がメインのお話になっていました。

あんまり痛くないので、門戸が広まったかも(笑)

北野監督が「バラバラに見えているけど、3つでひとつの作品」と公開前のインタビューで答えていました。

本作のメインテーマは「ケジメ」なのです。

起承転結の「結」

そして見えてきた「大友」という男は、過去の北野作品で描かれた「不器用だけど懸命に生きる男」達と共通している、かっこいい男だったのです。


まず、本作を楽しむためには登場人物達が置かれた状況と主要な人間模様を知ったほうが良いでしょう。


◆大友が属する「張グループ」

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 相関図


◆そして今作で敵対するご存知「花菱会」

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 相関図 2


※ちなみに、ピエール瀧さん。
本作でのコメディ部分というか笑える要素はほぼ彼に集約されています。
大島渚監督の『御法度』のトミーズ雅さん並にいい味出してます。


◆過去作からの因縁の関係はこちら

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 相関図 3


◆大友という男が背負った『ケジメ』

そして、本作では過去の作品への配慮も忘れていません。
「ケジメ」とはアウトレイジ・サーガ全体へのケジメなのです・・・

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 相関図 ケジメ


◆大友を慕う若い衆

大友という男には不思議な魅力があって、作品全てに彼を強烈に慕う若い衆が登場します。
しかしながら、その若い衆達の末路も作品の熱度を上げる強いエッセンスになっていました。

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 大友 水野 木村 市川


これが作品のフレームになります。

・アウトレイジ最終章を楽しむポイント①


ますは「舎弟愛」というが本作品の見どころです。

大森南朋さん演じる本作の若い衆である「市川」。

文月としては、この市川は過去椎名桔平さん演じた「水野」、中野英雄さん演じた「木村」、ふたりの良いエッセンスを見事に受け継いだとても好感が持てる新キャラクターだったとえらく感激しましたわぁ。

激しすぎず、前に出すぎず、ひたすらに大友に従う姿がもう・・・・

それだけではありません。
悪人ながらも縦の主従関係がしっかりとしているのは、大友と市川だけではないので、
各シーンでどのラインが絡み合って動いているのかが解るととても楽しいです。

それでも、親子でも兄弟でもないのに、大友という男に惚れ込んだ市川の真っ直ぐさは萌え要素の重要な一つです。

大友と市川に共通するのは「息が詰まりそうな組織の枠より、自分の信念を通す」生き様でした。

自分がここまでできるのか?と自問自答してしまうほどの・・・


まぁ、語弊があるでしょうが、コジマプロダクションの小島秀夫監督が独立した時に集った人たちを観ているような気持ちになりました(小声)下記、リンクを貼ります。

わたしだって、ゴミ掃除係でもいいので馳せ参じたいのですが、無理だなぁ。

・アウトレイジ最終章を楽しむポイント②


『裏切り』の連鎖

冒頭でアウトレイジ最終章にハラハラさせられたと書きましたが、それは『一体誰を信じたら良いのか、大友の思惑すら解らない』ところにあります。

単純に「張グループ vs 花菱会」という構図ではないのです。

花菱会も一枚岩ではない、そして花菱会に後見されている山王会も、大友が属する張グループでさえも、しょーーーもないエゴが渦巻くドロドロの人間模様を展開します。

このあたりは北野監督お得意のコントを観ているようで、実際の鑑賞中もみなさん所々で笑い声が上がっていました。

解っちゃいるけど笑ってしまう、古典落語の境地ですな(笑)

しかし、ラストシーンを迎えるまで、誰がどの瞬間に「生命(タマ」取られてしまうのか全く油断できませんでした。

誰もが同じことを考えていて、状況をどれだけ自分の有利に持っていくか。

人間関係も、仕事も、極端な話ですとこれの繰り返しです。

その意味で、裏切りの連鎖とはフィクションの中でだけ展開するものではありませんぜ。


・アウトレイジ最終章を楽しむポイント③


それぞれの「ケジメ」

大友、張グループ、花菱会、山王会、警察と今回の事件を決着しなくてはならないのです。

互いに納得できる着地点、いわばそれぞれが落とし所をどこにするか、その腹の探り合いは内紛をコントロールしている誰もが考えて行動しています。

北野監督が描く美学とはあるひとつのベクトルに一貫して向けられていて、それが作品に漂う悲哀を一層深めているのですが、
本作品ではさらに、
それぞれが落ち着く所に落ち着いて
「一番悪い奴が天下を獲ったように見える」
収め方は、いずれまた悲劇は繰り返すのだろうとちょっぴり続編を期待してしまうような気分にさせますな。

でもアウトレイジ、アウトレイジ・ビヨンド、アウトレイジ最終章と3作品全てを観ている人はもちろんのこと、北野作品を愛している方ならば後半でピンと来る方も多いかもしれません。

アウトレイジというひとつの物語に「ケジメ」をつけるのであれば、
どうしようもなく決定的な終わりを迎える必要があるのでした。

群れを離れた狼の最後の咆哮を、是非ご自分の目でお楽しみください。

わたしはラストカットでどうしようもなく切なくなりました。


2017年映画鑑賞 165本目

◆overview◆


・原題:アウトレイジ最終章 2017年公開
・上映時間:104分
・監督:北野武
代表作:『brother』『ソナチネ』
・脚本:北野武
     

・メイン・キャスト
ビートたけし
西田敏行
大森南朋
ピエール瀧
松重豊
大杉漣
塩見三省
白竜
名高達男
光石研
原田泰造

 
  [映画感想]

2017/09/09

映画_ダンケルク 感想 (評価/★:5)~逃げるもの、追うもの、そして救うもの~【映画レビュー】

[映画感想]

映画『ダンケルク』本予告【HD】2017年9月9日(土)公開

世界が嫉妬する才能ノーラン監督が実話に挑む究極の映像体験。 アカデミー賞®最有力!全米興収ランキング2週連続NO.1!『ダークナイト』『インセプション』と、新作ごとに圧倒的な映像表現と斬新な世界観で、観る者を驚愕させてきたクリストファー・ノーラン監督が、豪華アンサンブルキャストと共に、史上最大の救出作戦の実話を描く、最高傑作が誕生! ...
映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン


◆ダンケルク / Dunkirk  鑑賞


評価/オススメ:★★★★★
(人を選ぶかもしれませんが、オススメしたい作品です)

文月的採点(45/50点)

この作品ジャンルは?:スリラーです。

オススメしたい人は?:泣きたい人、日々ちょっとお疲れな人

印象を一言で:予告編と本編は別物!

グロテスクですか?:グロテスクな描写はほぼないです。

◆synopsis◆


フランス北端ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。
背後は海。陸・空からは敵――そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミーとその仲間ら、若き兵士たちの姿があった。

一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間を助けようと、民間船までもが動員された救出作戦が動き出そうとしていた。
民間の船長らは息子らと共に危険を顧みずダンケルクへと向かう。
英空軍のパイロットたちも、数において形勢不利ながら出撃。

こうして、命をかけた史上最大の救出作戦が始まった。
果たしてトミーと仲間たちは生き抜けるのか。
勇気ある人々の作戦の行方は!?

※公式HPより

※一部文月加筆訂正

◆comment◆


2017/9/9 本日から日本劇場公開です。

いい意味で、予告編に裏切られました。
クリストファー・ノーランのインタビュー以外はほとんど情報を見ることなく、
いってみれば出たとこ勝負で劇場に向かいました。

昨日見たのは、小島監督との対談。
Twitterでも呟きましたが、こちらの記事です。(シネマトゥデイ様)

※シネマトゥデイ様のページに飛びます。

結果・・・・
アメリカンスナイパー以来の、上映中に感涙にむせぶ事態に見舞われ、驚きでした。

この映画は戦争アクションではなく人間の物語。
そして決断の物語。
そして無数のドラマがあったであろう史実をひとつに凝縮した非常に濃い作品でした。

google先生に質問してみても「スリラー」と表示されるのはごもっともなのでした。

それこそ「プライベート・ライアン」の様な展開を期待していた、
つまり『タイトルと予告編だけ観て勝手に想像を膨らませていた文月』は、
本当に驚愕してしまったのです。

戦わない、、、、だと。

それをもって期待外れだと言う気は全くございません。

銃を構えてやりあうのではなく、生き残るため、そして救うための行動は
こんなにも心を揺さぶるのか?という感激が
クライマックスの「あの瞬間」で涙に変わった
のだとわたしは考えます。

あ、でもめちゃくちゃ熱い展開は空からやって来るのでご安心を。

まさに「天使が舞う空」

わたしが胸躍ったのは「彼ら」の勇気と決断に寄るところが多いです。


これから劇場に行かれる方も多いでしょうから、
ネタバレにならないように気をつけながらご紹介します。


ひとつ。
あえて言うのであれば、本作に主役はいません。
「ブラックホーク・ダウン」ほどではありませんが、
それぞれの視点を象徴するために主軸となる人物が配置され、
それが異なる時間軸でめまぐるしく入れ替わりながら、
「あの瞬間」
に向けて走り出すのです。

ん?ん?

まったく何の説明もなく、観る側は「ダンケルク」という世界に放り出される形になるのです。

不安。わたしが最初に感じたのは不安でした。

ダンケルクの戦い、という状況を理解されてご覧になる方も大勢いると思いますが、
おそらく「え?なにこれ?何が始まったの?」と混乱するのでは?と。

しかし、それが製作側の狙いだとわたしは考えます。

明確な目的を持って進撃する攻勢側と、戦線が崩壊し撤退していく側とでは、
情報量もその正確さも圧倒的に差が出てきます。
とくにこの時代は。

観客のわたしたち以上に物語の中の彼らは「訳の分からない状況」の中で、
「逃げること」そして「救うこと」を強いられるのです。


それを観る側がその状況を「追体験」するために、
くどい説明などなしに彼らと同じ目線に立たせることで、
どういう立ち位置でこの作品に入り込めば良いのかを教えてくれます。

わたしたちにシートに、あるいはテレビの前に座っているだけではなく、
一緒に体験させたい。

「#ダンケルク体験」というタグでSNS上に情報が溢れていますが、そういう意図があるのかなと。

(近作だと例えば「マッドマックス/怒りのデス・ロード」なんかと同じ状況になる訳です。これもまさかのトム・"マックス"・ハーディ!!!)

→文月の過去のレビュー:


ノーラン監督。
「インターステラー」なんかでは、よくよく状況を整理してくれたのですが、
今作では「自分で考えろ」と言わんばかりの展開に戸惑う方もいるかもしれません。


でも、救いがあります。

この作品はクライマックスに迎える「ある瞬間」を、
異なる視点、異なる時間軸で追いながらも、
気がつけば最後はしっかりとひとつに収斂されていき
まさに『着地』してしまうのです。

*ご覧になった方だけは、着地の意味を解ってもらえると思います。


すべての場面の意味が「あ!」という驚きとともに理解できる。
観る側が発見できるそんな喜び(まぁ、押し付けるなよ、と言われそうですけど)

なんて丁寧な作品なのかと、唖然としました。


とは言え初見だと「え???」と混乱される方もいらっしゃると思います。

そういう訳で、文月の記憶を頼りに物語の構成を一旦整理します。
(興奮状態で書いていますから、記憶違いはお許しを(笑))

物語の主軸は言わずもがなのダンケルクからの撤退。

ダンケルクの戦い(Wikipedia)

本作は「逃げるもの」とそれを「救うもの」の2つの立場から、そして3つの視点で物語は展開します。


●視点①
逃げるもの・・・ダンケルクまで撤退してきたある陸軍兵士の視点

映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン

※フィン・ホワイトヘッド(トミー)


映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン

※アイナリン・バーナード(ギブソン)


映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン

※ハリー・スタイルズ(アレックス)

このパートは彼ら3人の兵士を中心に展開していきます。


****

―――Introduction
疲れ切っていた。

横に並んでいる同じ小隊の面々も、警戒姿勢なんかどこかに放り出したみたいに忘れていて、農園に突き刺さっているカカシみたいに棒立ちのままで通りを進んでいる。

明るいというのに僕たちを取り囲んでいる建物には人の気配なんて少しも感じなくて、
ひょっとしたらコレはきっと自分は夢を見ていて、重くのしかかる疲れも、
そして絶望も、幻なんじゃないか。

そう思った。

ひらひらと舞い降りてくる白い何かが目に入った。雪なんかではない。
ましてや天使の羽根なんかでもない。
天使なんていない。

ちょうど目の前に降りてきたそれを掴んでみる。

よく見るとそれはビラだった。
そには真っ赤なインクが中心だけ塗り忘れたようにポッカリと空いている
下手くそな絵が書いてあって「包囲したぞ、降伏しろ」と英語が打ち込まれている。

僕は他人事みたいにそのビラをポケットにしまい込む。
そうすることで、現実が消えてなくなるとでも言うように。

何かが破裂したような大きな音がした。

そしてうめき声。

反射的に首にギュッと力が入ってとても不快な感覚が背中を伝って全身を硬直させる。

銃撃―。

声をかけあう暇も与えられず倒れて動かなくなる仲間。

誰が、どこで、どういうことになっているのか。

そういうことを気にかけることもできないくらい、僕は、僕たちはみな、
追い詰められていた。

必死に通りを駆け、塀を、門を乗り越えて身を隠そうとする。

ライフルすら手放した僕は、その音から逃げることだけしかできなかった。

気が付くと視界が開け、街が消えた。

海。そして無数の黒い線。兵士たちが頭を垂れて海に向かって並んでいる。

そう。ここはダンケルク。追い詰められた僕たちが見つめるその先に「母国」はうっすらと霞んで見えた・・・・

~文月の回想による散文~



●視点②
救うもの①・・・ダンケルク撤退を支援するために派遣されたある空軍パイロットの視点

映画 ダンケルク Dunkirk トム・ハーディ

※トム・ハーディ(ファリア)
※わたしはむしろ彼だけで2時間作品を作って欲しいと思うぐらい、感情移入してしまいました。

映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン

※ジャック・ロウデン(コリンズ)
※コールサインは「サマセット???」だった気がしますが、記憶違いでしたらそっと教えて下さいね♫

このパートは彼ら2名の若きパイロットたちの視点で展開していきます。



//////

―――Introduction
「カレーまで飛んだほうが近い」
試しにそう言ってみたが無駄だった。

嘘みたいに透き通った青の上に浮かぶ3つの陰。

スピットファイア3機のデルタ編隊。

・・・たったこれだけで「あそこ」向かえだって?アホか!」
と飛び立つ前に声が聞こえた。

まったくクレイジーだ。

そう、クレイジー。

クレイジーなのは当然で、それを承知でするのがオレたちって訳で、
それをいまさら云々する気はサラサラないね。

飛ぶこと、そして戦うこと。オレができること。

そして『今』この事態の中で、オレが、オレたちができること。
それができる立場にあるのだから、やる。単純だと笑うやつもいるだろうけど、
それでいいんだ。世の中のほうが物事を難しくしているんだとオレは思う。

燃料たっぷり70ガロンある。

大丈夫。還ってこられる。
いや、迎えにいける。

―――――!

「11時、敵機(Tango)!」

腹の奥が震えるような大きく低い爆音がオレたちの上をかすめて行く。

メッサーシュミットBf 109。2機。

反射的に操縦桿(スティック)を引き倒してブレイク。

後方視認用のミラーと目の前の計器、そして僚機をそれこそ目が回る速さで追っていく。

捉えたメッサーシュミットは背中に覆いかぶさるような勢いで僚機に喰いついて離れない。

「オレが行く」

トリガーに指を掛けながら僚機に呼びかける。

たどり着いてみせるさ・・・・オレたちの他にあの場所に向かう友軍機はない。

今のところは・・・

~文月の回想による散文~




●視点③
救うもの②・・・同じくダンケルク撤退を手助けするため、善意でイギリスの港からダンケルクへと向かった民間人の方(を代表してある壮年の船長親子の)の視点

映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン

※マーク・ライランス(ミスタ・ドーソン)

映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン

※トム・グリン=カーニー(ピーター)
※ドーソンとピーターは親子という設定です。

映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン

※バリーコーガン(ジョージ)

このパートは彼ら民間人3人の視点で物語は展開していきます。




//////

―――Introduction
頑固者のオヤジは一度決めたらやめることを知らない。

「荷物を運び出せ」

ある朝顔を見るなり、オヤジは港まで僕を連れ出して船の調度品を出すように言った。

何をしようとしているのかを、僕は知っている。

多くの民間の船が政府に徴用されるんだ。

「どうして海軍の船を使わないの?」

当然そんな疑問を口にしてしまう。

「海軍の船が沈められたら、誰が『ここ』を守るんだ?」

オヤジは黙々と船の整理をしている。

どこからかオレンジ色した小袋が大量に桟橋に運び込まれてくる。

ウチの船の前にもそれは積み上げられて、やがて山になった。

―救命胴衣。

「お前はここに残っても良い」

とオヤジは言うだろう。

もしもそう言われたら、NOと言い返すつもりだ。

オヤジをひとりにすることはできないし、僕だって男だ。そして兄さんとも約束した。

ふと、船に近づいてくる人影があった。

ジョージ。人懐っこい笑顔を浮かべた、ひょろひょろジョージ。僕の一番の友人だ。

「何をしているんだい?」

「お前も手伝えよ」

オヤジはジョージを見て、ほんの一瞬表情を曇らせた。ジョージが嫌いだからじゃない。

バカをやるのは自分たち大人だけで十分だと思っているからだ。

「もやいを解け」

ジョージにオヤジは声をかけると、エンジンに手をかけた。

水兵がこちらに向かってくる。

「オヤジ!海軍の人たちが」

「この船の船長はわたしだ」

オヤジは舵を切って桟橋から船を離していく。

と、船にジョージが飛び乗ってきた。

「ジョージ!これからどこに行くのか解っているのか?」

「フランス。ダンケルク。戦場だろ?」

オヤジは肩を竦めてエンジンの出力を上げた。

もう何も言わなかった。水平線の先に薄く見える陰。そこに何が待っているのか、
きっとオヤジでも解らない。

~文月の回想による散文~

・・・・・と、まぁ、こういう導入です。
すみません。ちょっと、書きたくて、書いてしまいました(汗)



そして忘れてはいけないのが、絶望的な状況の中を
『立ち続けること』で「精神的支柱」となっていた陸海の指揮官2名の姿です。

映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン

※ケネス・ブラナー(ボルトン海軍中佐)

映画 ダンケルク Dunkirk クリストファー・ノーラン

※ジェームズ・ダーシー(ウィナント陸軍大佐)

彼らは果たして物語がどこに向かっているのかを観客に示してくれる『灯台』のような方たちです。



●ということで、ダンケルクとは。

・・・・・
敵は倒したいし、味方が倒れるかもしれないが、自分は死にたくはない、
という究極の矛盾。
脱出手段が限定されてしまったこの状況。

予告編ではおそらくフィン・ホワイトヘッドを中心に物語がダイナミックに展開するのだろうと思う方もいるでしょう。

しかし、この映画は「無数の人間が、ある目的のために、自分ができることをする」ということを追う物語です。

生き残るために、何をしてしまうのか?
何を迫られるのか?

救うために、何を決断しなければならないのか?

場面のひとつひとつが1話完結型になっている連絡短編を読んでいるようです。

ダンケルクの撤退という史実を題材に、戦争の意義だとか、敵を倒すことだとか、そういうことではなく「ある状況に陥った時に何を自分はするべきなのか?」ということを問いかけてくる、強烈な作品なのでした。

だからでしょう。
本来であれば包囲しているドイツ側のシーンが描かれても良いものの、
本作ではドイツ兵の姿は出てこないのです。

枢軸と連合がどうだとか、イデオロギーの正当性を訴える材料はほとんど見受けられません。

登場人物たちが決断をするための、ひとつの歯車として、
あるいは劇中に漂う恐怖の象徴として、「敵」は轟音とともにわたしたちの前に姿を見せてきます。
劇場で鑑賞された方はお解りでしょうが、あれホント怖いですよね。
映画だと解っていても、恐怖を感じる音です。
「新しい戦争映画」だという声にわたしが同調するのなら、その点です。

その恐怖とは、いつわたしたちが見舞われるかも解らない、恐怖。
それと同じなのです。



あぁ、それにしても、わたしはトム・ハーディ演じるファリア達が、
『トップガン』さながらのカメラワークで、古き良きドッグファイトを展開し、
かつ、劇中最高のシーンを創り上げていたのを鑑賞できただけでも満腹でした



ただ、わたしの涙腺が崩壊したのは別のシーンです。

無数の勇気ある男たちが、あんなにも誰かを救うために立ち上がり、
戦場に向かったのかと思うと、今でもまた涙が出そうです。

「希望がやって来た」

助けを待つことしかできない、戦意を喪失してしまった兵士たちにとって、

海の向こう、空の彼方から迎えに来てくれた彼らの姿は「希望」の灯火のそれです。



なんの取り柄もないわたしでも、できることはある。

また、還る場所があり、そこから手を差し伸べる人がいる、来てくれる人がいる。

そういう忘れてはいけないものを、この物語はわたしに思い出させてくれました。

2017年映画鑑賞 149本目

◆overview◆


・原題: Dunkirk 2017年公開
・上映時間:106分

・監督:クリストファー・ノーラン   
代表作:「ダークナイト」「インターステラー」
・脚本:クリストファー・ノーラン

・メイン・キャスト

フィン・ホワイトヘッド
トム・グリン=カーニー
ジャック・ロウデン
ハリー・スタイルズ
アナイリン・バーナード
ジェームズ・ダーシー
バリー・コーガン
ケネス・ブラナー
キリアン・マーフィ
マーク・ライランス
トム・ハーディ

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第7並行世界のユートピア

物語の海に溺れる中で、フレーズ、イメージを繋ぎ合わせて生まれた短いストーリー達を文月陽介が書き留めます。 特定のジャンル、モチーフにこだわらずに、ひとつひとつの物語を紡いでいます。 ※筆者の気まぐれにより不定期更新です。

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