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2017/11/11

映画_ザ・サークル 感想(評価/★:3)~いいね!のためには、生きてない。そこじゃないだろ!~【映画レビュー】

映画『ザ・サークル』本予告 11月10日(金)公開

\エマ・ワトソン×トムハンクス/ 11月10日全国ロードショー ...


ザ・サークル / The Circle ポスター



 ◆ザ・サークル / The Circle 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★

文月的採点(37/50点) 
この作品ジャンルは?:スリラー

オススメしたい人は?:SNSを利用するすべてのネットユーザー

印象を一言で?:当たり前のツールとなっているからこそ、違和感を感じない怖さ。

グロテスクですか?:そうした描写はありません。


◆synopsis◆


世界NO.1のシェアを誇る超巨大SNS企業<サークル>
創始者であり、カリスマ経営者のベイリーが掲げる理想は

全人類がすべてを隠す事なくオープンにする完全な社会、だ。

大きな輪を意味する<サークル>では、誰もがいつでもつながりあい、互いの体験をシェアしあい、最高に刺激的な毎日を送ることができる。

憧れの最先端企業<サークル>に採用され、日々奮闘する新人のメイはある事件をきっかけにベイリーの目に留まり、画期的な新サービスの実験モデルに抜擢される。

それは至る所に設置された小型カメラにより、「自らの24時間をすべて公開する」というもので、彼女は瞬く間に1,000万人以上のフォロワーを獲得し、一躍アイドル的な存在となる。

ベイリーの理想「全人類の透明化」を実現するために、更なる公開実験が始まる。

熱狂とともに始められたその実験は無数の「善意」という仮面を被った「監視・追跡」サービスだった・・・・

果たして、個人のプライバシーは電子の海に投影することはできるのだろうか?

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正


◆comment◆


2017/11/10から公開です。

今回の予告編は結構素敵。
上手に編集されていて、本作の魅力を過不足なく表現しています。

でも本作を観て、恐怖や違和感を感じなかった方もいるのではないでしょうか?

それはまさしく「ニュータイプ」であって、

わたしのように「怖い」と思う方が

「時代が変わったというのか?エマちゃんみたいなのが24時間見られてケロッとしているとはな!?」

とランバ・ラル大尉とともに後退するしかなくなるのですな。

・・・

人は独りでは生きていけない、だから家族と繋がる。

その家族も彼らだけでは生きていくのは難しい、だから地域が生まれる。

その小さなコミュニティだけでは立ち行かない、だから村ができ、村が集まり街となり、国となる。

はるか昔、世界は平らだった。

水平線の向こうには崖があって、すべてのものが底に落ちてしまうと信じられていた。

しかし地球平面説が常識とされていた時代でも、世界の概念は丸いものだった。

世界を表すのにもっとも役に立ったのは、見上げた空に浮かんだ太陽と月だったのかも知れないのではないかと個人的には思います。

時は進んで現代においても、もちろん、世界は丸い。

あたかもそれはすべての事象の象徴であるかのように。

ザ・サークル。

それは人と、世界と、その双方を表しているシンボルなのです。

そしてわたしたちは物理的なサークルの上で暮らしているだけでなく、0と1から成り立つ電子のサークルの中でも暮らしているのが現実です。
そしてそれをもはや手放すことはできませんね。

この作品が取り扱っているのは、熱狂であり、世界と接続するという曖昧な動機による安心、孤独感、自己満足を「ただ描いている」のです。

この作品自体が何かわたしたちに教訓を垂れているのではないのです。

今の現実をただただ描いているだけ。

それがかえって、恐ろしい怨霊や怪物、怪奇現象とは別の意味での恐怖を掻き立てるのです。

題材自体が新しいという訳ではないですね。

群集心理やある種の熱狂の中で正常な判断を失うという展開がこの作品の基軸になるのですが、それ自体は近年の作品だとパッと思いつくものだと

「THE WAVE」
映画 THE WAVE ポスター


「クーデター」

映画 クーデター ポスター


「23分間の奇跡」

書籍 23分間の奇跡


「蝿の王」

映画 蝿の王



なんかで既に描かれているものです。

個人的には、世にも奇妙な物語版の23分間の奇跡は未だにトラウマものです。

ただし、これは「ある特殊な状況」の中で繰り広げられる狂気なのです。

本作が新しいという点は「もうすでにわたしたちが疑問も持たないで受け入れている状況」の狂気を描いている点ですな。

ザ・サークルはGoogle、アップル、フェイスブック、ツイッターをはじめとしたwebサービスをいってみればひとつに統合させたようなサービス。

ひとつの企業が、個人のすべての生活を掌握している状況であり、それを利便性の名のもとにすんなり受け入れている、ものすごく活用している、わたしたちを描いています。

作中描かれるのは、「よく見慣れた」ジョブズスタイルのプレゼンテーションだし、典型的なIT企業のオフィス、端末、洗練されたデザイン、サービスです。

それらを違和感なく見ていられること=すでにこの作品の描く狂気に自分も参加していることに他ならないのです。

それはたった一言、たった一枚の写真をポストしただけですべてを失うリスクのもう一つ先にあるもの。

全く知らない誰かによって、自分の意思とは関係なく=ネットのプライバシーポリシーや個人設定など嘘みたいに簡単に突き破られ、自分がシェアされ、世界中から見られる≒追われる、というリスクが見えてきます。

まぁ、ソーシャルネットワークとはそこに参加しているだけで既に、
「プライバシーが半分死んでいる」ことに他なりません。

シュレディンガーの猫にも似た状態ですね。


・・・ただし、残念ながら、オチはそれほどすごくないのです。

結局自分のことは秘密にしたいという、陳腐なものに。

しかし「自分のプライバシーなんだし当たり前だろう」と思ったあなた。
少しお待ちを。
あなたがメールやチャットも含めて、誰とも繋がっていないというのなら、それは正しいのです。

結局世界と繋がるとは、リツイートも、ファボも、ブクマも、見えない多数に自分の評価を丸投げしているという側面もあるのです。

丸投げしたくせに、その価値に依存して一喜一憂する。

わたしは例えば作家気取りの方が、SNSやいわゆる創作サイトなどで自分は◯◯万字の物語書いて、どのくらいの人にブックマークされただとか、解説してもらっただとか、自分が作り出した物語そのものにすら失礼なことを指標にしている書き込みを見かけますが、正直なところウンザリすることが多いです。

それでは10万字書いたら不朽の名作なのか?
10時間の映画が、永久に残る傑作なのか?
単純にそう感じるからです。

そういう台詞は、ヘンリー・ダーガーの『非現実の王国で』と同じことをしてから言うべきですな。

非現実の王国で - Wikipedia

『 非現実の王国で』(ひげんじつのおうこくで、 In The Realms of the Unreal)、正式には『 非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』(ひげんじつのおうこくとしてしられるちにおける ヴィヴィアン・ガールズのものがたり こどもどれいのはんらんにきいんするグランデコ・アンジェリニアンせんそうのあらしのものがたり、 The Story of the Vivian Girls, in What is Known as the Realms of the Unreal, of the Glandeco-Angelinnian War Storm, Caused by the Child Slave Rebellion)は、 ヘンリー・ダーガーによる 物語である。 アウトサイダー・アートの代表例とされる作品で、「世界一長い 長編小説 」とされることもある。


わたしは物を書く端くれとして、戒めも込めてこの大型本を大切に書斎に飾っています。
これですら、全体の数百分の一しか解らないのですが・・・

脱線しました(汗)

しかしながらテクノロジーによって、自分の生活を切り売りしているのが現代のSNSのどうしようもない側面ですな。

いいね!のために生きている、というのは、映画そのものを象徴するコピーではなくて、
この映画が描いている現代のわたしたちの側面にこそ用いられるものですな。

あ、ジョン・ボヤーガは本作ではダークサイドには落ちません!
ご安心を(笑)!

エマ・ワトソンがどんどん世界に身を投げ出していくプロセスには、彼女の嬉々とした表情も含めて、本当にホラーを感じました。

2017年映画鑑賞 201本目

post from #pixelbook

◆overview◆


・原題:The Circle 2017年公開
・上映時間:110分

・監督:ジェームズ・ポンソルト
代表作:『人生はローリングストーン』
・脚本:ジェームズ・ポンソルト   デイブ・エガーズ
     

・メイン・キャスト
エマ・ワトソン
トム・ハンクス
ジョン・ボヤーガ
カレン・ギラン
エラー・コルトレーン


2017/10/27

映画_ゲット・アウト / Get Out 感想(評価/★:4) ~あなた、もしかして『ブルギさん』じゃないですか?~【映画レビュー】

『ゲット・アウト』予告編

全米初登場NO.1大ヒット!米映画レビューサイト99%大絶賛! 映画『ゲット・アウト』10月27日(金)TOHOシネマズ シャンテ他、全国ロードショー! ...

映画 ゲット・アウト Get Out ジェイソン・ブラム




◆ゲット・アウト/Get Out 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★
(本年屈指のイカレ具合です!!!!)

文月的採点(46/50点) 

この作品ジャンルは?:スリラー

オススメしたい人は?:単純にクルッテル人達を観たい人

印象を一言で?:実はものすごく社会派の映画です。そして発想は武器人間(笑)

グロテスクですか?:やろうとしていることはとてもグロテスク。


◆synopsis◆


何かが、おかしい。

ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末に白人の彼女ローズの実家へ招待された。

若干の不安とは裏腹に過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚えたのだった。

その夜、庭を猛スピードで走り去る管理人と窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめる家政婦を目撃し、動揺するクリス。

翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに多くの友人が集まるが、何故か白人ばかりで気が滅入ってしまう。

そんななか、どこか古風な黒人の若者を発見し、思わず携帯で撮影すると、
フラッシュが焚かれた瞬間、彼の態度は豹変し「出ていけ!」と襲い掛かってくる。

“何かがおかしい”と感じたクリスは、ローズと一緒に実家から出ようするが・・・。

※公式HPより


◆comment◆


さて、そんなこんなで観てきましたよ「ゲット・アウト」

本年のはじめに海外に住む文月の映画友達から
「文月サン、これホントに○ッキンクレイジーだよ」
と連絡をもらった作品。
文月は公開を心待ちにしていたのです!!!

人種差別主義者(レイシスト)に真っ向から中指をおっ立てる、トンデモなくファンキーな映画が公開されました。

これはもしかしたら、カルト的名作として長らく語り継がれるのではないかと。
後述する文月のある気付き(汗)もありますが、それをまったく知らない方であれば、
斬新な映画であると思われる方も多いのではないでしょうか。


誰かを嫌う、憎む。
そうした感情というのは人間誰しも持っているもの。

わたしには嫌いな人間はいない、なんて言う人をわたしは一切に信じないし、
それは嘘だ。

最小単位のコミュニティである家族ですら感情の行き違いを抱えていることはザラで、
人間同士はおろか、動物同士のコミュニティですら、派閥はある。

コミュニティの集合体である組織、社会同士だって「身内とその他」を明確に分けているし、
その規模が大きくなればそれだけ難しい言葉で「もっともらしい名分」が装飾される。

日本は単一民族国家だから差別などは無縁だとか、昔学校の先生が言っていたけど、それは間違いだ。

人種が違うからではなく、個々人の価値観、背景が違うから。

こういう問題って、民族だとか、人種だとかは本質的には関係なくて、人間同士の軋轢に寄るところが大きいと個人的には考えてます。

かく言うわたしも、海外赴任をしている際には「◯◯人はこれだからダメだ」と感じたことも、口に出したこともありますし、外国人からも「クソ日本人、日本に帰れ」と面と向かって罵倒されたことがあります。

いろいろ理不尽なことばかりが多いですが、決して手など出さず、
銀河英雄伝説のダスティ・アッテンボローのように

「それがどうした?」

と銀河最強の言葉で乗り切るのが一番です。

100%互いに不満がないなんてことはあり得ない。
社会で生きていくということは、国でも、組織でも関係なく、相手との距離感をどれだけ上手に制御できるかがポイントだ。

そんな訳で、いろんなことをひっくるめても、この人と一緒だとなんか楽しい。
そんな人になりたいものです。


たが、しかし・・・・

しかし、ですよ。

わたしは
「この展開、かなり前に、どこかで・・・」
と鑑賞後に首を捻っていました。

記憶を頼りに、グーグル先生にお力を借りましたら、出てきました!

物語の展開としては日本人にとってみればアレです。

知る人ぞ知る星新一原作『ブルギさん』
※映像作品としては、世にも奇妙な物語 268話/主演:田原俊彦

ドラマ 世にも奇妙な物語

でも、これで通じてしまった人もがっかりしないでください。

この作品は『ブルギさん』になる理由が星さんとは違いますし(笑)
もっとダイナミックに展開します。


ですので、敢えてわたしは
ハリウッド版『ブルギさん』
と命名しました。


憎い、とは転じて、嫉妬や羨望が隠れているケースもある。

この作品では「白人至上主義」かと思われるアメリカの、それも南部で
とある奇妙なコミュニティが、偏見を『偏愛』に転換している様が描かれます。

この『偏愛』度合いが、本作品を本年度最上級にイカれた映画に仕立てているのです。
(このセンス、脚本/監督の力量は素晴らしいです)

まさかの日本人登場(チョイ役ですがね)もあるのですが、それがよりこの映画の「人種」というテーマを際立たせています。

人種を乗り越えた融和ではなく、侵食されていくのではないか、という恐怖が。

そしてそこに絡んでくるのが不老不死の願望。
と、まぁ、このジャンル好きにはたまらないカルト要素ですなぁ。

異常な世界を極彩色に染め上げた感じはフィクションであることを強調すると同時に、
これを社会に出すには、ここまで作り上げないといけなかったのかと、唖然とさせられます。


「ゲット・アウト/Get out」

というこの映画のタイトル。

穿った見方をすると、これすら制作陣による一流のブラックユーモアであって、
イッちゃってるコミュニティからすれば主人公『ら』はWelcome全開の「Get in」なのです。
(大切なのは『ら』であること)

これから作品をご覧になられる方は

「誰が、どうして『出て行け』」と言ったのか?

に注目して観てください。

この作品のコピーである『何かがおかしい?』とは、
『ゲット・アウト=出て行け』の謎を解くことであり、
それが104分の旅を満喫するキーワードであると教えてくれています。

エンドロールを迎える頃には、このタイトルが意味深であることがお解りになると思います。


それから見逃せないのが、この映画では「めちゃくちゃカートゥーン」というか、ベタというか、ステレオタイプのマッド・サイエンティストが登場します。

イカれている度合いからすると、
『武器人間』(2013)のヴィクター・フランケンシュタイン博士

映画 武器人間 ヴィクター・フランケンシュタイン


『ムカデ人間』(2010)のヨーゼフ・ハイター博士

映画 ムカデ人間 ヨーゼフ・ハイター


には及びませんが、典型的な危ないヤツが登場しますぞ。

主人公が導かれるその「研究施設」の造形が50〜60年代を象徴したようなもので、個人的に胸を貫かれましたわ。

なんだろうなぁ、『007』の初期の頃、Qなんかが小言を言いながらひょっこりと姿を現しそうな。(こっちはイギリスですが)

アメリカの当時の造形とかも日本の「昭和」と同じように、すでに「異世界」感を醸し出すものになってしまったんですねぇ。

そして、イカレた連中の『解決策』とやらが武器人間に通じたのは笑えました。


ちなみに・・・・
人種差別とはものすごく根が深い問題です。
舞台となる南部では実際にこのような状況だったのです。
(舞台が南部ってなぜ?=スウィートティを飲んでましたからね!!!これも劇中での皮肉のひとつ。貴重品であった砂糖をふんだんに使ったアイスティーは、上流階級であり、白人社会の象徴のひとつです。)

日本の教科書では語られない 人種差別のおそろしい真実

たった60年前のこと。アメリカ人は凄惨な歴史の再来を恐れている。

そして、日本人もその対象でしたという記事を見つけました。

旅先ではご用心、人種差別がきつかったディープサウス (アトランタ) - 旅行のクチコミサイト フォートラベル

アトランタでのHolisunさんの旅行記です。


さらに本日ロケットニュースさんを閲覧中に、まさしく本作の根深い問題の本質を突いた記事も発見。

黒人男性が白人至上主義者をハグしながら「なんで僕を嫌いなのか?」と聞き続けたら衝撃的な回答が返ってきた

肌の色、生まれた場所、性別、外見、身分、職業......人間はさまざまなことで、正当な理由もなく他者を差別する。「◯◯だから、しょうがない」「これは差別ではない」などの舌先三寸な言い訳も聞かれるが、これからお伝えするような場面でも全く同じことが言えるのだろうか? ある 黒人男性が、白人至上主義者にハグをしながら「なんで僕のことが嫌いなのか?」と質問し続けた ...


あ!スウィートティについてのコラムもご紹介します。
(実はわたしコーヒーも紅茶も大好きです)

アイスティーの起源を追って|世界のお茶専門店 ルピシア 〜紅茶・緑茶・烏龍茶・ハーブ〜

アイスティーの歴史を遡ると、アメリカ南部の冷たく甘いお茶の文化にたどり着きました。



監督を務めた著名コメディアンのジョーダン・ピール氏。
今度はなんと本作の5倍ものバジェットで新たな映画製作をするそうです。

ブラックユーモアのかけ具合は、どことなく北野武監督にも似ていると感じました。

これは、ぜひ劇場に足を運んで頂きたい作品です。
極彩色で装飾されたフィクションに大いに笑い、その裏に隠された問題について考えてみるのも、ほんの少し世界のためになるかも知れません。

もう1作のイカれた映画
『a cure for wellness』
も公開されないか、切に願ってます。

これも本当におすすめです!

本作も十分キテレツですが、イカレ具合とぶっ飛び度はこちらに軍配。

・文月の過去の紹介記事

A cure for wellness 感想 ~つーか!おっさん!演技にかこつけて、どこ触ってんだ!羨ま・・・ぶ、ぶべら!!!~【映画レビュー】

ニューヨークの巨大金融系企業に勤める若手社員のロックハートは、アルプスにある療養施設ウェルネスセンターに行ったまま連絡の途絶えたCEOを呼び戻すために現地に派遣されることなった。 行き着いた先は人里離れた閉鎖的な山間の小さな町。 ウェルネスセンターも名前とは裏腹に、中世の古城を改築した土地に設けられていた。 デジタルとは程遠い世界に呆気にとられるロックハート。 ...


2017年映画鑑賞 175本目

◆overview◆


・原題:Get Out 2017年公開
・上映時間:104分

・監督:ジョーダン・ピール
代表作:『コウノトリ大作戦!』
・脚本:ジョーダン・ピール
     
・メイン・キャスト

ダニエル・カルーヤ
アリソン・ウィリアムズ
ブラッドリー・ウィットフォード
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
キャサリン・キーナー
スティーブン・ルート
ベッティ・ガブリエル
マーカス・ヘンダーソン
キース・スタンフィールド

2017/10/07

映画_アウトレイジ最終章 感想(評価/★:4)~群れを離れた狼の悲哀~【映画レビュー】

映画『アウトレイジ 最終章』本予告【HD】2017年10月7日公開

全員悪人 全員暴走 《関東【山王会】 vs関西【花菱会】》の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。そんな折、取引のため韓国滞在中の【花菱会】幹部・花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。これをきっかけに、《国際的フィクサー【張グループ】 vs巨大暴力団組織【花菱会】》一触即発の状態に。激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。時を同じくして、その【花菱会】では卑劣な内紛が勃発していた......。 『アウトレイジ 最終章』2017年10月7日(土)全国ロードショー 公式サイト:http://outrage-movie.jp/ ビートたけし 西田敏行 大森南朋 ピエール瀧 松重 豊 大杉 漣 塩見三省 白竜 名高達男 光石 研 原田泰造 池内博之 津田寛治 金田時男 中村育二 岸部一徳 監督・脚本・編集:北野 武 音楽:鈴木慶一 配給:ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野 ©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会

映画 アウトレイジ最終章 北野武

◆アウトレイジ最終章 鑑賞◆

評価/オススメ:★★★★

文月的採点(41/50点) 
この作品ジャンルは?:クライムサスペンス

オススメしたい人は?:全ての働くサラリーマン

印象を一言で?:今作は『ドラマ』・・・だとっ。


グロテスクですか?:今回は北野バイオレンスが極めて控えめです(注意:過去2作比)
それでもやることはやっています(笑)


過去の作品は観るべき?:
「アウトレイジ」、「アウトレイジ・ビヨンド」あっての、アウトレイジ最終章です。是非まだご覧になっていない方は地上波などで描写がカットされていない完全版を鑑賞してから足を運ばれると良いでしょう。


◆synopsis◆


山王会と花菱会の巨大抗争後、大友は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長の下にいた。

そんな折、取引のために韓国に来た花菱会幹部の花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。

これを発端として国際的フィクサー・張グループと巨大暴力団組織・花菱会が一触即発の状態となってしまう。

発端となった事件に激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。

時を同じくして、その花菱会では内紛が勃発していた・・・

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正


◆comment◆



本日、2017/10/7より公開です。

文月はアウトレイジ、アウトレイジ・ビヨンドともに年に数回は観直すほどにこのシリーズが好きなのですが・・・・

・・・・うむむ!?

本作は『怒号の応酬』も『北野バイオレンス』もとても控えめ。

複雑に交錯したドロドロの人間関係の中で誰がいつ殺害されてしまうのか?
そういう方面でとてもハラハラしてしまう、シリアスな『ドラマ』になっていました。

また、伝説的な台詞と極端なまでの暴力描写で世間を騒がせたアウトレイジ。



「頭なら若いもんの責任とっててめえが指詰めろ」


「やぁってやっから、道具持って来いコノヤロ!」


「すぃらねえよん……だああああああああ!!!!!!!!」


「ウチの若いのよくも『取って』くれたなコノヤロー」


「わわわわ若い衆が勝手にやったことだからよ!?」


「指出せオラーーーーー!バズン!!!」


「舌出せ!出せって言ってんだろ!」


「おい『道具』出せ!」


「テメェらが会いたいから言うて、すぐ会えるほどウチの会長安ないで?」


「オイ、舟木。テメェも同じようにしてやるからよ、見とけコノヤロ!ぎゅいーーん!」


「見た!見た!思い出した!見たんだ待ってくれよ!見た!」


「おい、元の親分の所行こうぜ・・・。あ?『大友さん』だろコノヤロー!」ドゴッ!


「良かったなじゃねぇよ、おぉ!?てめぇどこ座ってんだよ!」


「You know you're dealing with the YAKUZA, right?」


「野球しよっか?」

これらの台詞で、シーンが連動されたア・ナ・タ。
フリークですねぇ。

アウトレイジ、アウトレイジ・ビヨンドは言ってみれば『バイオレンス』を娯楽にしてしまった北野監督独特のブラック・ユーモアたっぷりの作品でした。

わたしがこの作品をものすごく好きなのは、

「組織、社会、コミュニティ」

という、利害や力関係が発生する場所で生きなければいけない人の悲哀が凝縮されているからです。

つまり、アウトレイジという作品は『ヤクザ』というアイコンに収められた『社会風刺』なのです。

どこか自分とは関係ない場所の話ではないのですぞ。

キャッチコピーの「全員悪人」というのは実はすごく深くて、
「観ているあなたは果たして善人ですか?」と問いかけられているのです。

黙々と上からの、そして組織から受けている義理を通す人。

自分の出世や責任逃れのために、誰かを利用する人。

笑顔で接しておきながら、実は裏で別のやつと繋がっている人。

上の指示という言葉を大義名分にしてなんでもやる人。

虎視眈々と相手を蹴落とすことを狙っている人、狙われている人。

そして犬ころの様に誰かを慕い、信じてついてくる人。

このアウトレイジ3部作に登場する人物はもの凄くコミカルにデフォルメされた悪人達です。

そして、自分を、自分のまわりをよーーーーく、目を凝らして、冷静に見つめてください。

多かれ少なかれ、登場人物のキャラクターや、立ち振舞い、考え方、価値観が重なって見えませんか?

いやいや、そんなやつはいないよ。

そう言える人が果たして何人いることやら。

これは皮肉でもなんでもなく『生きていくって、そういうもの』なのだとわたしたちにノックしている北野武監督からのメッセージなのです。

彼らの放つ怒号、応酬、暴力が観ている側をどこかスッキリさせるのは、取りも直さず

普段自分が抑えてできないことを代わりにやってくれているからですわ。きっと。


――そんな訳で、最終章と銘を打たれた本作ではどれだけ「スッキリ」できるのか(オイオイ(汗))を期待してスクリーンに向かったのですが・・・・


本作は暴力ではなく
「群れを離れた一匹の狼(=大友)の悲哀」
がメインのお話になっていました。

あんまり痛くないので、門戸が広まったかも(笑)

北野監督が「バラバラに見えているけど、3つでひとつの作品」と公開前のインタビューで答えていました。

本作のメインテーマは「ケジメ」なのです。

起承転結の「結」

そして見えてきた「大友」という男は、過去の北野作品で描かれた「不器用だけど懸命に生きる男」達と共通している、かっこいい男だったのです。


まず、本作を楽しむためには登場人物達が置かれた状況と主要な人間模様を知ったほうが良いでしょう。


◆大友が属する「張グループ」

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 相関図


◆そして今作で敵対するご存知「花菱会」

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 相関図 2


※ちなみに、ピエール瀧さん。
本作でのコメディ部分というか笑える要素はほぼ彼に集約されています。
大島渚監督の『御法度』のトミーズ雅さん並にいい味出してます。


◆過去作からの因縁の関係はこちら

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 相関図 3


◆大友という男が背負った『ケジメ』

そして、本作では過去の作品への配慮も忘れていません。
「ケジメ」とはアウトレイジ・サーガ全体へのケジメなのです・・・

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 相関図 ケジメ


◆大友を慕う若い衆

大友という男には不思議な魅力があって、作品全てに彼を強烈に慕う若い衆が登場します。
しかしながら、その若い衆達の末路も作品の熱度を上げる強いエッセンスになっていました。

(画像クリックで拡大されます)

映画 アウトレイジ最終章 大友 水野 木村 市川


これが作品のフレームになります。

・アウトレイジ最終章を楽しむポイント①


ますは「舎弟愛」というが本作品の見どころです。

大森南朋さん演じる本作の若い衆である「市川」。

文月としては、この市川は過去椎名桔平さん演じた「水野」、中野英雄さん演じた「木村」、ふたりの良いエッセンスを見事に受け継いだとても好感が持てる新キャラクターだったとえらく感激しましたわぁ。

激しすぎず、前に出すぎず、ひたすらに大友に従う姿がもう・・・・

それだけではありません。
悪人ながらも縦の主従関係がしっかりとしているのは、大友と市川だけではないので、
各シーンでどのラインが絡み合って動いているのかが解るととても楽しいです。

それでも、親子でも兄弟でもないのに、大友という男に惚れ込んだ市川の真っ直ぐさは萌え要素の重要な一つです。

大友と市川に共通するのは「息が詰まりそうな組織の枠より、自分の信念を通す」生き様でした。

自分がここまでできるのか?と自問自答してしまうほどの・・・


まぁ、語弊があるでしょうが、コジマプロダクションの小島秀夫監督が独立した時に集った人たちを観ているような気持ちになりました(小声)下記、リンクを貼ります。

わたしだって、ゴミ掃除係でもいいので馳せ参じたいのですが、無理だなぁ。

・アウトレイジ最終章を楽しむポイント②


『裏切り』の連鎖

冒頭でアウトレイジ最終章にハラハラさせられたと書きましたが、それは『一体誰を信じたら良いのか、大友の思惑すら解らない』ところにあります。

単純に「張グループ vs 花菱会」という構図ではないのです。

花菱会も一枚岩ではない、そして花菱会に後見されている山王会も、大友が属する張グループでさえも、しょーーーもないエゴが渦巻くドロドロの人間模様を展開します。

このあたりは北野監督お得意のコントを観ているようで、実際の鑑賞中もみなさん所々で笑い声が上がっていました。

解っちゃいるけど笑ってしまう、古典落語の境地ですな(笑)

しかし、ラストシーンを迎えるまで、誰がどの瞬間に「生命(タマ」取られてしまうのか全く油断できませんでした。

誰もが同じことを考えていて、状況をどれだけ自分の有利に持っていくか。

人間関係も、仕事も、極端な話ですとこれの繰り返しです。

その意味で、裏切りの連鎖とはフィクションの中でだけ展開するものではありませんぜ。


・アウトレイジ最終章を楽しむポイント③


それぞれの「ケジメ」

大友、張グループ、花菱会、山王会、警察と今回の事件を決着しなくてはならないのです。

互いに納得できる着地点、いわばそれぞれが落とし所をどこにするか、その腹の探り合いは内紛をコントロールしている誰もが考えて行動しています。

北野監督が描く美学とはあるひとつのベクトルに一貫して向けられていて、それが作品に漂う悲哀を一層深めているのですが、
本作品ではさらに、
それぞれが落ち着く所に落ち着いて
「一番悪い奴が天下を獲ったように見える」
収め方は、いずれまた悲劇は繰り返すのだろうとちょっぴり続編を期待してしまうような気分にさせますな。

でもアウトレイジ、アウトレイジ・ビヨンド、アウトレイジ最終章と3作品全てを観ている人はもちろんのこと、北野作品を愛している方ならば後半でピンと来る方も多いかもしれません。

アウトレイジというひとつの物語に「ケジメ」をつけるのであれば、
どうしようもなく決定的な終わりを迎える必要があるのでした。

群れを離れた狼の最後の咆哮を、是非ご自分の目でお楽しみください。

わたしはラストカットでどうしようもなく切なくなりました。


2017年映画鑑賞 165本目

◆overview◆


・原題:アウトレイジ最終章 2017年公開
・上映時間:104分
・監督:北野武
代表作:『brother』『ソナチネ』
・脚本:北野武
     

・メイン・キャスト
ビートたけし
西田敏行
大森南朋
ピエール瀧
松重豊
大杉漣
塩見三省
白竜
名高達男
光石研
原田泰造

 
  [映画感想]

2017/09/30

映画_ドリーム 感想(評価/★:4)~ゴージャス、デリシャス、デカルチャー~【映画レビュー】

映画『ドリーム』予告A

映画『ドリーム』公式アカウント。 2017年 第89回アカデミー賞3部門(作品賞、助演女優賞、脚色賞)ノミネート 宇宙開発史上の偉業を支え、新しい時代を切り開いた知られざる3人の女性がいた―― 【2017年9月29日(金)全国ロードショー】 ▼公式Facebookページ https://www.facebook.com/20thFOXjp/ ▼公式Twitter ...

映画 ドリーム Hidden Figures

◆ドリーム / Hidden Figures 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★

文月的採点(44/50点)
この作品ジャンルは?:ヒューマンドラマです。

オススメしたい人は?:すべての働く人達。目標に向かって進んでいる人。

印象を一言で?:本年度屈指の勇気の出る映画!

重い話ですか?:実は宇宙開発というのは作品のエッセンスのひとつで、見どころはいろいろな偏見と戦う女性たち、人間たちの物語。テーマは重いですが、天真爛漫なキャストたち明るさがそれを見事に中和しています。

◆synopsis◆


東西冷戦下、アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げている1961年。
ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所では、優秀な頭脳を持つ黒人女性たちが“西計算グループ”に集い、計算手として働いていた。

リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は管理職への昇進を希望しているが、上司ミッチェル(キルスティン・ダンスト)に「黒人グループには管理職を置かない」とすげなく却下されてしまう。

技術部への転属が決まったメアリー(ジャネール・モネイ)はエンジニアを志しているが、黒人である自分には叶わぬ夢だと半ば諦めている。

幼い頃から数学の天才少女と見なされてきたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、黒人女性として初めてハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、白人男性だらけである職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレすらない。

それでも、それぞれ家庭を持つ3人は公私共に毎日をひたむきに生き、国家の威信をかけたNASAのマーキュリー計画に貢献しようと奮闘していた。

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月によりカット

◆comment◆


日本では2017/9/29より公開。文月は幸運にも公開初日に鑑賞できました。
監督はわたしのおすすめ作品のひとつである
『ヴィンセントが教えてくれたこと』のセオドア・メルフィ。

→文月の過去の紹介記事(この頃はまだ短いポスト)
『ヴィンセント~』で不覚にもおいおいと泣いてしまって以来のファンです。

よって、今回の作品は不安もなにもなく安心して劇場に足を運べました。

不安、といえば、この作品は邦題を巡って一悶着あったことを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
わたしも以前の投稿で言及しました。

→文月の過去の紹介記事

本作はマーキュリー計画を題材とした作品。

つまり、『ライトスタッフ』達を支えた多くの人達、とりわけ理不尽なしがらみを乗り越えて業績を残した女性達の物語です。

光と陰。

言ってみれば、ローグ・ワン/スター・ウォーズストーリーの様に、これまであまり語られなかった外伝として捉えることもできますが、実話であることが本作のミソです。

よって、わたしは本作を鑑賞した後に改めて『ライト・スタッフ』を観てみるつもりです。


映画 ライト・スタッフ


『ライト・スタッフ』予告編

The Right Stuff (1983) Official Trailer - Ed Harris, Dennis Quaid Movie HD

The Right Stuff (1983) Official Trailer - Ed Harris, Dennis Quaid Movie HD Subscribe to CLASSIC TRAILERS: http://bit.ly/1u43jDe Subscribe to TRAILERS: http://bit.ly/sxaw6h Subscribe to COMING SOON: http://bit.ly/H2vZUn Like us on FACEBOOK: http://bit.ly/1QyRMsE Follow us on TWITTER: http://bit.ly/1ghOWmt The story of the original Mercury 7 astronauts and their macho, seat-of-the-pants approach to the space program.


●ドリームとは?

さて、本作が描いているのは、マーキュリー計画の最大の難所であったアメリカ初の有人地球周回飛行が成功するまでの過程です。

しかしながら、意外と扱っているテーマは重いのです。

オープニングからいきなりそのものずばりの人種差別女性蔑視から始まり、
職場でのしがらみ嫌がらせ困難な課題への挑戦。

仕事を通して、そして私生活を通して、浮き上がっては頭を悩ませる現実という壁。

生きること≒働くこと というのは多くの人が共通して抱えているものですが、

この作品も『誰もおそらくが毎日感じていること』を映し出しています。

何かすごいことをした遠い国の本当にいた人のお話、という目だけで観られる人は少ないし、逆にもったいないですよ。

こう書かなくても、自分の生活とダブってしまう方は多いのではないのでしょうか(笑)


●主軸となる3人のレイディはこちら↓

(画像クリックで拡大されます)
映画 ドリーム Hidden Figures 主人公

3人とも、優れた才能を持ちながら『何かを耐えている』姿は印象的です。

彼女たちが身内だけに見せる素の姿と外での『ツン』とした態度。
どうしてそんな態度を取るのかはまさしく、
彼女たちが『耐えている』ものに起因しています。

●そんな彼女たちと関わることになる人達はこちら↓

(画像クリックで拡大されます)
映画 ドリーム Hidden Figures 相関図


面白いことに、彼らの姿勢、見識が『2対2』で別れているのも見どころです。


誰もが抱えているものと同じ、と書いたのには理由があって、

有色人種である3人の主人公だけでなく、彼女たちと関わる彼らも悩み、苦しみ、耐えているからなのです。

性別や人種など関係なく、自分の才能を活かせるところを掴み取れるということは、理屈なようで理屈でない、とんでもない事なのです。
多くの人が、何かを諦め、何かに苦しんで過ごしている。

わたしだって同じです。

ただ、今よりもはるかに不自由で理不尽なしがらみの中で、決して諦めなかった人たちがいた。

簡単に一括りにはできないし、映画として造られた以上、作中彼女たちが直面する差別という名の現実は、本当はもっと凄まじいものであったはず。

キング牧師のあの時代なのです。

それでもこの作品を明るくしているのは最高に明るくて、そして強く、デカルチャーでタフなレイディ達の姿に他なりませんな。

自分の居場所は、自分で勝ち取るもの。

そして居場所は自分でつくるもの。

つらい状況は誰にでも起こり得て、そしてその中で再起不能に陥ってしまうこともあるのだけど、

そんな時でも劇中のキャサリンのように背筋を伸ばし、

ドロシーのように図太く学び、

メアリーの様に不敵に挑む。

『ドリーム』という邦題を考えたライターさんなり、配給会社さんとしては、

彼女たちが魅せた不屈の姿に『古き良き健全なアメリカン・ドリーム』(頑張って金持ちになりましたというのではない)を見たのだろうなと考えました。

ま、『新感染』とかいう、座布団全部持っていかれそうなのボロクソタイトルと比べれば、まあアリですな。
(誤解のないように。『TRAIN TO BUSAN』はマ・ドンソクのタフガイぶりに最高に燃えた口です。はい。わたしがケチを付けているのはこの邦題。何が「新しい感染」なのか、
詳細なレポートを提出してもらいたいくらい個人的には憤ってます)


人類初の有人飛行を成し遂げた人。

アメリカ人初の地球周回軌道飛行を成し遂げた人

その陰に、アメリカの黒人女性初の偉業を成し遂げた女性がいた。

エンドロールが「良かったね!めでたし、めでたし」だけでなく
しっかりと彼女たちにフォーカスして終わります。

観る側としては、それをしっかりと心に刻むことで真のエンディングを迎えられることでしょう。


●ちなみに

IBMの特設サイトには、主人公の彼女達にフォーカスした動画もあって、改めてすごいことをした人達なんだなと脱帽しちゃいます。興味のある方は御覧ください。


しかし本作は『走る、走る』

観客席から立ち上がって応援したくなるくらい、走る。

象徴的なシーンなので必要な描写なのですが、

あたし、仕事中にあんなに走ったら、すぐに早退します。


2017年映画鑑賞 160本目


次回予告、『コノヤロー!バカヤロー!』なあの映画です(笑)

◆overview◆


・原題:Hidden Figures 2016年アメリカ公開
・上映時間:127分

・監督:セオドア・メルフィ
代表作:『ジーサンズ はじめての強盗』『ヴィンセントが教えてくれたこと』

・脚本:セオドア・メルフィ アリソン・シュローダー
     
・メイン・キャスト
タラジ・P・ヘンソン
オクタビア・スペンサー
ジャネール・モネイ
ケビン・コスナー

2017/09/16

映画_エイリアン コヴェナント 感想(評価/★:5)~全ての生命に祝福を~【映画レビュー】

映画『エイリアン:コヴェナント』予告D

"映画『エイリアン:コヴェナント』公式アカウント。 巨匠リドリー・スコットが解き明かす"エイリアン誕生"の想像を絶する真実! 【2017年9月15日(金)全国ロードショー】 ...


映画 エイリアン コヴェナント Alien: Covenant

◆エイリアン コヴェナント / Alien: Covenant 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★★
(もっとあげても良い)

文月的採点(45/50点) 
この作品ジャンルは?:SFホラーです。

オススメしたい人は?:リドスコのエイリアンファンだけでなく、あえて、子供を持たれている方すべてにオススメしたいです。

印象を一言で?:エイリアンが怖いという映画ではないです。違うものが怖い。

グロテスクですか?:描写もさることながら、全体的にダークな印象。

前作は観たほうがいい?:『プロメテウス』を観ていないと、一番コアな部分が恐らく本作だけでは解らない物語です。是非前作を復習されてから鑑賞ください。

◆synopsis◆


宇宙移住計画を実行するために地球を旅立ったコヴェナント号は、
コールドスリープ中の男女2,000人を乗せて、
植民地と成り得る惑星を目指していた。

しかし、あるアクシデントが発生し航行に重大な支障がでてしまう。
コールドスリープから目覚めた主要クルーらによる修復作業のなか、
謎の電波を受信する。

本来であればあり得ないことではあるが、航路を変更して
電波発信元に向かうコヴェナント号とクルー達。

そこは本来の目的地よりもはるかに地球に酷似した環境の惑星だった。

調査に赴いたクルーたちは、そこで奇妙な形をした建造物の残骸を発見するが・・・・
開けてはならない箱を持つあるものが待ち受けていた。

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正


◆comment◆


2017/9/15 日本では昨日から公開です。

あぁ、始まった。すべての絶望がここから始まったのだ・・・

本作のキービジュアルに書かれています
『絶望の、産声』というコピーには、、、、、
お見事という言葉しか浮かびません。
この一言には、いろいろな意味が含まれていますよ。
ライターさん、本当にお見事。脱帽です。


映画 エイリアン コヴェナント Alien: Covenant


映画鑑賞後にもう一度見返しましたが、わたしは唸ってしまいました。


うむ。
映画やドラマを鑑賞していて不快な感覚になることは早々ないのですが、
久々に悪寒と「気持ち悪さ」を感じた文月です。

本作を紹介するにあたって、どこに力点を置くかで書かせてもらう文章が
まったく違う方向に行ってしまうのです。

あのバリバリの予告編から多くの方が想起されるのは、それこそリドスコが監督ではありませんが「エイリアン2」であったり、その次であったりなのではないか?と考えます。

もちろん、後述しますがそういう面で感じる視覚的な恐怖も本作の魅力のひとつです。
(わたしが感じた「気持ち悪さ」を猛烈に押し上げた要因でもあります)

しかし「プロメテウス」から本作、そして「始まり」へというリドリー・スコットが描いた3作品すべてをよくよく考えてみると、「生命」というものの美しさというものを人間がものすごく歪めてしまっているのではないか?ということを感じました。

この作品、結局何だかよく解らんけど、とりあえず気持ち悪かった。
と観られた方の感想が割れるとすれば、「グロいだけ」と言われかねないリスクもあるのですが、そこから何かを掬い上げて、この映画をより楽しんでもらうことができればと。

残酷描写だけを楽しむのはもったいない作品ですから。

映画って、結局はどんな風に楽しんでも良いものなのですけど、
わたしとしては映像の裏側にあるものを考えながら観るのも一興ですよと言うことが言いたいだけなのです♫


●エイリアン コヴェナントとは?

さて、エイリアン コヴェナントとはどういう物語かと言いますと、
いわゆる「どうしてそうなった?」を追いかけるストーリーです。

そしてこの作品の真の主人公は申し訳ありませんが、リプリーを彷彿とさせる
キャサリン・ウォーターストンだと思ったら大間違いになります。きっと。
もちろん彼女が成すのはこの話をリードしていく重要な役柄です。
そして素敵です。でも違うのです。
彼女すら、本作においては添え物のひとつになってしまっています。

さらに見逃してはいけないのは前作とも密接に関わってきますが「プロメテウス」というタイトルの意味だと考えます。
わたしは
「本当は誰がプロメテウスだった(あるいはプロメテウスになろうとした)のか?」
「プロメテウスはいったい何をしたのだろうか?」
「コヴェナント/covenant」とは何を意味するのか?
を自分なりに紐解くことで、リドスコが何を訴えたいのかが掴めたように考えます。

すべてを握っているのは、別の存在なのです。
(鑑賞される前の方のために、この核心的な部分のネタバレは致しません)

と、小難しく書いても「プロメテウス」をしっかりとご覧になった方はすぐにピンと来るのでご安心ください。

エイリアン:コヴェナントとは「もう始まっている物語だったのです」

人類の、そして、生命の起源が何処にあるのかが解明されていなくとも、
わたしたちは子孫を残すことができるし、なおかつ「新たな生命」を造りだすことすら可能になっているのです。

何の因果か、鑑賞後にわたしは「エクス・マキナ」を本作と共通している部分があるとリンクさせて考えてしまいました。
※エクス・マキナの過去の紹介記事

どういう経緯であれ、産声をあげたものに等しく宿るものが「生命」
その価値に差があるのか?優劣があるというのか?
造られた生命は誰のものなのか?

生物は少しでも長く生き残り、子孫を残していくために、あらゆることをするもの。
進化もそのために必要なプロセスなのです。

たとえ別の種を利用し、取り込み、もしくは滅ぼすことになったとしても、
結果として姿形が始まりと変わったとしても、
自分たちの「種の保存」を優先するもの。

それが叶わなくなった種は、淘汰されるのが運命。

それが「創造主」たる何者かが等しく定めた「生命の性」

リドリー・スコットはわたしたちに、そんな「生命の性」に触れることができるようになった人類に対して本作を通じていくつかの問題提起をしていると考えます。

・「ヒト」に創造主としての資格があるのか?

・「ヒト」の主観を、立場を変えて見てみると、どのように映るのか?

これは単純に力を誇示する強者の姿を示しているのかもしれません。

新たな生命が「完璧な生命」であるとは決して限らない。

恐らく「完璧な生命」とは、ヒトの美意識などでは計り知れない姿をしている。

もっと言えば「種の保存」のみを突き詰めた「完璧な生命」の姿≒今のヒトの所業とは本作で主人公達を襲うクリーチャーと同じではないだろうか。

他の生命から見た場合、ヒトであるわたしたちの姿も行為も、グロテスクであり、恐ろしいほどの脅威なのだろうな。

全知全能の神ゼウスですら、プロメテウスの所業を止めることはできなかった。
神であるプロメテウスですら、善意で成した行いで過ちを犯した。
神という種ですら、完璧ではない。ひとつの意志など持ち得ない。
それぞれに思考も価値観も優先するものも違う。
ましてやヒトは神ですらないというのに、生命の性に逆らい、新たな生命すら身勝手な理由で造り出す。忠実なる下僕として。

造られた側からしてみれば、生命の進化の鎖の外にヒトによって置かれてしまった理不尽さに気が付かない訳はありません。

そして、自らの血と肉を使い、種を残すことができないのであれば。。。

始めから「ヒト」の不完全さを理解しているのであれば、
その不完全さを埋めてしまえば「完璧な生命」ができあがる。

自分はそれができる。それができるようにすべてを定義され、どういう価値観であっても事象を理解できる存在なのであるから。

その手段も見つけた。なんと美しく、強い種であろう。

不完全な自分の創造主≒父は愚かで脆い。

その過ちを正すことで己が抱える不完全な哀しみを埋めようとした。

逆説的にそれが創造主の願いを叶えることになるし、己も創造主になることができる手段だったのです。

わたしは「あの存在」の狂気の所業の根幹にはこんなものがあったのではと感じたわけです。

名前って大切。わたしの中では、ひとつにつながりました。
(変な邦題付けられなくてよかった)

そういう訳で本作で上げられる「絶望への産声」の扉を開いたのは、実に皮肉な存在であり、元を正せば、○○だったのでした。
(ネタバレの為伏せ字)

本作のクリーチャーは、種の進化と保存を貪欲に行おうとしているだけなのです

ホント、考えてみれば本当に気持ち悪い化け物です。

寄生した宿主の遺伝情報を的確に取り込み、「その姿」すら変えていく。

ヒトに寄生すれば、ヒトの姿に。それ以外に寄生すれば、それ以外の姿に。

後に派生した「エイリアン」というコンテンツの設定もきちんと拾うリドスコ。
(リドスコが完璧なまでに繊細であることを、いまさら書く必要はありませんので省きます。リドスコは『世界』を作ってしまう方なのですから)

怖いよねぇ、グロいよねぇ、身体バラバラになっちゃうし、『あり得ない勢い』だし。
と冒頭にも書いたように、純粋なSFサバイバルホラーとしても、きちんとセオリーを踏んでいるのでドキドキハラハラは堪能できます。


それでもわたしは「どうしてこんな事が起こってしまったのか?」を探っていく過程で感じた恐怖が勝りました。


わたしにとっては、正当な理由に基づいた狂気が、己が心を通わせた精神的な『母』であり『恋人』に対して示した全身全霊の『愛』のカタチが相手も「完璧な生命」にしてあげることだったというのが、一番気持ち悪かったのですが、それも「ヒト」の主観なんだろうなぁ。

あれ真っ白なビジュアルも強烈だったし。ましてや『ものすごい可能性』を秘めた狂気のやり取りをしていたのが、ある意味斬新でした。
恍惚さすら感じた、あのシーン。あー、怖い(汗)
だけど、あれって・・・・あの人でしょ!?!?!?!


完全な狂気に支配された『方舟』が、今、『始まり』へと旅立ちます。

この恐怖。是非ともご堪能ください。

2017年映画鑑賞 153本目

◆overview◆

・原題: Alien: Covenant 2017年公開
・上映時間:122分
・監督:リドリー・スコット
代表作:『エイリアン』『ブレードランナー』
・脚本:ジョン・ローガン
ダンテ・ハーパー

・メイン・キャスト

マイケル・ファスベンダー 
キャサリン・ウォーターストン
ビリー・クラダップ
ダニー・マクブライド
デミアン・ビチル
カルメン・イジョゴ
ジャシー・スモレット
キャリー・ヘルナンデス
エイミー・サイメッツ
ナサニエル・ディーン
アレクサンダー・イングランド
ベンジャミン・リグビー
ウリ・ラトゥケフ
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第7並行世界のユートピア

物語の海に溺れる中で、フレーズ、イメージを繋ぎ合わせて生まれた短いストーリー達を文月陽介が書き留めます。 特定のジャンル、モチーフにこだわらずに、ひとつひとつの物語を紡いでいます。 ※筆者の気まぐれにより不定期更新です。

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