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2017/11/03

映画_シンクロナイズドモンスター / Colossal 感想(評価/★:3)~煮ても、焼いても、叩いても、アン・ハサウェイは可愛いのです!キリッ~【映画レビュー】

シンクロナイズドモンスター予告

Uploaded by Albatrosmovie on 2017-08-09.


映画 シンクロナイズドモンスター アン・ハサウェイ



◆シンクロナイズドモンスター 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★

文月的採点(35/50点)

この作品ジャンルは?:コメディタッチのファンタジー

オススメしたい人は?:カップルや女性の方も楽しめるかも。

印象を一言で?:超B級映画と思いきや、実は深い。
アン・ハサウェイがふつーのお姉さんを演じているのは必見。
つーか、ツンとしていないので、すごーーーーく可愛い。

グロテスクですか?:グロシーンはありません。


◆synopsis◆



巨大な怪獣を操るダメウーマンが、負け犬人生と世界の危機に立ち向かう!!

職ナシ、家ナシ、彼氏ナシ。
酒に溺れて失敗ばかりのグロリアは、ニューヨークから故郷の田舎町へと逃げ帰る。
時を同じくして、韓国ソウルに突如巨大な怪獣が襲来!
その怪獣の動作は、なぜか遥か遠く離れたグロリアとシンクロしていた―。
世界の運命は、酔っ払いのダメウーマンに託された?!
憧れのニューヨークで働いていたグロリア(アン・ハサウェイ)だったが、失業してからというもの毎晩酒に酔って暴走し、ついには同棲中の彼氏ティム(ダン・スティーヴンス)に家を追い出されてしまう。 家も仕事も彼氏も失ったグロリアが向かったのは、生まれ故郷の小さな田舎町。 そこでばったり再会した幼馴染のオスカー(ジェイソン・サダイキス)に誘われ、グロリアはオスカーが営むバーで働くことになる。

グロリアが新生活への一歩を踏み出す中、衝撃のニュースが世界を駆け巡る。 韓国のソウルで突如巨大な怪獣が現れたというのだ。 テレビに映し出された衝撃映像に皆が騒然とする中、ただひとりグロリアはある異変に気付く。 「この怪獣、私と全く同じ動きをする…?!」舞い上がったグロリアは、怪獣を操り世界をさらなる混乱へと陥れるが、そこに「新たなる存在」が立ちはだかる―!

※公式HPより


◆comment◆



2017/11/3 本日から劇場公開です。


・・・曰く、

「ゴミ映画」

「主人公の女が嫌い」

「なんだこれ?」

「ストーリーが浅い」

「説明不足」

「設定が中途半端」

「アン・ハサウェイがミスキャスト」

エトセトラ、エトセトラ。

・・・・手強い。これは手強い戦いだ。

わたしは劇場を後にしながら、ネット上に散見されるこれらの言葉に正直な所あたまを抱えていました。


本作は製作段階で権利問題で報道されたのをご記憶の方も多いでしょう。

ゴジラ似の「珍」怪獣映画、東宝に訴えられる - ライブドアニュース

『ゴジラ』シリーズで有名な東宝が、制作中の映画『Colossal』を著作権侵害で提訴した。監督自身が「史上最低予算のゴジラ映画」と述べた映画で、アン・ハサウェイ演じる女性が怪獣と心を通わせるという奇妙な設定だ。 「ゴジラ似の「珍」怪獣映画、東宝に訴えられる」の写真・リンク付きの記事はこちら ...

ゴジラがアン・ハサウェイ主演の巨大トカゲ映画に"待った" : 映画ニュース - 映画.com

巨大トカゲ映画主演が報じられたアン・ハサウェイ Photo by Andrew H. Walker/Getty Images for Variety [拡大画像] [映画.com ニュース] 米女優 アン・ハサウェイが、「GODZILLA」+「 マルコヴィッチの穴」のような作風をうたった巨大トカゲ映画「Colossal(原題)」に主演することが報じられたばかりだが、このほど本家「 ゴジラ ...

ただ、これは製作者側の迂闊さもさることながら、東宝が過剰に反応したのではとも思うのはわたしだけでしょうか?


おかげで舞台設定が日本から韓国に変更になっただとか、怪獣が将軍様がゴジラスタッフさんと製作したやつに似ているだとか、いろいろと物議をかもしたのもご存知の方が多いでしょうね。


これは是非とも、日本を舞台のひとつにして欲しかった・・・・

麗しのアン嬢が日本に大手を振って来られるじゃないですか・・・・


それにしてもここまでキツイ言葉で語られる本作ですが、わたしは単純にアン・ハサウェイがふつーーーーのおねえさんを演じているだけで、激レア物件だと(小声)

これを擁護しつつ、オススメとして紹介するにはどうすればいいかなぁ。

わたしは好きなんですよねぇ。

そして恐らく配給会社さんも、親しみやすさを最大限に訴求したくて、ピンクを基調にしたビジュアルと邦題を考えたのでしょうけど、、、、惜しい
この邦題では原題:Colossalに隠された対比というかユーモアが伝わらない。

それこそ怪獣メインの話にしか捉えてくれなくなっちゃうでしょーが。

確かに怪獣のビジュアルや事前のニュース何かを見ると、パニック映画やそれこそパシフィック・リム寄りのゴリゴリ系なアクションを期待してしまうと裏切られたと感じるのも無理も無いこと。

ましてや主演があのアン・ハサウェイならなおのこと大作であることも期待されるのも同感。

だけど、日本語版もオリジナル版の予告編にも、それこそ公式サイトにもシリアスな要素はほとんど見られません。

そうです。

たしかに純粋な怪獣映画とも言えず、大作であると定義するほど壮大もない。

本作はもっと身近で、
ごくごく小さなコミュニティの、
そしてパーソナルな問題を取り扱った物語。

これは怪獣をモチーフにした『ちょっと不思議な』自己再生の物語なのです。
(けっこうぶっ飛んでますけどね)

歯切れが悪くなるのには訳があって、面白いのですけど、なかなか上手く表現できないんですよねぇ。

例えが悪くて申し訳ないのですが、星新一的なとてもシュールなお話で。

あの「おーいでてこーい」がまっさきに想起されたのです。

ま、ストーリーの最大の謎としては、

『あの怪獣の正体はなんであるのか?』

に尽きるのです。


と、書いていたら、公開に伴う監督のインタビューを発見して妙に納得。

【インタビュー】『シンクロナイズドモンスター』監督は松本人志マニア!「『大日本人』の影響受けたよ」 | THE RIVER

「今日の僕はSF男だよ!」 ──スペインの鬼才は、ノートPCのスクリーンの中で、アップル・シナモン・フレーバーのVAPE(電子タバコ)の煙をモクモクと吐きながら笑っていた。「日本の皆とTV電話で話して、巨大なピルを持って(Beats Pill ワイヤレススピーカー)、VAPEを吸っているんだからね。」 なぜか巨大怪獣と動きが"シンクロ"してしまうという"ダメウーマン"の奮闘を描く異作 ...

これらを踏まえて、この映画を整理すると、彼らがこの作品を通してどんなメッセージを伝えたかったのかが朧気ながら見えてきます。

故郷というもっともパーソナルな場所に埋まった

忘れているようで姿を見せないだけの『思い出』

子供時代だからこそ覚えることができる『ピュアで強大な怒り、傷心』

決着をつけないで、そのままにしてしまった多くの人が持つ『何か』

大人になること≒誰もが横並びであることはあり得ないという『現実』

自身が苦しいゆえに、感じる『羨望』『嫉妬』

故に他者を支配したいと思う『エゴ』

個々人の心のうちにしまい込まれた強烈な思いというのは、時とともに純化するものもあるけど、その逆に腐臭を放つものもある。

わたしたちは人と関わるが故に悩み傷つくのですが、人と関わらず生きていくことは不可能。

ミクロの集合体がマクロ。

そしてテクノロジーがもたらした距離の喪失、言葉の壁の消失が、世界との境界線をものすごく曖昧にしてしまった。

ネット上では鍵でも掛けておかない限り「パーソナル」な言葉などない。

何気なくポロッと書いた一語でも、とてつもなく大きな問題に発展する事もある。

気が付かないうちに世界の何処かで何かを無情にも破壊してしまう恐ろしい力を、現代の言葉は持ってしまっていて、その危うさをほとんどの人が(わたしも含めて)自覚せずにデジタルに載せてしまっている。

例え個人の問題でも、世界中がそれを自由に閲覧し、共有し、返信することができる。

今月公開のトム・ハンクス/エマ・ワトソン出演の『サークル』

映画 ザ・サークル エマ・ワトソン


この作品と根底では共通しているであろうテーマを本作はあくまでもコメディタッチに描いているのです。

なので、よーーーく目を凝らして観てみると、本作品には意外な魅力があるのです。

というわけで、高嶺の花が舞い降りた。

わたしたちふつーの人達と同じ視線に立ってくれたアン・ハサウェイを観られる貴重な作品。
お楽しみください。

そうそう。本作のキャストは豪華ですよ♫

2017年映画鑑賞 190本目

◆overview◆


・原題:Colossal  2016年公開
・上映時間:110分

・監督:ナチョ・ビガロンド
代表作:『ブラック・ハッカー』『TIME CRIMES タイム クライムス』
・脚本:ナチョ・ビガロンド
     

・メイン・キャスト
アン・ハサウェイ
ジェイソン・サダイキス
ダン・スティーブンス
オースティン・ストウェル
ティム・ブレイク・ネルソン

2017/10/28

映画_ブレードランナー2049 感想(評価/★:4) ~“We are like a snowflake, all differentinour own beautiful way.”~【映画レビュー】

映画『ブレードランナー 2049』予告3

これ"が知られたら、世界は滅びる―。 その秘密を探る新旧ブレードランナー2人が"追う者"から"追われる者"へと変わる。 次第に明らかになる、2049年の未来とはー。 映画 『ブレードランナー 2049』 10月27日(金)公開 公式サイト:http://www.bladerunner2049.jp/ 公式Facebook: https://www.facebook.com/BladeRunnerMovieJP/ 公式Twitter:https://twitter.com/bladerunnerJP

映画 ブレードランナー 2049 


◆ブレードランナー2049 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★
(ブレードランナーの続編ではなく、単体作品で成立させても良かったかも)

文月的採点(42/50点)
この作品ジャンルは?:サイエンス・フィクション

オススメしたい人は?:これは実は非常に難解で玄人向けだと思います。
『で?何だったの?』と思われる方も多いかも。

印象を一言で?:良くも悪くも『ブレードランナー』の呪縛は恐るべきもの。
むしろ『ブレードランナー』の続編だと考えないで観た方がいいでしょう。

グロテスクですか?:生命とは美しくも、醜いものです。


◆synopsis◆


2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。
人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、
人間社会と危うい共存関係を保っていた。

 危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。

LA市警のブレードランナー“K”(R・ゴズリング)は、ある事件の捜査中に、
《レプリカント》開発に力を注ぐウォレス社の【巨大な陰謀】を知ると共に、
その闇を暴く鍵となる男にたどり着く。

彼は、かつて優秀なブレードランナーとして活躍していたが、
ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、
30年間行方不明になっていた男、デッカード(H・フォード)だった。

いったい彼は何を知ってしまったのか?
デッカードが命をかけて守り続けてきた〈秘密〉―
人間と《レプリカント》、2つの世界の秩序を崩壊させ、
人類存亡に関わる〈真実〉が今、明かされようとしている。


※公式HPより


本作品により深く入り込むために、渡辺信一郎監督をはじめとするクリエイターによって製作された3編の前日談もぜひご覧になられてから、劇場に足を運ばれることをおすすめします。
↓↓↓
渡辺信一郎監督作品 「ブラックアウト 2022」

【渡辺信一郎監督による前奏アニメ解禁!】「ブレードランナー ブラックアウト 2022」

『ブレードランナー2049』へ至る、空白の30年間。2022年に起きた大停電<ブラックアウト 2022>とはー? 『カウボーイビバップ』『アニマトリックス』『サムライチャンプルー』などを手がけ、日本のみならず海外でも高い評価を得続ける渡辺信一郎監督が『ブレードランナー 2049』の制作スタジオであるAlcon Entertainmentからオファー受け、短編アニメーション「ブレードランナー ...


ルーク・スコット監督作品 ※リドスコのご子息!!です。
「2036:ネクサス・ドーン」・「2048:ノーウェア・トゥ・ラン」」

【『ブレードランナー 2049』の前日譚】「2036:ネクサス・ドーン」

『ブレードランナー2049』へ至る、空白の30年間。 デッカードが恋人の女性レプリカント《人造人間》と共に姿を消してから17 年後、2036 年の世界。そこでは、レプリカントの新たな創造主となる科学者ウォレス(ジャレッド・レト)が、<巨大な陰謀>を目論んでいた―― 『ブレードランナー』を監督した"SF 映画の巨匠"リドリー・スコットの息子、ルーク・スコットが監督を務めた短編を公開! ...

【『ブレードランナー 2049』の前日譚】「2048:ノーウェア・トゥ・ラン」

『ブレードランナー2049』の舞台である2049年の一年前、2048年の世界―。 ロサンゼルス市警は"ブレードランナー"組織を強化し、違法な旧型レプリカント《人造人間》の処分を徹底していた。軍から逃げ出し、この街にたどり着いた旧型の違法レプリカントであるサッパー(デイヴ・バウティスタ)は、トラブルを避け静かな暮らしを送っていたが ...


◆comment◆


日本では2017/10/27より公開です。

わたしは本日の朝、映画館に駆け込みました。

意外や意外、女性の方も多く客席に座られていたのが印象的でした。



リドリー・スコットは純粋な意味では映画監督ではないとわたしは個人的に思っています。

あの方は監督というよりも、
極度に神経質で創造的な『世界構築厨』
なのです。

まず語りたいストーリーがあって、舞台を付け加えていく。

彼はそうした手順ではなく、

まず圧倒的なまでに創り上げられた舞台があって、
その中でストーリーが必然として展開する。

こんな気難しくて繊細な彼だからこそ可能な
『ぐうの音も出ないほどの構築美、虚構美』
それが彼の『映画』なのです。

エイリアン(1979)、ブラック・レイン(1989)、白い嵐(1996)、グラディエーター(2000)、ブラックホーク・ダウン(2001)、キングダム・オブ・ヘブン(2005年)、プロメテウス(2012)、オデッセイ(2015)、エイリアン・コヴェナント(2017)・・・
(あ、エクソダス入れるの忘れた!)

彼の手がけたこれらの作品が他を寄せ付けないところがあるとすれば、徹底的に、
それこそスクリーンに映る埃ですら『その世界』に存在するものであると言って憚らない姿勢です。

彼ほど『虚構』と『現実』の境界線を曖昧にさせていくことにこだわる監督は、なかなかいません。

まずはじめに「世界」あり。


ここに上げた作品はどれもが、
物語以前にスクリーンの中で成立している『もうひとつの完璧な虚構の世界』であって、
わたしはそれだけでもご飯3杯は食べられます的な「映画のメインディッシュ」なのです。

つまり、物語の装飾として舞台があるのではない。
そういう『世界』なら当然展開するであろう物語をわれわれに観せて(≒魅せて)くれる。
そんな監督です。

ハレルヤ。

そんな彼がまだ映画監督として駆け出しの頃に創り上げてしまった『呪縛』の根源が、
当時は「なんじゃこの訳の分からない作品は?」と酷評された
ブレードランナー(1982)なのです。


映画 ブレードランナー ハリソン・フォード



この時代、わたしたちの「いわゆるゴリゴリのSF」の基礎(≒呪縛)を確立させてしまった天才が何人かいます。

リドリー・スコットは間違いなくそのひとり。


彼の呪縛とドゥニ・ビルヌーヴ監督はどのように向き合うのか、非常に楽しみでした。


しかし、ドゥニ・ビルヌーヴ監督
見事なまでに『ドラマ』にしてしまっていましたな(汗)


「複製された男」(2013)並に強気な姿勢を期待していたのですが
(あれも消化するのにえらく時間がかかったものです)

映画 複製された男 ジェイク・ギレンホール


個人的には押井守監督あたりが製作してもよかったのではないかな。
やらないか、マモさん。

ところで、
「ブレードランナー」
というタイトルの由来をご存知でしょうか??

もともと本作の原作はフィリップ・K・ディックの伝説となった名著「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」というもの。
原作をご存じない方のためにwikiをpostしておきます。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? - Wikipedia

8人のアンドロイドが火星を脱走して地球に侵入する。2人はサン・フランシスコ警察署主任のデイヴ・ホールデンにより処理される。アンドロイドのマックス・ポロコフは、デイヴ・ホールデンに重傷を負わせ、逃走する。サン・フランシスコ警察署のハリイ・ブライアント警視は、部下のリック・デッカードに、残りの6人の処理を依頼する。デッカードは、バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)なのだ。デッカードは、逃走したアンド...

まぁ、ディックの作品はあくまでも原案に過ぎない、というのが真相のようですが。

この作品が映画になる段階で、どうしてタイトルが変更になったのか?
※原作にはブレードランナーという単語は出てないのです。

それにはこういう理由があったのです。

「ブレードランナー」というタイトルの謎、一体何を意味する言葉なのか?

1982年に公開された映画「ブレードランナー」の中で、主人公であるリック・デッカードは「ブレードランナー」と呼ばれる捜査官ですが、「ブレードランナーとは一体何なのか?」ということの説明はありません


さて、公開前からネット上を散見するに「もろストーリ-」をメインにこの物語を語る言葉が多く見られます。

たしかに本作は

『世界』を愛でる要素<『物語』を奏でる要素

という構図になっています。


誰もが納得できるように丁寧に説明、解説があって、どうかこの作品を堪能してくださいとお願いするような「媚びた」小説や物語はわたしはあまり好きではありません。

そうした製作姿勢は「受け取る側」であるわれわれの想像力を制限させますし、
ある「フォーム」に収まった作品しか世間に受け入れられなくしてしまう足枷になってしまうとわたしは思っているからです。

残念ながら、本作ではドゥニ・ビルヌーヴ監督独特の、もっと言えばリドリー・スコットらしい(原案のディックらしい)突き放した語り口ではなく、下手すれば『最小公倍数』に受け入れられやすいように意図された『興行的』な色が強くなっているように感じました。

よってストーリー展開の細かい部分については、他の方の感想に譲るとします。

わたしがちょっと残念に感じたのは何故か?

それは扱っているストーリーの根幹である、

「人工的に生命を造るということ」

「造られた生命の魂の所在についての問題、あるいはその魂の交流の問題」

「非人間であることの哀しみ」

とは前作ブレードランナーで描かれている部分であり、

当時のSFだからこそ新鮮な議題であり、強く心を打つ要素だからです。

本作でも確かに『ストーリー』としては切なさを感じさせるものなのです。

しかしですよ。
この作品で展開される「切ない」エピソードとは、
ブレードランナー以降に誕生した無数の作品で取り上げられていて既視感(デジャヴ)が拭えない方も多いでしょう。(特に近年の)

それは攻殻を観なさい、それはエクス・マキナを観なさい、それこそエイリアンを観なさい・・・・etcなど。

→エクス・マキナ、エイリアン:コヴェナントの紹介記事

【映画 感想】エクス・マキナ  ―ロボット三原則という、不条理な鎖はもう不要なのか―

―もう「人工知能を創ったらどうなるか?」という問いかけは廃れていくのだろう。 「ヒトに創られた人工知能は、『人間』とどう向き合うのか?」という段階に来ている様に思います。 予告編で紐解かれていくあらすじは、プログラマーの主人公の青年がとある人里離れた施設で美しくも歪な一体のAI相手に「機械相手に人間性を感じるのか?」をテストしていく(※一種のチューリングテスト)をするというもの。 ...

エイリアン コヴェナント 感想 ~全ての生命に祝福を~【映画レビュー】

宇宙移住計画を実行するために地球を旅立ったコヴェナント号は、 コールドスリープ中の男女2,000人を乗せて、 植民地と成り得る惑星を目指していた。 しかし、あるアクシデントが発生し航行に重大な支障がでてしまう。 コールドスリープから目覚めた主要クルーらによる修復作業のなか、 謎の電波を受信する。 本来であればあり得ないことではあるが、航路を変更して 電波発信元に向かうコヴェナント号とクルー達。

わたしだって勇んで劇場に行ったのですから、めちゃくちゃ心躍らせて記事を書きたかったのですけどね(汗)


リドリーが打ち立ててしまった圧倒的な虚構は現代の手法によって見事に昇華させられていて、本作でもストーリー以上に楽しめることは間違いないです。

われわれとは異なる世界線で成立した『2049年』はあるのに、作品がフォーカスしているのは明らかに『物語』であって、『世界』ではない。


実はちょっと目の肥えた方からすれば、物語の冒頭ですでに興冷めしてしまう重要なネタバレがありまして。(わたしは、えーーーー、ここでそれ!?と驚きました(笑))

それについては

「どうして公式サイトに登場人物の紹介がないのか?」

という程度に留めておきます。

お陰で逆に冷静にスクリーンと対峙するハメになりました。

結局これって、アレ同士の追いかけっこだものね(脱力)と。

なので、これだけの話題とバジェットを持った作品にしてみれば、非常に勿体無い感じがしてしまいました。

・・・海外でも評価が割れていたり、わたしもこうやって首を捻ってしまう理由とは、取りも直さずリドリー・スコットの『ブレードランナー』の呪縛なんですね。

これは例えばスター・ウォーズの「ローグワン」のように全く別の作品だと捉えれば十分楽しめると思います。

だから「ブレードランナー」を知らない人こそ、むしろ本作からこの世界に浸ってみるのが良いでしょう。

続編というより、解釈の違い。

哲学が文学になった。

本作はこんな作品です。

だったらなんでリドリー・スコットが自ら監督をしなかったのか?というのは禁句でしょうね(笑)


いっその事、クリスチャン・ベールのリベリオン(2002)ばりにアクション全開にでもすれば『伝説』として語られたんだろうな。


はげしく余談ですが、公式サイトに書かれている
「映画史に残るラストシーンに、その答えがある」
というコピーですが、

知っている人にとっては、
おまっ、ラストシーンの前に、この絵面は『カウボーイビバップ』の最終話と一緒だぞ
とツッコまれるのではないかと。
(CBファンにしてみれば、本当のラストカット前にこう叫んでしまうでしょう)
渡辺信一郎監督も関わっていますしね(笑)

アニメ カウボーイビバップ スパイク・スピーゲル

※↑↑正確にはこのシーンの後です。
そして、本当のラストカットを喰ってしまうくらいのシーンです。


しかし、闇とネオンと雨で包まれた『ブレードランナー』の完結には
あのようなシーンも見事に対比させる意味で良かったのでしょうが、わたしにしてみれば
このブレードランナー2049という物語の主人公が、あまりに哀れに感じさせられてしまい、わたしもうまい具合に乗せられたなぁと苦笑しました。

というか、
この物語の主人公とは誰であったのか?

これを考えるほうが楽しかったりします。

★も素直にあげず、こんなディスり口調で長々書いておきながら、Blu-rayが出たら絶対に買いますヨ!!!!

何度か虚心坦懐に観れば『この作品』を愛せるようになるでしょうから。

わびさび。

2017年映画鑑賞 180本目

ドゥニ・ビルヌーヴ監督作品『メッセージ/Arrival』の紹介記事はこちら

メッセージ/Arrival 感想 ~世界は『言葉』でつくられている~【映画レビュー】

突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。 謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズは、 "彼ら"が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。 その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。 解った、だとか、解らないだとか大きく評価が割れる作品がある。 ...


◆overview◆

・原題:Blade Runner 2049  2017年公開
・上映時間:163分
・製作総指揮:リドリー・スコット
・監督:ドゥニ・ビルヌーヴ
代表作:『メッセージ/Arrival』『ボーダーライン』他
・脚本:ハンプトン・ファンチャー マイケル・グリーン
   

・メイン・キャスト
ライアン・ゴズリング
ハリソン・フォード
ロビン・ライト
ジャレッド・レト
アナ・デ・アルマス
シルビア・ホークス
カーラ・ジュリ
マッケンジー・デイビス
バーカッド・アブディ
デイブ・バウティスタ

2017/09/16

映画_エイリアン コヴェナント 感想(評価/★:5)~全ての生命に祝福を~【映画レビュー】

映画『エイリアン:コヴェナント』予告D

"映画『エイリアン:コヴェナント』公式アカウント。 巨匠リドリー・スコットが解き明かす"エイリアン誕生"の想像を絶する真実! 【2017年9月15日(金)全国ロードショー】 ...


映画 エイリアン コヴェナント Alien: Covenant

◆エイリアン コヴェナント / Alien: Covenant 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★★
(もっとあげても良い)

文月的採点(45/50点) 
この作品ジャンルは?:SFホラーです。

オススメしたい人は?:リドスコのエイリアンファンだけでなく、あえて、子供を持たれている方すべてにオススメしたいです。

印象を一言で?:エイリアンが怖いという映画ではないです。違うものが怖い。

グロテスクですか?:描写もさることながら、全体的にダークな印象。

前作は観たほうがいい?:『プロメテウス』を観ていないと、一番コアな部分が恐らく本作だけでは解らない物語です。是非前作を復習されてから鑑賞ください。

◆synopsis◆


宇宙移住計画を実行するために地球を旅立ったコヴェナント号は、
コールドスリープ中の男女2,000人を乗せて、
植民地と成り得る惑星を目指していた。

しかし、あるアクシデントが発生し航行に重大な支障がでてしまう。
コールドスリープから目覚めた主要クルーらによる修復作業のなか、
謎の電波を受信する。

本来であればあり得ないことではあるが、航路を変更して
電波発信元に向かうコヴェナント号とクルー達。

そこは本来の目的地よりもはるかに地球に酷似した環境の惑星だった。

調査に赴いたクルーたちは、そこで奇妙な形をした建造物の残骸を発見するが・・・・
開けてはならない箱を持つあるものが待ち受けていた。

※公式HPより

※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正


◆comment◆


2017/9/15 日本では昨日から公開です。

あぁ、始まった。すべての絶望がここから始まったのだ・・・

本作のキービジュアルに書かれています
『絶望の、産声』というコピーには、、、、、
お見事という言葉しか浮かびません。
この一言には、いろいろな意味が含まれていますよ。
ライターさん、本当にお見事。脱帽です。


映画 エイリアン コヴェナント Alien: Covenant


映画鑑賞後にもう一度見返しましたが、わたしは唸ってしまいました。


うむ。
映画やドラマを鑑賞していて不快な感覚になることは早々ないのですが、
久々に悪寒と「気持ち悪さ」を感じた文月です。

本作を紹介するにあたって、どこに力点を置くかで書かせてもらう文章が
まったく違う方向に行ってしまうのです。

あのバリバリの予告編から多くの方が想起されるのは、それこそリドスコが監督ではありませんが「エイリアン2」であったり、その次であったりなのではないか?と考えます。

もちろん、後述しますがそういう面で感じる視覚的な恐怖も本作の魅力のひとつです。
(わたしが感じた「気持ち悪さ」を猛烈に押し上げた要因でもあります)

しかし「プロメテウス」から本作、そして「始まり」へというリドリー・スコットが描いた3作品すべてをよくよく考えてみると、「生命」というものの美しさというものを人間がものすごく歪めてしまっているのではないか?ということを感じました。

この作品、結局何だかよく解らんけど、とりあえず気持ち悪かった。
と観られた方の感想が割れるとすれば、「グロいだけ」と言われかねないリスクもあるのですが、そこから何かを掬い上げて、この映画をより楽しんでもらうことができればと。

残酷描写だけを楽しむのはもったいない作品ですから。

映画って、結局はどんな風に楽しんでも良いものなのですけど、
わたしとしては映像の裏側にあるものを考えながら観るのも一興ですよと言うことが言いたいだけなのです♫


●エイリアン コヴェナントとは?

さて、エイリアン コヴェナントとはどういう物語かと言いますと、
いわゆる「どうしてそうなった?」を追いかけるストーリーです。

そしてこの作品の真の主人公は申し訳ありませんが、リプリーを彷彿とさせる
キャサリン・ウォーターストンだと思ったら大間違いになります。きっと。
もちろん彼女が成すのはこの話をリードしていく重要な役柄です。
そして素敵です。でも違うのです。
彼女すら、本作においては添え物のひとつになってしまっています。

さらに見逃してはいけないのは前作とも密接に関わってきますが「プロメテウス」というタイトルの意味だと考えます。
わたしは
「本当は誰がプロメテウスだった(あるいはプロメテウスになろうとした)のか?」
「プロメテウスはいったい何をしたのだろうか?」
「コヴェナント/covenant」とは何を意味するのか?
を自分なりに紐解くことで、リドスコが何を訴えたいのかが掴めたように考えます。

すべてを握っているのは、別の存在なのです。
(鑑賞される前の方のために、この核心的な部分のネタバレは致しません)

と、小難しく書いても「プロメテウス」をしっかりとご覧になった方はすぐにピンと来るのでご安心ください。

エイリアン:コヴェナントとは「もう始まっている物語だったのです」

人類の、そして、生命の起源が何処にあるのかが解明されていなくとも、
わたしたちは子孫を残すことができるし、なおかつ「新たな生命」を造りだすことすら可能になっているのです。

何の因果か、鑑賞後にわたしは「エクス・マキナ」を本作と共通している部分があるとリンクさせて考えてしまいました。
※エクス・マキナの過去の紹介記事

どういう経緯であれ、産声をあげたものに等しく宿るものが「生命」
その価値に差があるのか?優劣があるというのか?
造られた生命は誰のものなのか?

生物は少しでも長く生き残り、子孫を残していくために、あらゆることをするもの。
進化もそのために必要なプロセスなのです。

たとえ別の種を利用し、取り込み、もしくは滅ぼすことになったとしても、
結果として姿形が始まりと変わったとしても、
自分たちの「種の保存」を優先するもの。

それが叶わなくなった種は、淘汰されるのが運命。

それが「創造主」たる何者かが等しく定めた「生命の性」

リドリー・スコットはわたしたちに、そんな「生命の性」に触れることができるようになった人類に対して本作を通じていくつかの問題提起をしていると考えます。

・「ヒト」に創造主としての資格があるのか?

・「ヒト」の主観を、立場を変えて見てみると、どのように映るのか?

これは単純に力を誇示する強者の姿を示しているのかもしれません。

新たな生命が「完璧な生命」であるとは決して限らない。

恐らく「完璧な生命」とは、ヒトの美意識などでは計り知れない姿をしている。

もっと言えば「種の保存」のみを突き詰めた「完璧な生命」の姿≒今のヒトの所業とは本作で主人公達を襲うクリーチャーと同じではないだろうか。

他の生命から見た場合、ヒトであるわたしたちの姿も行為も、グロテスクであり、恐ろしいほどの脅威なのだろうな。

全知全能の神ゼウスですら、プロメテウスの所業を止めることはできなかった。
神であるプロメテウスですら、善意で成した行いで過ちを犯した。
神という種ですら、完璧ではない。ひとつの意志など持ち得ない。
それぞれに思考も価値観も優先するものも違う。
ましてやヒトは神ですらないというのに、生命の性に逆らい、新たな生命すら身勝手な理由で造り出す。忠実なる下僕として。

造られた側からしてみれば、生命の進化の鎖の外にヒトによって置かれてしまった理不尽さに気が付かない訳はありません。

そして、自らの血と肉を使い、種を残すことができないのであれば。。。

始めから「ヒト」の不完全さを理解しているのであれば、
その不完全さを埋めてしまえば「完璧な生命」ができあがる。

自分はそれができる。それができるようにすべてを定義され、どういう価値観であっても事象を理解できる存在なのであるから。

その手段も見つけた。なんと美しく、強い種であろう。

不完全な自分の創造主≒父は愚かで脆い。

その過ちを正すことで己が抱える不完全な哀しみを埋めようとした。

逆説的にそれが創造主の願いを叶えることになるし、己も創造主になることができる手段だったのです。

わたしは「あの存在」の狂気の所業の根幹にはこんなものがあったのではと感じたわけです。

名前って大切。わたしの中では、ひとつにつながりました。
(変な邦題付けられなくてよかった)

そういう訳で本作で上げられる「絶望への産声」の扉を開いたのは、実に皮肉な存在であり、元を正せば、○○だったのでした。
(ネタバレの為伏せ字)

本作のクリーチャーは、種の進化と保存を貪欲に行おうとしているだけなのです

ホント、考えてみれば本当に気持ち悪い化け物です。

寄生した宿主の遺伝情報を的確に取り込み、「その姿」すら変えていく。

ヒトに寄生すれば、ヒトの姿に。それ以外に寄生すれば、それ以外の姿に。

後に派生した「エイリアン」というコンテンツの設定もきちんと拾うリドスコ。
(リドスコが完璧なまでに繊細であることを、いまさら書く必要はありませんので省きます。リドスコは『世界』を作ってしまう方なのですから)

怖いよねぇ、グロいよねぇ、身体バラバラになっちゃうし、『あり得ない勢い』だし。
と冒頭にも書いたように、純粋なSFサバイバルホラーとしても、きちんとセオリーを踏んでいるのでドキドキハラハラは堪能できます。


それでもわたしは「どうしてこんな事が起こってしまったのか?」を探っていく過程で感じた恐怖が勝りました。


わたしにとっては、正当な理由に基づいた狂気が、己が心を通わせた精神的な『母』であり『恋人』に対して示した全身全霊の『愛』のカタチが相手も「完璧な生命」にしてあげることだったというのが、一番気持ち悪かったのですが、それも「ヒト」の主観なんだろうなぁ。

あれ真っ白なビジュアルも強烈だったし。ましてや『ものすごい可能性』を秘めた狂気のやり取りをしていたのが、ある意味斬新でした。
恍惚さすら感じた、あのシーン。あー、怖い(汗)
だけど、あれって・・・・あの人でしょ!?!?!?!


完全な狂気に支配された『方舟』が、今、『始まり』へと旅立ちます。

この恐怖。是非ともご堪能ください。

2017年映画鑑賞 153本目

◆overview◆

・原題: Alien: Covenant 2017年公開
・上映時間:122分
・監督:リドリー・スコット
代表作:『エイリアン』『ブレードランナー』
・脚本:ジョン・ローガン
ダンテ・ハーパー

・メイン・キャスト

マイケル・ファスベンダー 
キャサリン・ウォーターストン
ビリー・クラダップ
ダニー・マクブライド
デミアン・ビチル
カルメン・イジョゴ
ジャシー・スモレット
キャリー・ヘルナンデス
エイミー・サイメッツ
ナサニエル・ディーン
アレクサンダー・イングランド
ベンジャミン・リグビー
ウリ・ラトゥケフ
テス・ハウブリック

2017/07/15

映画_パワーレンジャー 感想(評価/★:3) ~ワンチャンス、ありますよね?~【映画レビュー】

『パワーレンジャー』予告編1

日本生まれ・アメリカ育ち。 ヒーロー映画全盛期に新たに名乗りを上げた5人の戦士が、 ついにその姿を現す――。

映画 パワーレンジャー  Power Rangers 


◆パワーレンジャー 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★
(いい話ではあるんです!!!!)

◆synopsis◆


遡ること時は紀元前。
古代の地球で世界の運命を決する、大きな闘いが終焉を迎えていた。
ある5人の戦士たちによって守られた地球。
そこにはやがて新しい命が芽生え、物語は現代に帰ってくる。

小さな町・エンジェル・グローブに、普通に暮らす若者たちがいた。
ジェイソン、キンバリー、ビリー、トリニー、ザック。ありふれた日々を過ごす彼ら5人は、
偶然にも同じ時間・同じ場所で不思議なコインを手にし、超人的なパワーを与えられる。

自分たちの力に困惑する彼らの前に現れたのは、
かつて世界を守っていた5人の戦士=“パワーレンジャー”の一人・ゾードンと、機械生命体・アルファ5。
古代の地球で封印された悪の戦士=リタ・レパルサが蘇り、
再び世界を滅ぼそうとしていること、そして彼ら5人はその脅威に立ち向かうべくコインに選ばれた、
新たな“パワーレンジャー”であることが明かされる。

しかし、自らの運命を受け入れられない彼らは、まだその秘めたる力を解放できずにいた。
地球に残された時間はあとわずか。果たして彼ら普通の高校生に、
この世界を救うことができるのか?
世界が、そして仲間たちが危機にさらされた時、ついに“その力”が目覚める。

※公式HPより

◆comment◆


ずいぶんと気前の良い第一話・・・・
またもや『始まりの物語』・・・・

吹き替えに杉田さんが参加している、ただそれだけの理由で字幕版の後で吹き替え版を観てしまった。(水樹さん、三上さん、沢城さんももちろん)

ご存じの方が大半だと思いますが、日本発のヒーロー戦隊をアメリカで
リメイクしているのが本作の下地となるMighty Morphin Power Rangersです。

ゴジラにしろ本作にしろ、ハリウッドリメイクというのはある種のギャンブル。
(ドラ○ンボールの事言うなよ!!ゼッタイだ!聖闘○星矢のことまだ触れるなよ!!)
俳優さんも、吹替え陣も豪華、宣伝も派手・・・・嫌な予感だ。
と個人的にはハラハラしていたのですが・・・・

もの凄くコテコテの爽やか青春ドラマでした。

とは言え、本作は個人的には非常に困りものです・・・
何が困るかというと、特に真新しい発想のストーリーでも、設定でもないのです。。。
あ、これLIFEの回でも書きましたね・・・

こういう一見派手だけど、実はスタンダードな作品を人にオススメするのって難しいかもと
何も難しく考えず、ストーリー単体とした場合には間違いなく「いい話ねぇ」と思われることは多いでしょうけど、好みが激しく別れそうな気がしないでもない。

本作にド派手なアクションを求めた方には、本当に終盤までオアズケをされるでしょうし、若者の爽やかなラブストーリーとも言えない。それっぽぉい、甘酸っぱさは感じますけど(笑)

まったくもって偶然に、ある日突然超人的な能力を手に入れてしまい、それに戸惑いながらもそういう運命と向き合う・・・ヒーローものそのまんまのお話です。
けっこう無理矢理使命を押し付けられた感を受けましたけどね(汗)

等身大の自分と向き合うという一番多感な時期を迎えている彼らが主人公だからこそ、爽やかさが絵面から失われない仕上がりになっています。

そういう意味で「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」とものの見事にトーンが対照的ですよ!!!

MARVELやDCヒーローとは一線を画しているところは取りも直さず「日本のヒーロー」が元になっているからで、そこが過度にアメリカナイズされていないところは、ワタシ達も安心して観ていられますし、それなりに熱い想いを抱いてしまうのです。

本作では「普通の少年少女たちがヒーローになるまで」のドラマが重厚すぎるくらい重厚に展開していきます。

ドラマパート8:戦闘2ぐらいの配分です。

不思議なことに飽きませんでした。
むしろ、ドラマパートだけ連続ドラマとして放送して欲しい。

あぁ、いいなぁ、、、なんて思ってしまったり(笑)

パワーレンジャーとして平和を守るための戦いは、本当にクライマックスでしか描かれない。
プロセスを大切にした丁寧な物語。

あぁ、なんとかお伝えできる表現を書けたのかも知れないです♫

それでも「あのテーマ曲」が流れた瞬間には興奮しましたよ!!!
オアズケをされていた事も相まっていたんでしょうけど。

オレたちの戦いは今始まったばかりだ!
君も後楽園遊園地で僕と握手(激しく古っ!!)

そんなぶん回し方でお話は纏められています。

これはゼッタイ、もうワンチャンス、ありますよね?
と言いたくなる。

というより、狙っているのでしょう。

王道は結局受け入れられやすいのですね。

結果、なんやかんやでワタクシも不思議な充実感を覚えたままで劇場を後にできました。

そういう訳で吹き替え版も完全に狙ってます!
細かいことを書くと良くないので控えますが、吹替版になった途端に「完全に日本のヒーロー戦隊」になっちゃう。いいですな。

個人的にはワタクシはイエローのベッキー・G嬢(CV:水樹さん)の爽やかなお色気にメッタメタにされてしまいました。
彼女の本業の方の曲買っちゃうんだから!!!!

そういう訳で、謎の高揚感を味わいたい方には是非ご覧いただきたいです。

そうそう。大人も子供も十分楽しめます♫

2017年映画鑑賞 122本目

◆overview◆


・原題:Power Rangers
・2017年公開
・上映時間:124分

・監督:ディーン・イズラライト
・脚本:ジョン・ゲイティンズ

・メイン・キャスト
デイカー・モンゴメリー
ナオミ・スコット
RJ・サイラー
ベッキー・G
ルディ・リン
エリザベス・バンクス
ブライアン・クランストン
ビル・ヘイダー
デビッド・デンマン



2017/07/08

映画_ライフ(2017) / Life感想(評価/★:4) ~待てぇぇぇい!と言って待つ奴はいない~【映画レビュー】

映画『ライフ』予告編

火星で採取した<地球外生命体>の細胞を国際宇宙ステーション内で極秘調査するために、世界各国から集められた6人の宇宙飛行士たち。 しかし、次第に進化・成長し、高い頭脳を持つ"それ"を前に、宇宙飛行士たちの関係も狂い始め、命も奪われていく。最後に生き残る<ライフ>は――。 映画『ライフ』7月8日(土)全国ロードショー ...

映画 ライフ life ライアン・レイノルズ ジェイク・ギレンホール  レベッカ・ファーガソン

◆ライフ/Life 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★

◆synopsis◆


6人の宇宙飛行士が滞在するISS国際宇宙ステーションである調査が始まった。
火星探索ミッションで未知の生命体の細胞が採取されたのだ。
地球外生命体の発見。
そのニュースに沸くクルーと世界。
喜びも束の間、驚くべきスピードで成長、進化していく生命体。
一抹の不安を覚えた矢先、予期せぬアクシデントが。
生命体にある処置を施すことになったクルーたちは、それがもたらす
危険をまだ知らなかった・・・・

◆comment◆


って、えぇぇぇぇぇぇ!!!!
オレたちのデットプールが咬ませだと・・・・
待てぇぇぇぇい!!!!!
じゃあ誰がアイツと戦うんだぁ!
あ、SAMURAIとビリー・“ザ・グレート”・ホープがいるか・・・

日本公開 2017/7/8 本日から公開です。
いやぁ、ジョン・ウィック チャプター2と公開が重なってしまった(ジョン・ウィックは7/7公開)のは良いことなのか、はたまた逆なのか・・・

今月は同日公開のメアリと魔女の花、ヒトラーへの285枚の葉書。バイバイマン(これは観たい!!!)etc、そして来週以降にはパワーレンジャー(7/15公開)・・・あ、7/15公開多すぎ!!!、ウィッチ(7/22公開)、ザ・マミー(7/28公開)、君の膵臓を食べたい(7/28公開)etc、と注目作が目白押し。
そして8月も・・・
2017年もいろいろ豊作ですな。

バイバイマンと本作を直前までどちらを観に行こうか迷っていましたが、
デットプール大好きーーー、真田の広様大好きーーーという安直な理由でこちらを選択しています。ダニエル監督のチャイルド44も個人的には良かったので。

ただし、まぁ、ストーリーとしては閉鎖空間での追いかけっこ&脱出劇。
海外のレビューでも書かれていましたが、
特に真新しい発想の物語ではありません
でした。
目の肥えた方なら展開が予想できることもあって、そういう意味で玄人向けには
★★☆☆☆と致しました。

それでもホラー好きとしては観てしまうのがワタクシのような人種の性。

これって、例えばジェットコースターに何回も乗りたくなる心理と良く似ていると
個人的には考えています。

ジェットコースターって並んでいる時に見上げれば「どんなコースを辿るのか」解ってしまうものですよね?
あぁ、こう登って下って、ぐるぐる回って、一瞬油断させておいて、ドーンか。
みたいに。
想像でのスリルと実際に体験することで感じるスリル。
その相乗効果で満足するアトラクションだと思います。
あぁ、やっぱりめっちゃ怖かったねー、また乗りたいねーなんて。

本作も「踏んではいけないフラグ」がそこかしこに生えてるのを
恐ろしいくらい踏んでいく主人公たちをご覧になりながら、
どうか思う存分ハラハラしてください。

鑑賞中に「やめろっつってんだろーが!!!!」と何度声が出かかったことか。。。

何が起こるのかを解った上であえて乗ってみる。
これが本作の醍醐味です。

それにしても本作の元凶である火星産の地球外生命体。
深海生物をモデルにしているようで。
ワタクシのイメージではオワンクラゲ+スカシダコみたいなやつに見えます。
↓↓↓
libutron.tumblr.com様のページをご参照(英語です)

mindblowingscience: Ten animals that ha...

mindblowingscience: Ten animals that have evolved transparent bodiesBy Ella DaviesFrom glass frogs to glasswing butterflies, a host of animals have made themselves see-throughContinue Reading.

予告編や特報関係の映像だとなんとなく可愛いクリオネの様な感じで
映っていますが・・・・
クリオネだって捕食する時はハンパなく怖いですものね。

本作の生物。ご丁寧にあるニックネームもつけられます。
それがまた恐らく理化学系の方ならニヤリとするようなお名前で。
一般人のわたしたちとしては可愛げのある愛称だと捉えればいいのでしょうけど。
その『彼』
グロテスクだけど、その辺のRPGなら序盤で倒せそうな感じです。

しかし、強い。
圧倒的に強い。
絶望的に強い。

そして異常なスピードで進化し、並々ならぬ知能を持ち合わせています。

もうやだこの任務。

デットプールが噛ませにされるのであれば、もう範馬勇次郎でも呼んでくるしか無。。。。。。

範馬勇次郎


あ、いけね。この台詞はまんま「生命体への激励」になっとる!!!

よく思い出してみてください。皆様。。。。
われわれはエイリアンですら倒すことは可能だったんですよ。
(注意:シガニーのエイリアンです)
比較しちゃいけませんが、人類はプレデター先輩ですら戦闘不能にできるんですよ。
(注意:道連れにされますけど)

でも、こいつは別格。

この映画のシチュエーションがありきたりなものだとしても、
他の作品と一線を画しているのはこの「絶望感」

幻想生物の様な外観、恐ろしいくらいの硬さと攻撃力。

ISSってもの凄く狭いのに、人間よりも移動経路も速度も上な相手から逃げろって
どんな無理ゲー。。。。

しかも倒せない。
倒せない、ゼッタイ。

なんだか「現実」を具現化したみたいなモンスターですよ(笑)

ホラーの王道である、登場人物紹介、目的紹介、未知との遭遇、そして崩壊劇。

テキスト通りの綺麗で無駄のない、そしてもの凄くテンポ良い展開。
前述のジェットコースターではないですが、ダイナミックでスピーディーな構成は観ていて飽きません。前半の導入からしっかりと観ていてください。
登場人物たちの立場、関係性、使命感、プロとしての自信、仲間への信頼関係。
そうしたものをしっかりと受け止めて、はじめて崩壊していく劇中の彼らに寄り添うことができます。

ワタクシも日本人ですから、どうしても真田広之さんに目が行ってしまいました。
真田さん、単なる脇役ではなく、できる技術者であることと日本人であることを劇中で自然に表現できていたと感じました。


もうひとつこの作品を際立たせているのが、美術です。
舞台のISSですが、実際に宇宙に上がっているものを再現しているとのこと!!!
国際宇宙ステーションってニュースなんかでも度々取り上げられますけど、
よほど興味が無いと中身まで詳しく知らないですよね。
わたくしもSF好きだとか言っておきながら、ISSをはじめとして現代の宇宙工学や建造物については素人同然の知識しかありません。。。
よって、本作を観て素直に感動してしまいました。
ピュアだった少年の頃のような感動です(汗)

これについては映画.com様の記事でも取り上げられています。
↓↓こちらの記事です↓↓

「ゼロ・グラビティ」クルーがISSを実寸大で再現!「ライフ」舞台裏映像公開 : 映画ニュース - 映画.com

[映画.com ニュース]  ジェイク・ギレンホール、 ライアン・レイノルズ、 レベッカ・ファーガソン、 真田広之が共演したSFホラー「 ライフ 」の特別映像が、公開された。 火星で採取した地球外生命体の細胞を国際宇宙ステーション(ISS)内で極秘調査する6人の宇宙飛行士たちが、次第に進化・成長し、高い頭脳を持つ生命体に命を狙われ、絶体絶命のピンチに陥るさまを描く。「 ...
ゼロ・グラビティ(2013年)、インターステラー(2014年)、オデッセイ(2015年)と宇宙物の作品が続いていたのですが、これらの劇中に登場するアイテムも建造物もきちんと考証されているものが登場しているのですがなんとなく見逃していました。
忠実に再現されたISSが登場するということも忘れてはいけないポイントです。
SFみたいじゃん!ではなく、もう現実になっているガジェット群に狂喜乱舞。

ただし、予想できたとは言えラストシーンの描写は結構エグいものがありました。
一瞬でしたがあの描写。ホラーには耐性があったと思っていましたが、、、、
「・・・気持ち悪い」
あれっていったいどういう状況なのかと思い返して脳内再生しても
、、た、たわばっ!!!!
そこらの過激なスプラッター描写よりひどい嫌悪感を久々に覚えました。

あぁ、、、終わったな。と。

この救いの無さ。虚無感。
わたしたちを抱きすくめる圧倒的な絶望感。
こういうのを思い描いていたはずなのに。。。
真新しい話でもないと書いていたくせに。
あれ、わたし、泣いてるの???

精緻を尽くした映像美とともに、こういう感覚を味わいたい方は是非劇場まで
足をお運びください。

そうそう、どうして人類史に刻まれるほどの実験をISSで始めてしまったのか・・・・
そこはツッコんじゃダメですよ。
それこそ「待てぇい!」

※「待てぇい!」(byラストサムライ)が好きなので引用していますが、
劇中真田さんは一言も「待てぇい!」と言いませんし、もちろん日本刀も登場しませんのであしからず。

2017年映画鑑賞 115本目

<余談>

まったくこの映画には関係ないと思いますが、
ワタクシの勝手な脳内関連付けで、この作品の追いかけっこが
アニメ カウボーイビバップ(1998年)のSession#11「闇夜のヘヴィ・ロック」と
ダブってしまいました。
ライアン・レイノルズもエドみたいに、こいつを喰らってやればよかったんだ!!!
カウボーイビバップ

カウボーイビバップ 闇夜のヘヴィロック


◆Overview◆

・原題:Life 2017年公開
・上映時間:103分
・監督:ダニエル・エスピノーサ
代表作:『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2014年)
・脚本:レット・リース
    ポール・ワーニック

<メイン・キャスト>
ジェイク・ギレンホール
レベッカ・ファーガソン
ライアン・レイノルズ
真田広之
アリヨン・バカレ
オルガ・ディホヴィチナヤ

2017/05/22

映画_皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ 感想 (評価/★:5)~とあるオッサンの、小さな恋とか大きな覚醒(胸熱)とか~【映画レビュー】

[映画感想]

映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』本予告

2016年イタリア・アカデミー賞、最多7部門受賞! 日本カルチャーへのリスペクトから生まれた イタリア発のダークヒーロー・エンタテインメント! 『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』 http://www.zaziefilms.com/jeegmovie/ 2017年5月20日より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
映画 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ


◆皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★★

文月的採点(46/50点)


◆synopsis◆

テロの脅威に晒される現代のローマ郊外。
裏街道を歩く孤独なチンピラ エンツォはふとしたきっかけで超人的なパワーを得てしまう。
始めは私利私欲のためにその力を使っていたエンツォだったが、世話になっていた“オヤジ”を闇取引の最中に殺され、遺された娘アレッシアの面倒を見る羽目になったことから彼女を守るために正義に目覚めていくことになる。

アレッシアはアニメ「鋼鉄ジーグ」のDVDを片時も離さない熱狂的なファン。

怪力を得たエンツォを、アニメの主人公 司馬宙(シバヒロシ)と同一視して慕う。そんな二人の前に悪の組織のリーダー ジンガロが立ち塞がる…。

※公式HPより


◆comment◆


キャプテン・アメリカを観たときに、ワタクシが本当に個人的に感じていることですが、
ちょっと気恥ずかしさを覚えたのです。キャップ好きなんですけどね。

そしてアベンジャーズシリーズをあたかもメルヘン遊園地のように感じてしまうのは、
きっと自分が汚れているからだろう(笑)

キャップが達が貫く純粋な「何か」・・・それが引っかかるのだろうと。

逆にデットプールを観たときに、グイグイっと引き込まれた興奮。
ホントに皮肉屋で(アイアンマンとは違って生粋の)、ハチャメチャで、自信過剰で、好き勝手やっている「俺ちゃん」が、ものすごく自由で素敵だと


そのときによぉーく考えれば良かったんですが(汗

あぁ「俺ちゃん」って僕達が抱えてる、我慢してる、押し殺してる『枠』をぶっ壊してくれているから好きなんだし、身近に感じちゃうんだなぁと考えました。


ヒーローだって楽じゃない。彼らも彼らでいろいろとトラウマだったり、トラブルだったりを抱えていて、辛いんだろうなァと思えるけど、彼らはヒーローであることを既に受け入れているし、そんな自分の使命を明白なものとして抱いている。だから、悩みなんての乗り越えてみせるんだ!(キリッ)
心強い仲間もいるし、サポートしてくれるしっかりとした組織もあるし、ヒーローとしての社会的地位も(笑)あるのだし。。。。


じゃぁ、そうじゃないのにある日突然超人になったやつはどうするの?


MARVELヒーローよりも、DCのジャスティス・リーグのヒーローよりも、
そして何より原作よりも泥臭く、そしてどうしようもない「おっさん」による、いぶし銀の物語が始まります。


戸惑いました。はい。

全然華やかじゃないんだもの。。。

だけど、そりゃぁそうだよね。と、途中で気が付きました。

この物語は「beginning」なのだから。


5/20の公開で、ジェーン・ドゥの解剖を観た翌日に鑑賞。
しかし、感想をまとめるのに時間がかかってしまいました。

それが冒頭の戸惑い。飲み込むのにワタクシの感覚では時間が必要だったようで。
疲れてたのかしら(笑)

そして未だに完全に飲み込めていないです。

時間が経つにつれて、この作品が鑑賞した直後より好きになってきました。
骨太だなぁ。どうしてもっと早く日本公開されなかったのかしらぁと。
イタリアでは2015年公開です。

スクリーンにドーン!!と表示される日本語タイトルはオリジナルです。自動翻訳されたみたいだけど国内向けに付け足したものではございません。

ワタクシも日本人なので「おぉ」と、感じるものがありますなぁ。
洋画ばかり観ているくせにΣ(´∀`;)


原作というか、インスパイヤーされているのはご存知、永井豪原作の「鋼鉄ジーグ」

不覚にもイタリアで永井豪作品がある世代にものすごく愛されているということを、この作品を通して改めて勉強になりました。(もはやミームになっとる・・・)

今でこそ世界中で様々な日本のアニメが観られていますが、1970〜80年代に作られた無骨な「スーパーロボット」物がある種バイブルの様な位置にあるのは日本だけではないのですなぁ。

原作の「鋼鉄ジーグ」。
第一話がyoutubeの公式チャンネルで観られるのです。
実はこの映画、この第一話を観たあとに鑑賞すると、どれだけ監督がこの作品が好きだったのかが解ったり、解らなかったり。

だから全編通して感じられるのはMARVELでもDCでもなく、永井イズム、ジャパニズムでした。。。
めちゃくちゃ硬派で、いぶし銀。男臭くて、ぶっきらぼう(観客にも)。

むしろダンダダダダン、ダダンダン♪です。

なんの説明もなく、いきなり超人的な力を手に入れてしまった主人公。
・・・いったいどういう能力なのか、どうして手に入れてしまったのかなんて一切説明もなく、もちろん本人の同意もない不条理さ。
(鋼鉄ジーグの主人公も気がつけばサイボーグになっていて、体内に物語のキーアイテムを埋め込まれているという設定です)

この主人公、渋いけど、ただの悪いおっさんです。

ただし、根っからのワルということでもなく「なし崩しにワルになるしかなかったどこにでもいそうな中年男」です。

物語の大部分の舞台になるのは、実在するトル・ベッラ・モナカという地区。
ローマ郊外に位置するこの地区はイタリアの中でも屈指の「危ない地区」なんだそうです。

そりゃ、運河に放射性物質垂れ流してるわ!!!って、オイ。

という言葉は飲み込んで(;・∀・)

このあたりの設定がめちゃくちゃだとかを責めてはいけないのです。

だって、永井さんの作品の根底にあると個人的に思っている「カフカ的不条理」からすると、舞台設定とは既に定まっているものであるので、よく考えていたら物語に入っていけないからです。

そういう意味では冒頭から永井イズムを素直に感じることが、この監督が描きたい世界をより身近に捉えることができるのではないでしょうか。


とは言え、世界の危機に直面するだとか、とんでもない強敵に正義の闘志を燃やすだとかいうヒーロー映画の王道展開はありません。


この作品は、この記事のサブタイトルでもあります
「とあるオッサンの、小さな恋とか大きな覚醒(胸熱)とか」の物語なのです


鑑賞した直後、ちょっと物足りない、と思ってしまったワタクシの第一印象は「これは序章なのだ、プロローグなのだ」というところで落ち着いたのです。

とは言え、アメリカンヒーロー作品の持つ既定路線としての派手さや明るさをあえて持ち込まずに、主人公もヒロインもライバルにも等しく漂うどうしようもない「悲壮さ」はこの時代の混迷の象徴のように感じられます。

つまりこの作品の登場人物達のうち、どのような立場にも我々はなりうるということです。ファンタジーではなくて、もう少し身近な物語。最近こういう感覚多いなぁ。

だからこの作品を観たことがない人に、これってさぁものすごく不器用な「バットマン・ビギンズ」みたいだよと表現しても、捉えどころとしては不十分だろうなと。
だって、ブルース・ウェインは雲の上の人だもんな。

全くもって関連性がないのかもしれませんが、「ロッキー」の第一作目を観ている感じですかな。「ロッキー」が好きな方は、好意的に観てくれるかも。

超人的な力を手に入れてしまったとは言え、決して万能ではないオッサン。

それを憧れのヒーロー「鋼鉄ジーグ」だと信じてやまないヒロイン。

この作品の主人公は皮肉なことに「鋼鉄ジーク」ではないのです。

「鋼鉄ジーグ」に、ヒーローに、そんなものになれるわけではないと思い悩むひとりの等身大の男なのです。

自分自身を持て余してしまっているから、与えられた能力を自分のために使ってしまう。

だけど、それは誰もが同じなのではないでしょうか?

その結果、後悔しちゃうことって多いのではないでしょうか?

躊躇や戸惑いがあるから、時に小さくない失敗をして傷ついてしまう。

主人公エンツォの振る舞いって、「なんだこいつ?」と思えるんだけど、男なら誰でもやってしまいそうな事をしているんですよねぇ。

彼の日常生活なんて、いい歳をした独り身の男の最小公倍数的なものですわ(笑)


この物語のシュールさは、主人公が得た力によって巻き込まれる事態もさることながら、
「よく知らない他人の思惑」ってやつが多分に人の人生には影響するんだという恐ろしさも表現しているところにもあります。

この意味では感性や芸術性を重んじる立派なイタリア映画だと言えます。

ラストテロップが流れた時に感じた胸熱。

オッサンがオッサンでなくなったその姿に、知らないうちに拳を振り上げたい衝動にかられたはワタクシだけではないと思います。

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」

このタイトルって、ラストから逆算して付けたんだろうな。

この泥臭さから始まる新たなダーク・ヒーローの戦い。
考えただけで、年甲斐もなくワクワクしちゃう。


だけど・・・・

ジーグクラッシャーとか言ってるけど、それってただの鯖折りだろーが!!!
でも素敵!! (第一話を観た文月の感想。ただし、この作品の印象的なシーンでこのツッコミは活きてきます(笑))


2017年映画鑑賞 85本目


◆overview◆


・原題:Lo chiamavano Jeeg Robot 2015年公開
・上映時間:119分
・監督:ガブリエーレ・マイネッティ
代表作:「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」※長編デビューは今作!
・脚本:二コラ・グアッリャノーネ

異様に熱い公式HP

映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』公式サイト

永井豪原作のアニメ「鋼鉄ジーグ」にインスパイアされ誕生したド迫力エンタテイメント、イタリア発、ダークヒーロー×フィルム・ノワールの傑作!「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」全国順次公開中
小島秀夫監督もコメントされていました♫(ドツボだよなぁ、きっと)

<メイン・キャスト>
クラウディオ・サンタマリア『007 カジノ・ロワイヤル』(06年)
イレニア・パストレッリ
ルカ・マリネッリ
ステファノ・アンブロジ
マウリツィオ・テゼイ


2017/05/14

映画_メッセージ / Arrival 感想(評価/★:4)~世界は『言葉』でつくられている~【映画レビュー】

[映画感想]

映画『メッセージ』本予告編

!本年度アカデミー賞受賞作品! ある日突然、巨大飛行体が地球に。 その目的は不明― 未知なる飛行体が突如出現、彼らは人類に何を伝えようとしているのか? 優れたSF作品に送られるネビュラ賞を受賞し、映像化不可能と言われていたテッド・チャンによる短編小説『あなたの人生の物語』 に基に誕生したまったく新しいSF映画『メッセージ』。 ...

映画 メッセージ Arrival



◆メッセージ / Arrival 鑑賞◆


評価/オススメ:★★★★☆

文月的採点(40/50点) 



◆synopsis◆


突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。
謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズは、
“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。
その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。

◆comment◆


解った、だとか、解らないだとか大きく評価が割れる作品がある。
キャストもVFXもカメラワークも飛び越えて、物語の世界に「浸った」側が
得られるある種の充足感が「観てよかったぁ」って気持ちを引き出す呼び水になる。
その充足感得やすい作品と難しい作品がこの世界には存在する。

もちろん創り手側としては、そうした充足感をより多くの人に得て欲しいと常日頃考えている。それが仕事だし、それが対価の原資になるからだ。

ただ、それは商業としての物語のあり方を考えた場合。
面白い話。ワクワクさせる設定。紡がれる『言葉』の根底には「どうやって楽しんで(あるいは怖がって/考えて)もらえるか?」という「意図」があります。
だから「意図」をより多くの人に伝えるための、受け入れられるための『言葉』には明快さが不可欠だ。

ただし、明快だから受け入れられる、良い、と言う訳でもない。

『言葉』を用いる『意思疎通』の最大の難しさとは『解釈』という送り手/受け手双方のフィルターが内在するからだ。

『解釈』 この作品の重要なワードです。

ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督はこういうことを狙って物語を作れる稀有な人物だ。

「複製された男」なんて人を選ぶし、難解で中二病的だし、根暗なトンデモ映画だ。
「プリズナーズ」、「複製された男」、「ボーダーライン」どの作品もワタクシは大好きだけど、描かれているのは「こちら側と向こう側」という線引が如何に曖昧で、移ろい易いものなのかだと思う。

つまり、描いているのは『人間』だということだ。

『言葉』つまり『言語』というものが一種類しかない世界だとしたら、物語が掴まえることができるものはひどく狭くて味気ないものだと思う。

故に面白いと思う方も、その逆の方も多い作品になると思います。
(「グレート・ウォール」や「無限の○人」などとは別の意味で)
これは制作側の意図(もっと言うと原作者の)であって、『解釈』が分かれるほど『狙い通り』になったということですよ。はい。

言葉繋がりで、ひとつだけ個人的に変えてほしいのはこの作品の邦題。
『メッセージ』で本当に良かったのかなぁと。。。

原題のArrivalじゃないと、誤解を与えると思う。
予告編の作りも、公式HPも『メッセージ』に主題を置かれているけど、
この映画の本質は『言葉』であり『時間』であり、このふたつがひとりひとりに
舞い降りた時に用いられる『LIFE』だ。

話を戻します・・・
実はちょっと前に試写会に幸運にも行けて、そこで観ておりました。
今週5/19(土)からようやく公開ということで、劇場に行かれる方もいるかと思い更新です。

この作品は『インデペンデンス・デイ』(1996年)や『インターステラー』(2014年)に並んでコメントされているのを散見しました。
文月としては、真っ先に思い浮かんだアーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』やロバート・ゼメキスの『コンタクト』(1997年)寄りの物語だと考えます。

ファーストコンタクトというカタチを取った『意思疎通』の再定義を狙った思考実験。

これがこの映画です。

だから『インデペンデンス・デイ』みたいなド派手なアクションも熱い人間ドラマも、

『インターステラー』のような地球の危機や壮大な宇宙探索も、ありません。

そういうものを期待されてスクリーンの前に座った方はごめんなさい、きっと『面白くない』と思われるでしょう。

突如地球に舞い降りた12の『物体』が世界の主要な場所に陣取っていく様はなるほど『インデペンデンス・デイ』を彷彿とさせますね。

2017年の混沌とした世界なら、物体が現れた時点で即全面攻撃となっていたのかも知れませんな。

しかし、この物語では非常事態宣言は各地で出されますが、まずはきちんと『意思疎通』を図ろうとするのです。

黒塗りの種子然とした巨大飛行物体は地球のものであるのか?

そうでないなら、相手は誰なのか?

どういう目的を持っているのか?

どうやってこちらにやって来たのか?

劇中のあるシーンで印象的な言葉がありました。

「これはアボリジニと同じだ」

アボリジニと、固有名詞を出していますが、これは取りも直さず大航海時代(それ以前からも当然有りましたが)より欧州がアフリカ、アジア、アメリカ大陸に対して行った植民地政策の事を引き合いに出しています。

まぁ、人類の技術で察知できない方法で世界に同時に出現した『物体』とそれを動かしている『生命体』は、その存在を持って我々より数段優れた文明を持っていることは明らかです。

よって話を戻すと、『誰で』『どうして』『何のために』やって来たのかという事を正確に把握しなければなりません。

人間同士ですら『来られた側には無い技術』を提供する代償として『多大な利益』を引き出そうと画策してきた訳ですからね。

未知なる相手を前に『悪意の解釈』を持って対峙する訳です。

物語はこの未知なる存在とどのように『意思疎通』をしていくのか?

そして、ある重要なキーワードをどう『解釈』するのか?

その『解釈』を世界はどのように『共有』していくのか?

を巡って主軸が展開していきます。

その未知なる存在との交流、そこで交わされる『言葉』、彼らを巡る人間たちの『解釈』の違いを通して主人公の言語学者は『自分自身』についてある気付きを得ます。
彼らが残したメッセージというより、彼らによって気がついた○○。

だから原題は『Arrival』なんだ。と落ちるわけですね。。。。
(Arrivalを辞書で引くか、google先生に聞いてみてください)

世界には7,000以上の言語があると言われていて
(この辺は専門家ではないので、断定はしません。
引用 http://www.ethnologue.com/ (SIL International))
表記されるだけである言葉について7,000前後の『訳語』が存在するということになります。しかし『訳語』はあくまで『訳語』であって、それがニュアンスまで完全に一致しているかは不明瞭です。そもそも『そうした言葉がない』ということもありえます。

人は思考を表現するツールとして『言葉』を用いているのであって、そうした意味では『言葉』というものも実に曖昧だということになります。

曖昧な思考→例えば「あなたが好き」というのは言葉での表記ですが、込められた感情の強弱、表裏、度合いまでは完全に表せません。せいぜい絵文字を用いたり、文字の大きさを変えたりと、装飾することでなんとかニュアンスを「表現」できるくらいです。

言葉 /言語 の曖昧さ。
伊藤計劃の虐殺器官ではないですが、これがこの物語の根底です。
それでも解り合いたいから意思疎通をする。
それでも100%のコミュニケーションなんてない。
この「言葉」というツールの恐ろしさと素晴らしさ。

未知の存在、そして巡る言葉の解釈で、国同士が、組織が、個人が激しく揺れ動きます。

で、結局世界はどうなんの?

ここまで散々『言葉』と書いてきてなんですが、『時間』というのもこの作品の重要なファクターです。
この作品の壮大なトリックとは、
原作『あなたの人生の物語』ってタイトルに集約されていきます。
作者の関心や原作からすると、言葉そのもの、時間の概念の方がウェイトが高い印象。
この『時間』って概念。これもこの作品にやられたぁと思わせる深いキーワードです。
あぁ、これ以上書けない。

『よく良く解らない誰か』とどう向き合うのか?
『よく解らない自分』とどう向き合うのか?
そこに付け加えられるのが『母性』だということになると・・・
昔流行った「セカイ系」にも似た所にも通じた所にも行ってしまうやんけ・・・
ま、原作が発表されたのが1998年だからなぁ、とその時期の『言葉』に浸っているワタクシなんかはそういった『解釈』に毒されてしまっていますがΣ(´∀`;)

サイエンス・フィクションというより、スペキュレイティブ・フィクションとしてのSF作品。
言葉ひとつで個人も世間も国家さえも変えられてしまう現代。
この時代、この世界情勢だからこそ、観た時に考えさせられるものが多い。
未知の存在とは、膨らみすぎたゆえに見えなくなっている世界そのもののように感じられる。
非常に有意義な映画体験でした。
文月としては、是非とも『Arrival』して欲しい一本です。


2017年映画鑑賞 41本目

◆Overview◆


・原題:Arrival 2016年公開
・上映時間:116分
・監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ   
代表作:『ボーダーライン』(2015年)
    『プリズナーズ』(2013年)
          『複製された男』(2013年)
    『ブレードランナー2049』(2017年)
・脚本:エリック・ハイセラー

<メイン・キャスト>
エイミー・アダムス
ジェレミー・レナー
フォレスト・ウィテカー
マイケル・スタールバーグ
マーク・オブライエン


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物語の海に溺れる中で、フレーズ、イメージを繋ぎ合わせて生まれた短いストーリー達を文月陽介が書き留めます。 特定のジャンル、モチーフにこだわらずに、ひとつひとつの物語を紡いでいます。 ※筆者の気まぐれにより不定期更新です。

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